現在史上最高値を更新し続けている米国株に、私は慎重な姿勢を崩していなかった。その理由は、実体経済と株価の乖離を説明するロジックを見いだせなかったからだ。
これまで中国は「世界の工場」となっていたが、アメリカは貿易戦争を通じて自国を中心とした生産拠点の移動=グローバルサプライチェーンの転換を実現しようとしている。トランプ氏が「企業は中国以外の国に移転すれば関税がかからない」「アメリカで生産すれば関税はかからない」という趣旨のTweetを繰り返しているのが、その根拠だ。
しかし、「生産拠点の移動」の達成度を示す代表的な指標、自国内での「設備投資」は思惑ほど伸びていない。
「モノ」を生産することによる力強い成長を、アメリカはまだ手に入れていない。
現在の株高は「企業」の成長力というよりは、マネーゲーム的な要素によって生み出されているということだ。実体経済の成長が伴わず株価だけが上昇する現象は、バブルに他ならない。80年代バブルにおける巨額な負債を原因として、黒い世界の住民となった私の経験が、この「株高」に対する警戒感となっていたのだ。
アメリカの意思を明確にするイベントが訪れたのは、12月13日のことだった。それは、米国通商代表部(USTR)が、米国と中国が貿易交渉で第1段階の合意に達したと発表したことだ。