Pandora Hearts

第十八話「とある従者の死について」

オズの持つ懐中時計と同じ曲を弾いていたエリオットとリーオの二人と出会ったオズ。しかし、些細な事でエリオットと喧嘩をしてしまい、曲のことは聞けずに別れてしまう。

しかしその直後、突然バスカビルの民が現れ、エイダを人質にしてオズにあることを迫る・・・


読みかけの本の続編

「うわ~。聖騎士物語の続編だ~。今すぐここで読んじゃいたいなあ・・・あれ?1冊抜けてる?」

「ああ、悪いな。俺が借りてたんだ」

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オズの持つ懐中時計のピアノ曲を弾いていたのはエリオットとリーオかもしれないということで、エイダに連れられて学校の図書館にやってきたオズ。
そこで、10年前に愛読していた聖騎士物語という本がかなり冊数を重ねていることに気付いて驚喜します。

10年前だから相当巻数が出てるようですねえ。当時数冊しか読んでなかったようだし、それが10年間で20冊近く出てるような感じですからね。

これは本好きとしてはたまらない展開ですねえw(笑 好きな本が気付けば相当量出てたとかなんて嬉しくて驚喜しちゃいますよw まあ、だけど10年後にも連載しているような好きな本って果たして何冊あるだろう・・・(^ー^;A

今読んでる本で10年後も連載してそうなのって・・・「こち亀」くらいしか想像できない(笑


そしてオズは同じ聖騎士物語を借りていたこの少年に好感を持ち、思わず話しかけてしまいます。

「この話、好きなの?」

「まあな」

「俺も!俺も大好きなんだ!特にあの聖騎士の従者、エドガー!いいよね~。いつだって自分より他人のことを大事にしてさ。誰かを守るためなら自分が傷つくことも厭わない立派な人だよね」

「悪いが俺はあのエドガーってクズが大嫌いだ。言ってることが独善的でムカつく。自己犠牲なんてウゼえ。何より気にくわないのがその最後だ!自らの命を投げ打って主人を守り、一人死んでいく。あんなのただの自己満足だ!」・・ってどうした?」

「エドガーって死ぬの?」

「死んだだろ。16巻の半ばあたりで」

「うわああ!それ無茶苦茶ネタバレじゃん!!」

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オズの好きなエドガーというキャラをエリオットは嫌いなようです。これはこの後の話しにも関わってくる象徴的なキャラのようですね。

自分の命を二の次にして他人を守る。自己犠牲が強く、陶酔するタイプのようで、オズはこの自分を犠牲にしても他人を守るという姿勢に感銘したようですが、エリオットはその姿勢を否定。
まあ、エリオットの気持ちもオズの気持ちも分かるけどねえ。
基本的に日本人は自己犠牲の話が好きなのでオズの方が受け入れやすいでしょうね。エリオットの方はそうやって他者を犠牲にして生き残った者たちのことを考えていますからね。他者が命を賭けて守ってくれたってのは聞こえはいいけど、守られた方は一生、その業を背負って生きていかなければならなくなるのですからね。

とはいえ、これもどっちがいいとか悪いとかって問題じゃないんですけどね。
人間には惻隠の情ってのがあるから、困っている人や助けを求めている人は、反射的に助けてしまうことがあります。そこには打算どころか自己犠牲のような精神もなく、反射的な行動といえるでしょう。
自分が生き残るってことは正しいことだし、自分のできる範囲で他者を守るというエリオットの姿勢も、何が何でも誰かを守ろうとするオズの姿勢も、どちらも否定も肯定もできない人間の本質的な性質の一つではないでしょうか。


このネタバレで二人は喧嘩になり、さらにエリオットがエイダを嫌っているような態度を取るものだから、オズとエリオットはいがみ合うようになってしまいます。
結局、あの曲のことまで聞きそびれてしまい、オズは後から後悔して再びあの二人に会いに行こうとしますが、そこに徒然、バスカビルの民が乱入してきます。

バスカビルの民

「エイダ!」

「ハロ~、オズ坊や。お姉さんをいいことをしましょう」

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唐突に現れるなあw まさかこんな学校の中にまで手を出してくるとは思わなかったので、オズと一緒でびっくりですよw バスカビルの連中もあまり表沙汰にするのは嫌がっているような感じだったのに、なんでわざわざ生徒が多い学校に何て現れるんでしょうかねえ(^ー^;A

そしてオズとエイダは学校にある秘密の地下室に連れて行かれ、さらにエイダは毒を飲まされてしまいます。

オズへの要求

「私たちは目的を果たしたいの。効率よく。・・・貴方の大切な人が命の危機にさらされてます。それを救うには貴方が死ななければなりません。貴方はどうする?」

「死ぬよ。それしか方法がないなら。迷わずに・・・」

「やっぱり。そう言うと思った。坊やは歴とした加害者だわ。誰も傷付けずに生きる事なんて不可能なのよ」

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まあ、誰も傷付けずに生きるのは不可能だろうけど、だからってバスカビルの連中みたいに人殺しを是としてちゃ人間社会は成立しないですけどね(^ー^;A

