「家」に全財産をつぎこんできた! 倉持由香さんの偏執的マンション遍歴

倉持由香さん

グラビアアイドルの倉持由香さんは今年、東京都心のタワーマンションを購入しました。幼いころから住まいに並々ならぬ思いを抱き、いい家に住みたい一心で仕事を頑張ってきたという倉持さん。月収が約11万円だった22歳の時に、初めて一人暮らしをしたマンションの家賃は7万5000円。家賃は収入の3分の1が目安であると言われていますが、以降も3分の1どころじゃない金額を家賃に充て、ひたすら大好きな「家」の充実を図ってきたといいます。

これまで住んできた倉持さんの「リアル」なマンション遍歴とともに、住まいへのこだわりを語っていただきました。

事務所の台所で、寒さに震えた10代

―― 倉持さんは13歳から仕事を始め、高校生のころにはすでに親元を離れて暮らしていたそうですね。

倉持由香さん(以下、倉持):はい。16歳で親元を離れて、最初に住んだのは当時所属していた事務所の「台所」でした。

―― 台所、ですか……?

倉持:台所です。台所の床にドンキで買ってきた寝袋を敷いて寝ていました。それから3年くらい、電話番やお茶くみをしながら事務所に寝泊まりする生活が続きましたね。固くて冷たい床で、薄い寝袋にくるまって寝るから身体も痛いし寒くて……。

―― 過酷すぎる環境ですね。

倉持:そのときに「いつか自分の稼ぎで、絶対にいいマンションに住んでやる!」と決めましたね。

倉持由香さん

―― ただ、そこを離れてからも、しばらくは一人暮らしをするお金もなかったと。

倉持:そうですね。20歳の時に今の事務所へ移籍しましたが、当初は「撮影会」というファンの方にお金をいただいてスタジオで写真を撮って頂くイベントのお仕事が月に2回あるのみで、一人暮らしができるような収入はなかったです。なので、同期の吉田早希ちゃんの家に居候させてもらったり、渋谷のアプレシオという漫画喫茶にずっといました。

22歳くらいの時に月収が11万~14万円ぐらいになって、ようやく一人暮らしができるようになりました。早稲田駅から徒歩30秒くらいの、「ステート早稲田」っていうマンションです。家賃は7万5000円でしたね。

―― 月収11万円で7万5000円の家賃を払うのは苦しくないですか?

倉持:苦しいですよ! かなりの自転車操業で、貯金はまったくできなかったですね。ワカメにポン酢をかけて食べて、なんとか飢えをしのいでいました。

ただ、いろんなものを切り詰めてでも、住まいにはこだわりたかったんです。家賃って月収の3分の1や4分の1くらいが適正っていいますけど、グラビアアイドルという職業柄「オートロック」はマストだったし、夜道を歩くのは怖いから「駅徒歩5分以内」も外せない。そうすると、都内だと7万円は超えちゃいますよね。

―― 最初の家選びから、求めるレベルが高かったわけですね。

倉持:かなり高かったですね。台所に寝ていた時代の反動もあるし、もっとさかのぼれば子どものころから「いい家に住みたい」という思いはありました。実家が砂壁だったのがコンプレックスで、家に来た友達に「なんでもっちーの家は、壁をカリカリすると砂がポロポロ落ちてくるの?」って言われたのが恥ずかしくて……。だから、将来は絶対に砂壁の家には住むまいと決めていました。

自分を追い込むため、1年ごとに家賃を上げていった

―― 早稲田で初めて一人暮らしをしたのが22歳。以降、頻繁に引越しをされているんですよね。

倉持:そうですね。だいたい1年スパンで引越すので、2年契約の更新をしたことがありません。家が好きだからこそ、ヤドカリみたいにどんどん快適なところに移りたくなるんです。仕事を頑張って、無理なく家賃を払えるようになったら、次はさらに厳しめの家賃のマンションに引越そうと。ここ数年は、どんどん家賃を上げていくスタイルでやってましたね。

倉持由香さん

―― 家賃の支払いに追われて不安になったりはしませんか。

倉持:私、ダメ人間なので追い込まれないと仕事もやる気が出ないんですよ。毎月毎月、死ぬ気で働かないと家賃が払えなくなるぞ!っていう状況に身を置くことで、何事にも全力を尽くせると思っているんです。ちなみに、これまでの家賃の推移は、早稲田の7万5000円、池袋の11万円、大塚の17万円ときて、最終的には1つ前のタワマンの36万円まで上がりました。

―― それはすごい……。その住まい遍歴を振り返っていただきたいのですが、2軒目の池袋のマンションはどんなところでしたか?

