ボクシングの大みそかのトリプル世界戦(東京都大田区総合体育館)の出場選手が対面するイベントと調印式が25日、羽田空港であり、3度目の防衛を目指すWBOフライ級王者・田中恒成(24)=畑中=は、名古屋から日帰りの参加。同級12位の挑戦者ウラン・トロハツ(26)=中国=に貫禄を見せつけた。
40秒近くにらみ合った後、ベルトを肩に掛けた田中がニヤッと笑って右腕を伸ばした。おずおずと右手を差し出したトロハツ。14戦全勝(8KO)の世界3階級覇者が、初対面の挑戦者をまずは気迫でのみ込んだ。
「自分より小さいのかなという印象くらい」とシンプルに相手の印象を語った田中。対してトロハツは「私より強い、大きいと思います」と早くもお手上げ状態だった。
ゴングまで1週間を切り、調整も最終段階の中で東京滞在約2時間半の強行軍。それでも、世界ランクで挑戦者を上回るスパーリングパートナーと手合わせを重ねただけあって、調整に寸分の狂いもない。「大みそかに向けて何かしらイベントがあるのはいいこと。だから名古屋から東京に来ました」。穏やかに主役として振る舞った。
世界戦初の東京進出でV3を達成すれば、2020年は4階級制覇も視野に入ってくる。足早に帰路に就いたため、同じWBOのベルトを保持しターゲットになる井岡とのそろい踏みは実現しなかったが「自分はつまらない試合は、間違いなくしない」と宣言した。