バスカビルの連中がどういう志操で戦っているのか知らないけど、人間は誰かを傷付けなくちゃ生きていけないから人殺しもOKみたいな感覚だとちょっと悪党としては小さすぎるなあ。
しかもこいつらは命令を受けて実行するだけの殺人マシーンのようだけど、そいつらがこんな質問してくるのも変だしね(^ー^;A こいつらこそ、何も思考せずにボスに依存して思考停止している連中っぽいのになあw

そして彼等の要求は、オズにサブリエの悲劇の真相を話すこと。バスカビルの手の者なのに、自分たちが起こしたサブリエの悲劇の真相を聞きたいとはこれ如何に?(^ー^;A
こいつらはバスカビルでも特別というかはぐれ者なんでしょうかね? こんな所で仕掛けてくるのも姑息だし、何より聞いている内容が独善的過ぎてその意図がまるで理解できませんからねえw


エイダの解毒剤を盾に強請られるオズですが、彼自身が知るはずもなく正直にそのことを話すと、どうやらオズ本人ではなく、オズの中にいるジャックに聞きたいとのこと。
どうやってジャックの存在を知ったんでしょうかね?(^ー^;A 一緒にあの空間にいたのか?

エリオット・ナイトレイ

「そこまでだ!」

「誰!!? 迷子?・・・なわけないわね」

「この場に居合わせた者の義務として、おまえら全員捕縛する!」

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「バスカビルは百年前の大罪人だ。それを討ち取ることは貴族の使命であり誇り」

「これは俺の問題だ!おまえには関係ない!逃げてくれ!」

「黙れこのエドガーきどりが!傷つくことを恐れぬことの何が強さか!そんなもの、何かを背負おう覚悟がないヤツがほざく戯れ言だ!」

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あくまで他者を傷付けまいとするオズと、そんな自己犠牲を否定するエリオット。
エリオットはオズを助けるというのではなく、居合わせた者の義務として彼等を捕縛すると宣言したことからも、情動から発したものではなく義務と権利をもって動くということでしょうか? ノブレスオブリージュというように、持てる者の義務ということで、ナイトレイ家に生まれた者は生まれたその瞬間から覚悟を背負わねばならず、その義務と権利と覚悟を全うするために生き抜くというのが彼の生き方なんでしょうね。命を賭けて他者を守るというのではなく、出来る範囲内でできることをする。命を賭けて他者を守るというのは行きすぎた越権行為のようなものと考えているのでしょうね。


さすがにエリオットは口先だけでなく、バスカビルたちに対しても一歩も引かず良い勝負を見せます。。

「リーオ!」

「なに!?」

「来い!彼女を救うのが先だ!」

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剣で勝負している最中に、リーオがこっそりとエイダに付いているバスカビルの一人を撃ってエイダを奪還。驚いている好きにエリオットもオズを助けて逃走します。

この手際は見事というべきか、バスカビルの連中が対応遅いというべきかw 
捕縛するとか大口を叩くだけの剣術を見せて戦う意思を押し立てながら、こっそり人質奪還して逃走するってのはバスカビルの連中には想いもよらなかったんでしょうかね?


こうしてバスカビルの手から逃れたオズたちですが、地下迷宮に入り込んでしまって逃げ道が分からなくなってしまいます。
そしてオズとエリオットはまたしても考え方の違いで衝突します。

エリオットとオズ

「おまえの自己犠牲なぞ、自己満足だ!それで誰かを救えた気になっているのか? 守りたいのは自分自身のくせに!」

「!!」

「残された者の痛みも知らないくせに!おまえがそんな甘いことを抜かしてられるのは、その痛みを他人に押しつけているからだろうが!自分の命を軽んじるやつに、誰かの命を守る資格なんてねえ!」

「うるせえっ!」

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図星を疲れて動揺するオズ。確かにオズの自己犠牲で残されたエイダたちは相当辛い思いをしたのでしょうけど、まあこれは場合が場合だから仕方ないような気もするけどw だけどそいうオズをみながかばおうとして逆に危ない目に合わせてしまうってのはなるほどとうなずけますね。オズが誰かを守ろうと命を賭けるたびに、オズを守ろうとする誰かを傷付けてしまう。

堂々巡りになりそうな命題ですが、オズがこの命題に答えを出す時が真に覚醒する時なのかな? そしてこの命題に正解というのはなく、己の信念の置き方次第なんでしょうけど。

ギルとアリス

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その頃、ギルは女生徒に気に入られてアイドル的な存在に。そしてアリスはバーベキュー同好会に乱入して肉を堪能中と、オズが追い詰められているのにこちらはコメディモードのままのようです(笑

今回はギルもアリスも不在でエリオットとオズで進められるようですねw

年上なのに「お兄ちゃん」と呼ぶエイダに萌える回だと思えば、この作品はそんな予断を許さないようですな(笑

オズの生き方、その信念を真っ向から否定するエリオットの存在が現れたことで、オズの心に変化が生じそうですね。

この変化がオズの新たな覚醒を招くのでしょうけど、果たしてどういう結末に持っていくのか興味津々ですなあw

でもまあオズは悩んで苦しむのもいいけど、そういうのを全て内に抱いて飄々とする劉備のような風格こそが彼の本領なので、あまり深いところまで追い詰めないで欲しいところですかなw