「2020年5月の期限に向けて課題も多いと聞いている。本日は当庁がお願いした会合だ」。2019年11月7日、第二地方銀行協会に加盟する地銀39行の役員クラスと電子決済等代行業者(電代業者)の担当者らを前に、金融庁信用制度参事官の岡田大氏はこう語った。会合の目的は、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)接続契約の促進。前日の11月6日には、全国地方銀行協会と電代業者とも同様の会合を開催している。

 岡田氏が、会合の主催者が金融庁であることを明示したのには理由がある。API接続契約を巡る交渉は、「ここ3カ月はほとんど進んでいない」(電代業者の幹部)。最大の障壁がAPI利用を巡る料金水準だ。API基盤の導入コストを回収したい銀行と接続料を抑えたい電代業者間で折り合いがつかないケースが少なくない。オープンイノベーションの推進を掲げて銀行法改正に踏み切った金融庁としては見過ごせない事態を前に、「経済条件については当事者間の交渉に任せる」というこれまでのスタンスを少なからず転換した格好だ。

 金融庁の打ち手は奏功した。7日の会合以降、ある電代業者のもとには、複数の地銀から「経済条件について改めて議論したい」という話がきているという。

公正取引委員会も調査

 時計の針が動き出したAPIの契約交渉だが、楽観視できる状態とは言い難い。金融庁が11月15日に公表したところによると、電代業者が立たされている現状は厳しい。2019年9月末時点で、契約締結行が最も多いマネーフォワードで35行。Zaim、マネーツリー、freeeは20行前後にとどまる。PFM(個人資産管理)やクラウド会計は、多くの銀行口座データを収集できることを前提としたサービス。複数の関係者が、「2020年5月までに全行とAPI契約を締結するのは無理」との見立てを示す。その場合、従前の方式であるWebスクレイピングの契約を締結するしかないが、個人のアカウント情報を電代業者に預けるやり方は、API導入の利点として当初掲げられてきた〝セキュリティーの向上〟に逆行する。

(出所:金融庁)
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