大峰山脈・前鬼
下北山村前鬼は修験者のための行場が集中する聖地であり、釈迦ヶ岳登山の東側の玄関口でもあります。
そして、その聖地から注ぐ前鬼川はコバルトブルーの水が楽しめる沢登りスポットであり、転石から手軽に水晶や電気石が採集できる鉱物産地でもあります。
また前鬼川を下った池原ダムはブラックバス釣りの聖地となっており、周辺にはレジャー客を当て込んだ売店や銭湯が点在する意外と便利な探索の基地でもあります。

前鬼入口では不動七重の滝が迎えてくれる。
現在、林道前鬼線は法面工事のため、土日祭日を除き不動七重の滝手前で通行止になっておりますのでご注意下さい。
大峰ギャラリー
産地へのアクセスと採集方法

まず産地①ですが、前鬼林道のゲート前の駐車地に車を停めます。
ゲートを越えて林道を30分ほど登ってゆくと、小仲坊という宿坊が現れます。
すぐ脇を流れる谷が産地です。
なお電気石は谷の全域で採集できますが、結晶の鮮度が高く、水量が少なく歩きやすい宿坊より上流がお薦めです。
採集方法は河原の白い転石についている晶洞中の結晶を割り出すだけですが、母岩が非常に硬いです。
私は1.8kgのハンマーと太めのタガネを使っていますが、それでも割り難い所に晶洞が開いている場合は、諦める事が多いです。
一つの岩と長時間格闘するのも良いですが、足で割り易い石を探してゆくのも方法の一つです。

産地②は、ゲート前の駐車地から林道を100mほど戻った所にあるガレ場を降りた河原です。
目の前が黒谷と前鬼川本谷との分岐点になっており、本谷上部にある空鉢谷、深仙股谷からの転石が期待できます。
採集場所の河原はそれほど広くありませんし、摩耗した結晶が目立ちますが、たまに面白い転石が見つかります。
水量が多い時期は探索範囲が狭まるため、夏場に水遊びを兼ねて採集されると良いと思います。
さて地質の概要ですが、大雑把に言うと山の上の方は花崗岩、麓の方は熱変性を受けた堆積岩でできています。
当ページで紹介する鉱物は全て花崗岩から採集されていますが、その花崗岩は広範囲にわたって繰り返し熱水変成を受けています。
そして、より熱水変成の度合いが高い花崗岩を意識して追跡する事で、効率的に面白い鉱物に近づく事ができます。

長石、石英、黒雲母を含んだ通常の花崗岩です。
やはり熱水により徐々に冷やされる過程が無いためか、この母岩から採集できる水晶は総じて白濁しています。

繰り返し熱水変成を受けた花崗岩です。
黒雲母が見当たらない事で通常の花崗岩との違いは一目瞭然です。
透き通った美しい煙水晶、日本新産鉱物のフッ素苦土電気石は、この母岩から採集されています。

比較的熱水変成の度合いが低い花崗岩です(参考のため掲載します)。
通常の花崗岩に比べて黒雲母の量が少なくなってきているのが分かると思います。

花崗岩中を走る熱水脈の様子です。
※)産地の現状
さて、以上のような産地紹介記事を実は2012年の年末に完成させてました。
そして翌年の9月の学会の後に公開しようと考えていたのですが、ブログに書いた事が災いし、それなりの数の採集者が採集に入ったようで、2013年8月11日に久しぶりに黒谷を訪れた時にはあちこちに転がってた鉄電気石のマトモな結晶がほとんど見つからない状態でした。
私が最後に黒谷を歩いたのが2012年10月6日ですから、1年も経ってない事になります。
今、かろうじて鉄電気石のついた転石が見つけられるのは②の周辺です。
ただ勝手がわからないと、最悪黒い染みがついたような転石しか見つからない可能性が高いので、観光のついでと割り切って決して期待しないで下さい。
フッ素苦土電気石に関してはノーマークなため、拳大の転石を①で2カケラ見つけましたが、かつて私が3つに割ったものの残りです。
とにかく黒谷での産出が少ないのです。
山奥にある空鉢谷までたどり着ければそれなりに転がってますし、露頭もありますが、登山道がありません。
普通の登山者は一切通りませんし、クマも出ます。
そんな危険な産地をオススメできませんので、ちょっと困った事になったなと思ってます。
採集実績のある鉱物
煙水晶 / 煙水晶 / 煙水晶の晶洞 / 斜長石 / ペグマタイト / ペグマタイト
ペグマタイト / ペグマタイト / 鉄電気石 / 鉄電気石 / 鉄電気石 / フッ素苦土電気石 / フッ素苦土電気石 / フッ素苦土電気石
苦土電気石 / フッ素燐灰石 / フッ素燐灰石 / チタン石
大峰山脈・八経ヶ岳の斧石 / 斧石と緑簾石 / 斧石脈が走る露頭
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