大阪市は27日、特定の民族や人種への差別をあおる言動の抑止を目的とした条例に基づき、市民に対する悪質なヘイトスピーチなどがあったと認定した2人の氏名を公表した。市によると、同様の条例を持つ自治体で実名公表に至ったのは全国初。市は「公表により、ヘイト行為を許さない市の姿勢を市民に知ってもらうため」と説明している。
公表されたのは、インターネットまとめサイト「保守速報」運営者の栗田香氏と「朝鮮人のいない日本を目指す会」代表の川東大了氏。市民団体からの申し出を受け、市が審査会に諮問。審査会は7月に両者のヘイト行為を認定し、氏名公表の答申を11月に受けた市が当事者の意見を聞いた上で公表した。
市によると、栗田氏は、2016年7月時点で「保守速報」に「朝鮮人撲滅」など在日韓国・朝鮮人を排除する趣旨の記事を引用しており、不特定多数の人が閲覧できる状態にして、差別的な書き込みを誘っていた。
一方、川東氏は16年9月、市内の在日韓国・朝鮮人が多く住む地域で街宣活動を実施。「朝鮮人が危険だから日本からいらない」などと差別発言を繰り返し、音声をネット上で公開した。
申し出た市民団体「ヘイトスピーチを許さない!大阪の会」は同日、記者会見し「ヘイト行為をする人たちは悪だと公的機関が初めて発表したことは意義深い」と話した。
市は16年の条例施行以来、ネット上への動画投稿など6件をヘイトスピーチと認定。しかし、個人情報保護や通信の秘密で実名特定が阻まれ、サイト名やアカウント名の公表にとどまっていた。今回は、川東氏が実名を名乗って自らの主張を発信しており、栗田氏は出版物などから本人を特定した。【矢追健介】