先日の情報処理安全確保支援士の記事については、それなりの反響をいただきました。

支援士の登録をするとなると、それなりのコストがかかりますので、自分なりにメリット、デメリットを調べてみました。支援士の方、支援士に登録しようとしている方、支援士を目指している方の役に立てれば幸いです。
デメリットは?
デメリット① 経済的負担
前回の記事にも書きましたが、これがやはりいちばん大きいデメリットかと思います。
この資格の性格からも技術や知識の維持は必要と思いますので、年間2万円までは必要なコストとして理解できます。ただ3年目の集合講習はキッツいなあというのが私の率直な感想です。
デメリット② 法定義務
情報処理安全確保支援士は「情報処理の促進に関する法律」およびその施行令、施行規則によって法定義務を負います。
上記3つの義務に違反した場合は懲戒処分あるいは罰則を受ける場合があります。罰則は支援士業務上での秘密保持の義務に違反した場合ですが、結構重く、1年以下の懲役あるいは50万円以下の罰金となります。
以下が法令に関してはよくまとまっています。
メリットは?
メリット① コネクテッド・インダストリーズ税制(IoT税制)の適用条件
これはIoT関連の事業における税制措置ですが、その認定を受ける要件の一つに情報処理安全確保支援士によるセキュリティの担保が挙げられています。そのため自社や他社がこの措置の認定を受ける場合に活躍することができます。
ただ残念なことにこの措置は2020年3月31日で廃止となります。
メリット② 入札要件
情報処理安全確保支援士は士業として国から認められている資格であるため、支援士を擁していることを入札要件とする案件が増加しているようです。
政府CIOによる標準ガイドラインの一つ「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン実践ガイドブック」には人材に関する要求要件例として情報処理安全確保支援士が記載されています。
具体的な案件を見かけたことはまだありませんが、今後は一般企業でも、その様な要件を求める案件が出てくることは想像に難くありません。
メリット③ 名称独占
いわゆる士業ですので当然ですが、弁護士や一級建築士と同じく、資格がない者が情報処理安全確保支援士の名称を使用する事は禁止されています。
ですから、名刺やウェブサイトなどで肩書として「情報処理安全確保支援士」と書けるのは情報処理安全確保支援士だけです。
メリット④ 情報処理安全確保支援士検索サービスへの登録
「情報処理安全確保支援士検索サービス」は情報処理安全確保支援士を検索できるサービスです。氏名や所属企業等を出すことも隠すこともできますが、堂々と出すことで、関連業務の引き合いのチャンスを増やすことも可能かもしれません。
メリット⑤ 情報処理安全確保支援士会(JP-RISSA)の入会
支援士のみで構成される情報処理安全確保支援士会に入会することができます。どのようなものかまだよくわからないです。
メリット⑥ 情報セキュリティ監査人補の資格取得優遇
日本セキュリティ監査協会(JISA)の資格認定のうち情報セキュリティ監査人補の資格について筆記試験が免除され、トレーニングが1日に短縮される優遇措置があります。
メリット⑦ (試験合格で可)情報処理学会の認定情報技術者(CITP)資格取得
情報処理学会において、ITスキル標準を基準として所定のレベルに相当する能力があると判定された技術者を認証する制度がCITP制度です。CITPはIP3認定国間でグローバルに通用する資格ですので、外資系企業でもその技術力をアピールできるものと思います。
情報処理安全確保支援士をはじめとした高度情報処理技術者試験合格者は、推薦者の推薦状と所定の審査を通じ認証されます。
メリット⑧ (試験合格で可)ITコーディネータ試験の一部免除
情報処理安全確保支援士をはじめとした高度情報処理技術者試験合格者は、経済産業省の推進資格であるITコーディネータ試験の選択科目が免除となる、専門スキル特別認定試験が受験できます。一覧で見ると免除対象の資格が「情報処理安全確保支援士」とあり登録していないと免除されないように見えますが、他の資格と考え合わせると試験合格のみでも可と思われます。
メリット⑨ (試験合格で可)国家試験等の一部免除
中小企業診断士試験、弁理士試験、技術士試験については、以下の免除があります。
弁理士試験
技術士試験
メリット・デメリットのまとめ
さて、ここまでメリット・デメリットを見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の記事化のため改めて調べてみたところ、メリット⑥〜⑨を見つけました。メリット⑦〜⑨は支援士に登録しなくとも得られるメリットのため、今回検討するの内容からはずれてしまっています。また、ここに挙げなかった、警察官とかITマスターとかJICAボランティア関係にも優遇や条件の一つとなるものがあるようですが、そちらは省略しています。
肩書は飾りだと思う自分ですから、「会社が維持費用を負担してくれないのであれば、登録はしないでいいだろう」と思っていました。ただ、メリット⑥とメリット⑦はちょっと魅力を感じました。JISAの資格はよく聞きます。あまり監査人に魅力を感じてはいないのですが、セキュリティとは親しい関係ということもあり、また監査を受ける側の身である事が多いため、もしかして持ってたら何かに役立つかもと思わせるものがありました。
メリット⑦は支援士でなくても得られるメリットですが、海外でも一応通用しそうな資格ということで興味を引きました。同様の資格(というと叱られそうですが)にCISSPがありますが、これは受験するだけで$699(75,000円弱)かかるのです。そのうえ維持にも3年間で7万円近くかかります。それを考えればCITPを持っておくのもいいかなあと思ってしまいます。(肩書は飾りだと言っている自分が何寝ぼけた事をと思いますが…)
さて、メリット、デメリットについては以上となります。情報処理安全確保支援士試験に合格された(あるいは合格する予定の)方々のお役に立てる情報だったでしょうか。今のところ私は、これらを踏まえ、情報処理安全確保支援士になろうと思います。
もちろん会社に費用負担してもらう予定ですが、個人事業主だったとしても支援士になるかもしれないですね。個人事業の場合は営業が大変ですが、このご時世、その費用分のメリットは十分得られそうな気がしています。
もちろん、私のような変わり者の情報処理安全確保支援士予定者が在籍するJトラストシステムにセキュリティや開発の案件を依頼頂ける企業様のご連絡もお待ちしております。