日本人の給料がまったく増えない悩ましい事情

雇用形態や人事評価で不利、中小企業も苦しい

もはや国際的な競争力も失っている(写真:MaCC/PIXTA)

日本人の給料は欧米の主要国をはじめ国際的に見ても、もはや競争力を失っている。このところ上昇基調であるといっても、まだ年間440万円ほどだ(国税庁「民間給与実態統計調査」調べ)。これは、サブプライムローンショックのはじまる2007年当時の水準に近づいた程度だと、前回の記事「日本人の給料がまるで上がらない決定的な要因」(2019年12月7日配信)で指摘した。

日本は製造業の考え方がベースにあり、なかなか給与が上がらない構造にあるというのが前回の記事での論点だ。製造業は、一致団結してものづくりにあたる。流動性も低く、人材の定着率がまだまだ高く、長期雇用を前提としている以上は、どうしても賃金が上がりにくい。

ただ、同じく製造業の大国と思われている、ドイツ、中国などと比較したらどうだろうか。10年前のデータが残っている、ドイツ(デュッセルドルフ)、日本(横浜)、中国(北京)で、製造業の給与水準がどのように変化したのを調べてみよう。すると、ここでも、日本以外は大きく給与水準を上げているとわかる。

10年前を100としたときに、2018年がどれだけ上がっているか、下がっているかを示したグラフで見てみよう。(外部配信先ではグラフを全部閲覧できない場合があるので、その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

作業者の賃金は、もともと中国が低く、その上昇は理解できる。しかし、同じ製造業大国であるドイツは、エンジニアやマネージャーともに、大きく賃金を上げているのがわかる。つまり、日本は各国が伸びているなかで、ジリ貧に陥っている状況がわかる。

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  • やれやれa2e71308f1fc
    日本は20年以上よく言って現状維持だ。悪く言うと成長していないどころか途上国より遅れを取りつつある。先日もダイソーの100円(税別)商品を買い漁る外国人が話題に出ていたが、欧米だけでなく東南アジアの人も買い漁っていた。なんと驚いた事に東南アジアのダイソーの半額近くなんだと。香港空港のダイソーも高いなと思ったが空港だからだろうと考えたが違っていた。恐らく世界で最も安いダイソー製品は日本。100円以外の商品も多いが相変わらず主力は100円だ。100均ショップが全然値上がりしていない。結果世界最安?それだけ経済が停滞しているという訳だ。食べ物だって東南アジアでこそ日本と同等かそれ以下で食べられるが価格差は僅かだ。欧米では1.5~2倍高く感じる。全て賃金が上がらないから物価が上がらない、物価が上がっても賃金は上がらないから消費が冷え込んでいるに他ならない。
    up93
    down9
    2019/12/25 09:34
  • 流されないロスジェネa12a7d05d99c
    国内で生活している分にはデフレ効果でそんなに感じないけど、海外に行くと食事するだけで物価の違いを感じます。
    up73
    down10
    2019/12/25 09:22
  • 3bf7da736bf4
    日本人の大半は頑固で、そういうのが経営者や管理職になったところで融通の利いたことができないのは自明の理と思います。
    そもそも既得権益の存在が大きすぎる。
    自分やせいぜい身内のためにしか生きていない層があらゆる利益を得続けていることが最大の問題。でなければここまで社員の評価に正当性がないのもおかしい。搾取する層がいるからである。それを誤魔化し誤魔化しきても、国の衰退となって表れている今、今更どんなに評価の正当性を疑問視しても、無意味。全ては既得権益層の存在故。国が滅ぼうが自分の金だけは離さない。国民はその痛み分けをしているだけ。
    up68
    down12
    2019/12/25 09:01
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2020大予測<br>編集部から(2)

「2019年は面白い年だった。成長、停滞の30年サイクルの節目だから」。取材の冒頭、そう言ったのは元カルビー会長の松本晃氏。今回の目玉は計85人、経営者だけでも64人のインタビュー。各業界にフォーカスし、先行きを如実に示す経営者の肉声が満載です。(許斐)