私は3つの大学で栄養学を学んでいます。ですから、この本を読んだときに、フェリチンの摂取については懐疑的でした。しかし、具体的な臨床例をみているうちに試してみようと思い、食事内容を変え、プロテインの摂取もしています。
新しいことを試す場合、1か月から3か月くらいやってみて、自分に合うかどうかを判断するといいですね。
うつ消しごはん―タンパク質と鉄をたっぷり摂れば心と体はみるみる軽くなる!
【 目次 】
藤川徳美先生
藤川徳美先生は、医学博士の精神科医で、広島県の「ふじかわ心療内科クリニック」院長です。
お名前と女性の鉄不足に警鐘を鳴らしていることから、てっきり女性と勘違いしていたのですが、男性です。(笑)
広島大学医学部付属病院精神神経科、県立広島病院精神神経科、国立病院機構賀茂精神医療センターなどに勤務後に開院、うつ病の薬理・画像研究や、MRIを用いた老年期うつ病研究を行い、老年発症のうつ病には微小脳梗塞が多いことを世界に先駆けて発見されています。うつ病をはじめとした気分障害、不安障害、睡眠障害、ストレス性疾患、摂食障害、認知症の治療をされています。
薬だけでなく、高タンパクと低糖質食を中心とした栄養療法で実績を上げる、珍しいお医者様です。
血液検査でわかった 鉄分とタンパク質不足
うつやパニック障害、不眠や統合失調症の人の血液検査で、ほとんどの患者で鉄分やタンパク質が大幅に不足していたそうです。
鉄分やタンパク質はセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の材料となります。それらが無ければ神経伝達物質が無くなり、弊害が現れます。それがうつなどの精神疾患なのです。
健全な脳は、幸せを感じさせるセロトニンや、喜びを感じさせるドーパミンといった神経伝達物質で満たされているので、それらが無くなれば幸せも喜びも感じることができなくなります。
特に、体のなかの鉄分とタンパク質が極端に少なくなっているのが、女性たちです。生理や出産があるので当然ですね。
「月経で毎月、そして出産で一気に鉄とタンパク質を失う女性たちは、男性よりもうつになるリスクが2~3倍あります。実際、わたしの患者さんの8割は、女性です」と、藤川先生はおっしゃっています。
薬よりも栄養が大切
人間は食べたものを取り入れたものからできています。食べ物によって形成されると言っても過言ではないでしょう。
いちど完全菜食にしたことがありました。すると、性格が変わってしまうんですね。成長期の子供を抱えていたこともあり、途中でやめましたけれども、続いてたらどうなっていたのかと思います。
うつが疑われると、多くの人は精神科を訪れます。治療に使われるのは薬です。医学では薬と手術が中心なので当然のことです。それに栄養学を加えたのが藤川先生です。
発達障碍の子供たちの身体は小さい?
かなり前から気づいていたことがあります。
発達障碍や自閉症、気力がない子や登校拒否の子どもたちは体の小さい子が多くありませんか?不思議に思って他の同業者たちにも聞いてみましたが、みんな同じことを言います。
(※自閉症の場合は変化を好まないために、味にもこだわりがあります。その結果、栄養が偏り、体が小さいことがあるようです。)
また、そのような子どもたちに聞いてみると、ほとんどの子どもが肉や魚を好みません。タンパク質が不足している子どもが多かったのです。
研究者ではないですが、他の人たちよりも多くの子供たちに接しているので、ある程度の傾向は分かります。不思議でした。 このような発達障碍や自閉症の子どもたちにも、薬だけでなく栄養指導してくれるお医者様、または栄養士とタッグを組んでいる病院が身近にあると救われる子どもたちも多いのではと思います。
まとめ
心と体のつらさは、栄養が足りていないことが原因です。ですから、薬やカウンセリングでは治りません。血液検査をしてもらい、栄養が足りないなら足りない栄養素を食品やサプリメントを足せばいいのです。 実際にたんぱく質や鉄分の多い食事をしていると、気分が安定して調子がいいです。まず、この本をご一読されることをお勧めします。