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市田柿、飯伊で盗難相次ぐ 何度も被害の農家も

加工中の市田柿が盗まれた農家=17日、高森町加工中の市田柿が盗まれた農家=17日、高森町
 飯田下伊那地域で出荷直前の特産の干し柿「市田柿」が盗まれる被害が相次いでいることが17日、関係者への取材で分かった。飯田署は同日までに飯田市と下伊那郡高森町から各1件の被害届を受け、窃盗事件として捜査している。同様の相談は昨季も数件あったという。繰り返し被害に遭った農家もおり、本格的な出荷シーズンを前に「悔しい」と憤っている。

 高森町牛牧の生産者の男性(78)は16日朝、平屋の加工場で乾燥させていた市田柿約60〜70キロがなくなっていることに気付いた。生産量の1割程度に当たるという。工程では表面に白い粉を出させて甘くする「柿もみ」の作業を3回繰り返しており、最後の柿もみを控えていた。

 男性の加工場から柿が盗まれたのは今回3回目。約5年前に防犯カメラを設置した。16日未明の映像には、犯人と見られる人物がコンテナを運び出す様子が映っていた。男性は「見通しが良い場所なので、狙われやすいのかもしれない。早く犯人が見つかるといい」と不安そうに語った。

 飯田署によると、14日にも飯田市の農家からビニールハウス内に置かれていた柿数十キロが盗まれたとの被害届があった。同町の農産物直売所「旬彩館」でも12日夜から翌朝にかけて、店先につるしていた展示用の市田柿約300個が持ち去られた。

 みなみ信州農協(本所・飯田市)営農部によると、今季の市田柿は、出荷時の価格が1パック(170グラム)当たり400〜450円で平年並み。店頭価格では600〜700円で取引されるという。営農部柿課は「自宅から離れたハウスなどは狙われやすい。施錠やセンサーライト設置などの対策を呼び掛けていきたい」としている。

(12月18日)

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