京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオで36人が死亡し、34人が重軽傷を負った放火殺人事件は、アニメ界の未来を担う作り手たちの命を奪った。大切な人を失った家族は、悲しみを募らせ、現実と向き合い続けている。全身やけどの高度治療が終了した無職青葉真司容疑者(41=殺人容疑などで逮捕状)は、車いすに座れる程度まで回復したが、さらにリハビリが必要で逮捕の見通しは立っていない。

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青葉容疑者の容体について、捜査関係者は「現在は容体は落ち着き、リハビリを中心にやっている。会話はできる状態になっている」と説明した。

放火した際、全身に重いやけどを負い、大阪府内の病院で皮膚移植手術を重ね8月上旬にはほぼ命に別条がない状態になった。11月中旬、やけどの専門的な治療が終わったため、京都市内の病院に転院した。

転院直前の11月8日には京都府警が初めて事情聴取した。容疑を大筋で認め「どうせ死刑になる」「一番多くの人が働いている第1スタジオを狙った。多くの負傷者を出せそうだと思ったから」と供述。動機については「京アニに小説を盗まれた」と説明したという。逮捕状の執行には長期の勾留に耐えられるという医師の判断が前提で、捜査関係者は「いつ逮捕できる状態になるか、メドは立っていない」と話した。