日本の財政が「絶対破綻しない」これだけの理由

MMTが提唱する経済政策の正当性を理解する

現代社会における「紙幣」とは、(中央政府と中央銀行とで構成される)「国家」が作り出すものです(写真:ぺかまろ /PIXTA)
政府の赤字は、民間の黒字である。自国通貨建てで国債を発行する限り、財政破綻はしない。必要な財政拡大は積極的に行うべき。前内閣官房参与で、アベノミクスの問題点を知り尽くした藤井聡氏の最新刊『MMTによる令和「新」経済論』から一部を引用して紹介します。

政府は、お金を作り出せる

まずは、「実践的」「政策的」な視点から、MMTを解説することとしたい。まずは、MMTの「財政政策論」の側面からの定義を改めて以下に記載したいと思う。

【「財政政策論」としてのMMTの定義】
国債発行に基づく政府支出がインフレ率に影響するという事実を踏まえつつ、「税収」ではなく「インフレ率」に基づいて財政支出を調整すべきだという新たな財政規律を主張する経済理論。

ただし、MMTが提唱するこうした経済政策の正当性を理解するためには、まず、現代社会における「紙幣」とは(中央政府と中央銀行とで構成される)「国家」が作り出すものである、という「事実」を認識しておく必要がある。ついては、このお金をめぐる「事実」について解説したいと思う。

実際、私たちが普段使っている千円札や一万円札には「日本銀行券」と書かれている。つまりそれは、「日本銀行」という日本の中央銀行が作り出したものだ。そして、その日本銀行の株主は、55%が日本国政府であり、日本政府の事実上の「子会社」である。

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  • くつか7434eac699be
    >財政破綻の定義は「著しい財政状況悪化とそれに伴う財政運営困難」ですが
    これはその通りなんだけど、具体的にどういう状況かというと、
    「自国通貨建てで国債発行しても誰も買ってくれず、やむなく外貨建てで国債を発行して資金を集めている状況」です。
    当然その後、外貨建てでの国債を返済できなくなるとデフォルトとなる。
    逆に言うと自国通貨建ての国債で十分に入札が集まる状況の間は問題ない。
    up82
    down17
    2019/12/26 08:22
  • 富田師水5af403299782
    正論すぎる。「お金を刷ったらインフレになる」とかいうやつがおるが
    そもそも間違っている。正しくは「お金を使ったらインフレになる」だ。
    そもそも「インフレにする」ためなんだから、もしインフレ率が上がってきたのならそれは成功だ。
    up93
    down45
    2019/12/26 07:13
  • 四代目73b72e9f4556
    既に1000兆円の半分500兆円は日銀保有である。
    誰が考えても内輪の借り入れであり、実質半分であるうえに、国はそれとは別に預金・土地等々莫大な資産がある。
    しかも国債は借り換えによって「実質無期限」であるわけだ。

    もし個人でも土地付きの家という資産と同額のローンがあっても、そもローンの期限が無いのであれば返済ができなくとも絶対に破綻しない。
    財務省はバカではない。
    最近の一般会計の「大盤振る舞い」をみてもわかるが財政の実態は余裕があるのだ。
    up28
    down16
    2019/12/26 13:35
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大量の校正用ゲラを読み終えた帰りの電車。見渡すと、やっぱりスマホですね。ゲームの類いか、40代、50代も皆必死の形相です。特集の作家・髙村薫さんの言葉のように、私も誰かの陰謀だと思うことにしました。目を覚ましてほしい、そのためになる一冊です。(堀川)