倉持:「アクサス池袋」という、池袋駅北口から徒歩4分のマンションです。部屋は8畳くらいの1Kでした。フローリングの白い床が気に入って、その時から家具も全て白で統一するようになりましたね。あとは、浴室乾燥がとても便利だったのと、タンクレストイレのスタイリッシュさにグッときて決めました。そこから、「浴室乾燥」と「タンクレストイレ」が私のマスト条件に追加されましたね。

そこもやはり1年くらい住んで、次は「レジディアタワー上池袋」という、大塚駅から徒歩9分のマンションに引越しました。1LDKで家賃が17万円。当時の月収が25万円〜50万円くらいだったので、ギリギリですね。

―― めちゃくちゃギリギリですね。ただ、それでも住みたくなる魅力があったわけですよね。

倉持:内見したときにエントランスがホテルのように綺麗で、とてもワクワクしました。駅からは少し遠かったんですけど、たぶんここに住んだら帰宅するたびに達成感があるだろうなと思ったんです。「私、このためにお仕事頑張ってるんだな~」と感じられる未来が想像できたので、内見した瞬間に即決でしたね。

―― 実際の住み心地はいかがでしたか?

倉持:1LDKなので、寝室とリビングを分けることができたのがうれしかったです。私は収集癖のあるオタクなんですけど、そのころに全自動雀卓を買ったりゲーミングPCをいただいたりして、さらにモノが増えてしまったんですよ。さすがに寝室に雀卓を置くのは嫌だったので、「寝る場所」、「趣味の場所」、「食事をする場所」と、生活の目的に応じて空間を区切れる広さと間取りは快適でした。

あと、マンションの入口にあるモニュメントがポケストップに登録されていたんですよ。当時「ポケモンGO」にハマっていて、遊びにきたグラドル仲間と家でずっとポケモン狩りをしてました。「もっちーんち、ゼニガメめっちゃ出るじゃん!」って(笑)。

家賃36万円。憧れのタワーマンションへ

―― そして、次のマンションの家賃が36万円。一気にジャンプアップしますね。

倉持:はい。都心のタワーマンションでした。じつは、ハタチくらいのころからずっと住みたいと思っていたマンションなんです。当時、居候をさせてもらってた吉田山(吉田早希さん)と歩いていたときにそのマンションの前を通りがかって、「ここ、最上階にジムとプールがあるらしいよ」と聞いたときに「なにそれ? 絶対住みたい!」と。

それからはそこに住むという目標を叶えるために、仕事を頑張るようになりました。物件サイトでそのマンションを「お気に入り」に登録して、毎日毎日、隙あらば写真や間取りを見ていましたね。あとどれくらい稼いだら、ここに住めるんだろうと考えながら。

―― 実際にそこまでたどり着いているのが凄い。念願のタワーマンション、住んでみてどうでしたか?

倉持:幸せでした。芸能関係の人も多く住んでいて、華やかな世界だなーと。部屋も素敵で快適でしたしね。あと、何よりフロアごとにゴミ捨て場があるのがうれしかったです。しかも内廊下なので、雨に濡れずにゴミをすぐ捨てられる。なんて便利なんだろうと思いました。「これがタワーマンションか……」って(笑)。

倉持由香さん念願のタワマンでの歓喜の一枚

―― しかも、最上階には憧れのプール付きジムもある。

倉持:そうなんですよ。ただ、1年半くらい住んでいたんですけど、ジムには3回くらいしか行きませんでした。確か、引越した初日に行ってみたんです。新しいジムウェアも買って、「夜景見ながら走るぞー!」なんてウキウキで。でも、実際に走ってみたら、私そういえば運動嫌いだったわ……ってことに気づいて。

わざわざ疲れることをするより、お部屋でぐだぐだ漫画読んだり、ゲームしてるほうが絶対いいじゃんと思ってしまった(笑)。それからは、友達が来たときにプールで泳ぐくらいで、ほとんど行かなくなりました。

35年ローンで家を買いました

―― 今年、そのタワーマンションから離れ、ついにマイホームを購入されました。経緯を教えていただけますか?

