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NEWS / REPORT - 2019.11.21

原画でたどるデザイナーたちの思考。「マル秘展 めったに見られないデザイナー達の原画」が21_21 DESIGN SIGHTでスタート

「日本デザインコミッティー」に所属する26名のデザイナーや建築家によるスケッチや図面、模型などの「原画」を集めた展覧会「マル秘展 めったに見られないデザイナー達の原画」が、東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開幕した。デザイナーたちの思考に迫る本展の見どころは? 会期は2020年3月8日まで。

松永真の展示風景

 東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで、「マル秘展 めったに見られないデザイナー達の原画」がスタートした。

 本展は「日本デザインコミッティー」に所属する幅広い世代のメンバーたちがデザインの過程で生み出してきたスケッチや図面、模型の数々を紹介するもの。ハードウェアやソフトウェア、インタラクティブ・アートなど多岐にわたって活動する「Takram」のデザインエンジニア・田川欣哉がディレクターを務める。

会場風景より、歴代のポスターやDMが並ぶ
会場風景より

 「日本デザインコミッティー」は1953年に設立され、これまで銀座の百貨店・松屋との関係のなかで日本のデザインに貢献してきた。各分野を代表するデザイナー、建築家、評論家が自主的に参加し、現在は40代から90代まで26名のメンバーで構成。会場入口では、商品のセレクト、企画展の開催、ギャラリーの運営という「日本デザインコミッティー」の軸となる3つの活動を、歴代のポスター・DMや映像で紹介する。

 続く部屋では3つの壁面を使って、メンバーがドローイングする様子を撮影した映像「原画が生まれるところ」をプロジェクション。その手前には、スケッチの実物や筆記用具なども展示されている。

会場風景より、「原画が生まれるところ」

 そして奥の展示室に広がるのが、原画の展示だ。ひとりひとつのケースにはメモやスケッチ、道具、製品のプロトタイプが収められ、まるで実際にデザイナーの机を見ているような展示となっている。会場には「原画展示の見方」として、6つのガイドが掲示。①分野ごとの方法の違いを見る、②デザイナーごとの方法の違いを見る、③筆記用具や道具を見る、④デザインの質の変化を見る、⑤デザイナーの考え方を知る、⑥原画を観察してスケッチしてみる。これらをきっかけに、それぞれの「原画」を見てみてはいかがだろうか。

会場風景より

 グラフィックデザイナーの原研哉は、自身が企画した展覧会における展示台の配置や書籍に加え、東京オリンピックのエンブレムや本の表紙、ポスターなど、その思考の流れがわかる詳細なスケッチの数々を展示。21_21 DESIGN SIGHTの館長を務める佐藤卓のゾーンでは、普段使っている道具や手帳とあわせてロゴやシンボルマークのスケッチを見ることができる。

原研哉の展示風景
佐藤卓の展示風景

 また建築家からは、隈研吾や北川原温らが参加。隈は現在建設が進む高輪ゲートウェイ駅のスケッチや多数のメモ書き、そして軽くて柔らかいものに構造的な強度を与える、もしくは山折り谷折りの連続で表面積を増やした折り紙によるスタディを展示。詩や音楽をモチーフとした設計で知られる北川原のゾーンでは、オブジェクトを透明なケースの空中に吊った個性的な模型を紹介する。

隈研吾の展示風景

 加えて、会場の照明も担当した照明デザイナー・面出薫による「東京駅丸の内駅舎ライトアッププロジェクト 2012」や、テキスタイルデザイナー・須藤玲子による糸やパターンの試作、そして熱収縮布や水溶性の布といった素材の研究など、多様なジャンルにおけるデザインの試行錯誤にも注目したい。

須藤玲子の展示風景

 そのほかにも本展には、深澤直人、平野敬子、伊藤隆道、柏木博、川上元美、喜多俊之、小泉誠、黒川雅之、松本哲夫、松永真、三谷龍二、永井一史、永井一正、内藤廣、新見隆、柴田文江、鈴木康広、田川欣哉、田中俊行、山中俊治が参加。会期中には、メンバーへのインタビューのポッドキャスト配信やトークイベントなども開催されるほか、館内ではデザイナーたちによる多彩な椅子に実際に座ることもできる。

山中俊治の展示風景
伊藤隆道の展示風景

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NEWS / REPORT - 2019.12.22

京都市京セラ美術館でプレオープンイベント開催。ライトアップで美術館彩る

2020年3月21日にリニューアル開館を迎える京都市京セラ美術館が、プレオープンイベントとして「CELEBRATING COLORS!」を開催。高木正勝、鬼頭健吾、髙橋匡太の3作家が参加した。

 

髙橋匡太によってライトアップされた京都市京セラ美術館

 2020年3月21日に開館を迎える京都市京セラ美術館が12月21日、プレオープニングイベントとして「CELEBRATING COLORS!」を開催した。

 同館の建築はすでに竣工しており、およそ85年前の1933年に開館した京都市美術館の姿を留めながら、現代に見合った美術館としてアップデート。建築家・青木淳がリニューアルを指揮し、館長にも就任している。

>>建築家として、館長として。青木淳は京都市京セラ美術館をどこに導くのか?

 同館開館まで3ヶ月となるのを機に行われたのが、今回の「CELEBRATING COLORS!」だ。

 イベントには門川大作京都市長をはじめ、青木淳、高木正勝、鬼頭健吾、髙橋匡太らが登壇。門川市長は、同館を「文化都市・京都の発展に大きな役割を果たしてきた」と讃えながら、時期は明言しなかったものの「国の重要文化財指定を目指す」と意気込んだ。

 イベントは、美術館前に新たに設けられたスロープ状の広場「京セラスクエア」と、北西エントランス1階のガラス部分「ザ・トライアングル」で展開。

ザ・トライアングル

 京セラスクエアでは、この日だけの特別な舞台セットの前で、高木正勝が最新作《Marginalia(マージナリア)》を披露。寒空の下、多くの観衆を魅了した。

高木正勝

 またザ・トライアングルでは、鬼頭がガラス面に200メートル分という膨大な色とりどりのカッティングシートを貼り、床には数千枚の手鏡を敷き詰めた。《ghost flowers》と題されたこのインスタレーションでは、鏡が映像と周囲の風景を反射。鬼頭は「見る人と作品が連動するような空間を目指した」と話す(同作は20年5月31日まで展示される予定)。なお、鬼頭は3月21日以降、このザ・トライアングルの地下と本館中央でも作品を展示する。

《ghost flowers》の展示風景

 この日は、京都市京セラ美術館の点灯式も実施。ライトアップを手がけた髙橋は美術館の設計段階から関わってきたといい、「どこからでも見られるように照明が設置されており、夜間景観を整備することを意識してプランニングした」と説明。色とりどりの光で美術館が照らされると、多くの人々がスマートフォンのシャッターを切っていた。

髙橋匡太によってライトアップされた京都市京セラ美術館

 髙橋による光の演出は、重厚な帝冠様式に現代のデザインが融合した本館を白色光で照らし出すとともに、一定時間ごとに二十四節気をイメージした色彩で変化する演出を加えるというもの。ライトアップは毎日の日没~午後10時まで行われ、岡崎公園全体の夜を彩る。

 同館のこけら落としは、開館記念展「京都の美術 250年の夢」(〜12月6日)と「杉本博司 瑠璃の浄土」(〜6月14日)。いまから開館が待ち遠しい美術館だ。