Photo Stories撮影ストーリー
ボリビアの写真家マヌエル・セオアネ氏は、アイマラ族のステレオタイプでない日常を描こうと試みた。説明は最小限に抑え、それぞれの人の詳細は述べない。この女性の名前は、エバ・フメレスだ。(PHOTOGRAPH BY MANUEL SEOANE)
南米のボリビアを訪れる旅行者は「アイマラ族のことなら知っている」と思うかもしれない。ゆったりとしたロングスカートをはき、たっぷり刺繍を施したショールを肩にかけ、頭に小さな山高帽を乗せた女性の姿を目にしたことがあるのではないだろうか。もしかすると、女性同士が戦う(時には男性と戦うこともある)チョリータ・レスリングも見たことがあるかもしれない。(参考記事:「ボリビア、伝統衣装まとう女性たちの肖像10点」)
アイマラ族は、ボリビア最大の先住民の1つだが(最近失脚したエボ・モラレス大統領もアイマラ族の一員)、長い間、差別されてきた。「曲芸師のようにしか見られていないのです」と、ボリビアの写真家マヌエル・セオアネ氏は話す。(参考記事:「平等を求め戦う「チョリータ」、ボリビアの女子プロレス 写真23点」)
ナショナル ジオグラフィックの支援を受けているセオアネ氏は、2年前から、アイマラであるとはどういうことなのか、ボリビアの都市エルアルトの大学生に話を聞き始めた。エルアルトに暮らす100万近い人口のうち、実に4分の3がアイマラ族だ。「アイマラとは民族的なことを超えたものだと分かりました」と、セオアネ氏は話す。アイマラの人々は、同氏に「私たちは普通の人間です」と語ったのだ。(参考記事:「人間の頭蓋骨を掘り起こして飾り立てるボリビアの奇祭 写真23点」)
セオアネ氏の狙いは、これらの写真を通して、時には伝統衣装に身を包み、時には普通の洋服を着る、アイマラの人々の日常を描くことだった。一連の作品を展示した際、同氏は、被写体のアイマラ族が意外に普通だと、来場者が感想をもらすのを耳にした。「ごく普通の人々に見えたのです」と、セオアネ氏は話す。「成功した、と思いました」
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