倉持:憧れのマンションに住んで1年経ったころの確定申告で、税理士さんから年間400万円以上を家賃に使っていると改めて指摘されたときに、「私、バカなのかな?」と思って。さすがに使いすぎなのでは?と、我に返ったんですよ。有り余るほどお金を稼いでいたら気にならないと思うんですけど、月収100万前後だったので気にならないほど余裕があるわけじゃなくて。

それに、年に3回しか行かないジムのために高い共益費を払うのもなあと、少し冷静になりました。同じタワーマンションでも、自分にとって本当に必要な条件、例えば「内廊下」や「フロアごとのゴミ捨て場」といった部分だけクリアしていればいいんじゃないかと考え、また物件を探し始めました。

―― それにしても、27歳で購入は思い切った決断ですね。

倉持:ちょうどそのころに結婚の話も出ていたので、思い切って買ってしまおうと。SUUMOの「購入」のタブを、初めてクリックしましたよ!(笑)。最初は3LDKがいいと思っていたんですけど、東京の都心部でファミリータイプとなると億を超えてしまうんですよね。それはさすがに現実的ではないし、子どももできるかまだ分からないし、当面は2LDKでいいかと。

そこからは、かなり入念に調べました。資料請求もめちゃくちゃ登録したので、マンションのポストがパンパンになり、営業電話もじゃんじゃんかかってきましたよ。結局買ったのは中古なんですけど、当初は新築も探していたのでモデルルームも7軒くらい行きましたし、中古も十数件は内見しましたね。

ただ、それだけじっくり探しても、決めるときは一瞬でした。これまでに住んだ家も、内見でピンときたら決めてしまうことが多かったですね。部屋が放つオーラというか、なんとなく自分に合う部屋かどうか直感で分かるんですよ。

倉持由香さん

―― ちなみに、先ほど当面は2LDKでいいとおっしゃっていましたが、家族が増えたときの買い替えも視野に入れていますか?

倉持:そうですね。それもあり、都心で複数路線が使える駅近マンションなら数年経っても価格があまり下がらないだろうと思って、ここに決めました。

―― 複数路線が使えると仕事に行くのも便利ですよね。

倉持:そうですね。夫はプロゲーマー(ふ~ど選手)なのですが、サラリーマンの方のオフィスみたいに選手たちが集まって毎日対戦会をする場所があって、そこへの行きやすさも考えました。どちらかというと、立地は夫の仕事の都合に寄せたかもしれないですね。

―― 今年11月に入籍されたふ~どさんとは、以前から同居していたのでしょうか?

倉持:早稲田の家のときからちょいちょい遊びには来ていましたが、本格的に同居を始めたのは前の物件からです。同居といっても、ほぼ私が支払いをしていたので居候みたいな感じでしたが……。

もともと夫はゲーマー仲間の家で共同生活をしていたんですけど、ゲーム業界には「ゲームがうまい人は家賃を払わなくていい」みたいなナゾの掟があるみたいで(笑)。家賃も払わなくていいし、家事もしなくていい、その代わりゲームがうまいから教えてあげられる。それがゲーマーの間では絶対的な価値らしくて。だから、私の家に住み始めたときも、「え?家賃って払うの?光熱費…?」みたいな感じでした。

―― ただ、さすがに購入となるとそういうわけにはいきませんよね。

倉持:そうですね。揉め事の原因をつくりたくなかったので、説得に説得を重ねて今は夫と住宅ローンを折半してます。二人とも不安定な職業なので心配だったんですけど、お互いにそれなりの収入がある今なら審査も通りやすいだろうと思って。結婚前から連帯で【フラット35】を組みました。不動産仲介会社さんがすごく親切で、銀行に掛け合ってくれたりもして、本当に有難かったですね。

「素敵な家」が人生のモチベーション

―― 今日はそのマイホームにお邪魔しているわけですが、ゲームのぬいぐるみやおもちゃなど、倉持さんの趣味や好きなもので埋め尽くされた空間ですね。

倉持:でっかい子ども部屋、みたいな感じにしようと思って。ゲームグッズを置きまくったり、壁にステッカーを張ったり、ドラクエっぽい壁紙を貼ったりしています。あっちの部屋には、ゲーミングPCや全自動雀卓、スペースインベーダーのアーケードゲーム筐体もあるんです。子どものころにあまりゲームを買ってもらえなかった反動で、お金の許す限り好きなものを買ってしまっていますね。

倉持由香さん左端に見えるのがインベーダーの筐体

―― そんな最高の空間で、普段どのように過ごしていますか?

