2019-12-26

自分本名が変わるということ

本名が変わることになる。

まずは名字、そして名前も。

名字が変わる可能性は考えなかったわけではない。

厳しい仕事帰宅途中や、休日に家でぼんやりしている時に

誰かが私を連れ去って、そしてそこに嫁ぐことになり相手のことだけをシンプルに考えて過ごす生活になればいいのに

というようなシチュエーション妄想することはあった。

昔話のお姫様のように。20代後半の男が。単なる現実逃避として。

万が一そうなれば名字は変わることもあるかもしれない。

しか名字自体はどこにでもある学年に一人はいるような珍しくないもので、

積極的に守っていきたいというような愛着が私にはなかった。

また、高校まで育った地元長男が家を継ぐというのがまだそれなりに概念として残っているような田舎だけれども

私は次男であり両親的にも問題ないだろう、と思っていた。

さて、現実である

大学で都会に出てきた私はそのまま大学時代の住居から通える会社で働いていた。

大学時代はバイトもせず、サークルも入らず、平日は家とキャンパスを往復し

休日も家で本を読むかインターネットをしていた私は

異性と付き合う努力、機会を完全に放棄していた。

人間はいきなり蛹から蝶にはならないし、なれない。

環境を変えるか自分意識を変えなければならない。

社会人という環境の変化はあったが私の気質そのままであった。

会社の同期の一人は大学サークルの後輩と付き合っていた。

別の一人は会社の先輩に連れられてキャバクラなどによく行くらしい。

また別の一人は街コンによくでかけ、そこで知り合った人といい感じとのことだった。

結果というアウトプットがほしければまずは社会インプットするしかないと会社の先輩は言っていた。

その先輩は常に6人ぐらい彼女がおり、流石にインプットし過ぎだとは思った。

私もなにか動いたほうがいいのかもしれないが、まず最初の一歩がわからない。

そんな私を心配する両親から電話があった。

地元の名士の長女とお見合いをしないかとの連絡だった。

友人に相談し、そして最初の一歩として動くことにした。

全く知らない相手というわけでもなかったのが、飛び越えるハードルの低さにつながったのかもしれない。

その2歳年上の彼女は、中学高校さらには高校の時の部活も私と同じだった。

しか中高生の2歳差というのは最大学年と最小学年という最も離れた存在であり

実際はそこまで繋がりもなく数回話したことがある程度だった。

色々あったが、アウトプットは婿入りして結婚ということになった。

まずは婿入りするので名字が変わる、つまり私はフグマスオから磯野マスオになる。

今の仕事は辞め、義父の仕事を手伝い、数年経てば社長を引き継ぐことになる。

その際に屋号も引き継ぐことになる。つまり本名が変わる。

今まで数十年フグマスオとして過ごしてきたのに、

数年の磯野マスオ生活を経て、磯野波平という存在になる。

自分の子供か、他の誰かに引き継ぐまでは。もしくは死ぬまで。

歌舞伎みたいなものだ、と他の事例に従って自分を納得させようとしたが

でも彼らは小さい頃からその世界に関わっていたからむしろそれを自然に感じているはずで

私の急な変化とは異なるのではとも思った。

今まで単なる識別子としてしか扱っていなかった名前について

こんなに真剣に考えることなんてなかった。

人間想像できない出来事に動揺したのかもしれない。

思ったより自分名前愛着があったのかもしれない。

単純に急激な変化についていけないだけかもしれない。

私のマリッジブルー

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