倉持:寝てるかゲームしているか、ネットショッピングをしたりしてますね。徹夜で朝までゲームして、そこから夕方までたっぷり寝るのが最高です。お休みの日は15時間とか平気で寝てしまうこともあるんですけど、罪悪感はまったくないですよ。ダメ人間って楽しいなと思います。

―― 仕事や用事がなければ、家から一歩も出ないんでしょうか?

倉持:出ません! 休日、いかに外へ出ずに生活するかが私のテーマなので。食事もUber Eatsだったり、1階のスーパーで買い溜めした食材をホットクックに詰め込んで、スープやカレーをつくって食べています。だから、スーパーが徒歩1分以内のところにあるのも、私のライフスタイルにとっては大事な条件の一つですね。そういえば、前の家もその前も、マンションの敷地内にスーパーがありました。なるべく家に長くいるために必要な環境を、自然とチョイスしているような気がします。

―― もう、とにかく家が好きなんですね。

倉持:好きですねえ(しみじみと)。服はメルカリで安く買うし、食事にも強いこだわりはありません。いい服を着るとか、高級なものを食べるとかはどうでもよくて、とにかく素敵な家に住みたい。それが、私のお金を稼ぐモチベーションの全てといってもいいかもしれません。家が大好きなんです!

―― 自分にとって大事なものが明確で、そこに集中してお金を注ぎ込む。そして、そのために仕事を頑張る。とても素晴らしいと思います。

倉持:ありがとうございます。以前は「なんでそんなにいい家に住めるんだ? 誰かに援助してもらってるだろ」と言われることも多かったんですよ。でも、全くそんなことはなくて、ただただ収入を家賃に全振りしてきただけなんです。援助してもらってたら家賃なんて公表しないですし。私は毎日ワカメ生活でも良いから、タワーマンションに住みたいんです!(笑)。

―― 執念すら感じます。ただ、家を購入されて、さすがにもう物件サイトをチェックすることもなくなったのでは?

倉持:いやいや、今も隙あらばSUUMOを見てますよ。次の目標がありますから。

―― なんでしょうか?

倉持:もし家族が増えたら、地元の千葉に子ども二人が遊びまわれるような庭付きの一戸建てを買いたいんです。あとはスタジオ経営もしたいんですよね。グラビア撮影もできて、ゲーム関連の配信や練習もできるスタジオをつくるのが目標です。

倉持由香さんドラクエ風の壁紙の前で撮影したスタジオ風のカット

「尻スタ」ってみんなに呼んでもらえたらいいな〜と、まだまだ夢は広がっています(笑)。あと、最近は宅建にも興味がありますね。

―― 宅建……。家が好きすぎて、すごい領域に達してますね。

倉持:そうですね(笑)。でも、大好きな家のことなら勉強も頑張れると思うので。いずれにせよ、「家」が私の人生における大きなモチベーションであることは、これからも変わらない気がします。ずっと家を愛して生きていきたいですね!

今回ご紹介した物件

お話を伺った人:倉持由香(くらもち ゆか)

倉持由香

グラビアアイドル。特技は、絵を描くこと、足でゲームをすること(スーパーマリオ8面までクリア)。グラビア好きなグラビアアイドルがTwitterで行う部活動「#グラドル自画撮り部」の発起人・部長。写真集に『台湾驚異的美尻集』(ワニブックス)、『ふなばしり』(学研)など、著書に『グラビアアイドルの仕事論』(星海社新書)。

Twitter:@yukakuramoti

取材・執筆:榎並紀行(やじろべえ) 撮影:小野奈那子 編集:はてな編集部

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