はじめに
LITALICOの亀田です。エンジニアしてます。
エンジニア採用も大事な仕事の一つとしてやっています。
今まで1000人を超えるエンジニアの方とお話をしてきました。
昨年までは新卒採用を、今年の夏からはキャリア採用に力を入れてきました。
2019年8月-2019年11月で2000名以上の書類を見て、150名程度の方と面接/面談をさせて頂きました。
何を書いたか
LITALICOでは新卒/第二新卒/中途に限らず(大体)通年でエンジニア採用を行っていて、採用面接の中で「どんな質問をどんな意図で行っているのか」を箇条書きに公開してみた
なぜ書こうと思ったか
理由1:社内ドキュメント化
- LITALICOのエンジニア採用はどんな観点で見ているのか/見てきたのか、の目線が揃うといい
- 今後採用担当者になる人の参考資料になるといい
理由2:外部採用施策
- 「どういう視点で見ているのか、なぜそれを聞くのか」をオープンにし、弊社の文化や求める人物像を面接前から知ることでマッチング精度の向上になるといい(面接日程確定時に、採用部から本ブログを共有してもらおう)
その他補足
- 質問内容を共有しても面接の採否に大きな影響は出ないだろう(さくっと対策が打てて、それで選考結果が変わる面接は本質的な質問ではない)
具体的に以下で何を書くのか
- そもそもどういう組織か
- どんな人を採用したいか、なぜその観点か
- どんな観点で見ているのか、なぜその質問をしているのか
の順番でいきます。
1. そもそもどういう組織か
↓参考になるURL↓
- LITALICO: LITALICOのコーポレートサイト
- どういう人達がいるか: LITALICO Engineers Advent Calendar 2019
- どんな開発スタイルか: 開発プロセスの一例
↓僕が組織づくりで大切にしている思想↓
2. どんな人を採用したいか、なぜその観点か
どんな人物像か
- 人物面
- 思いやり。相手の気持ちに立って行動が出来るか
- ベーススキル面
- 2-1. 日本語能力(≒地頭)
- 複雑な物事をシンプルに整理出来るか
- 様々な具体を簡単な抽象に出来るか
- 他人に合わせた日本語を選択して上手く伝えられるか
- 一定の言語量、言葉の引き出しを保有しているか
- 2-2. 困難に前向きに、主体的に変化を起こせる
- 大きな変化やギャップに違和感で立ち止まりや不満だけで止まらない
- あるべき姿に向けて自ら考え、手足を動かして変えられる、前向きに改善を起こせる
- 2-3. 過去に固執せず、新しいことも素直に学べる
- 過去のやり方に固執せず、組織に合わせた考え方や動き方にアップデートできる
- 思想はあるがこだわり過ぎない、議論の中で考えを進化させられる
- 自分のスキルを過信せず、新しいことを自ら学び、人から学べる、守破離が行える
- 2-1. 日本語能力(≒地頭)
- 技術面
- ポジションと要件によって異なる(ex. 育成枠か即戦力か、アーキテクトかデザイナーか、など)
- その他
- キャリアと仕事のマッチング。自社で適切な仕事が用意できるか
- 働く予定のメンバーとの面談を通して、お互い働きたいと思えるか
要件を決めるときの思想
- 大前提強い組織であるために、多様な人材が集まる組織にしたい。そのため、採用要件の項目は出来るだけ少なくする
- 変化が激しい組織のため、想定外の変化にも対応し、いろんな人とコミュニケーションを取って推進できることが重要
- 採用実績からコンピテンシーを出して項目の抜け漏れを確認(定期的に行っている)
3. どんな観点で見ているのか、なぜその質問をしているのか
ようやく本題です。
書類 (あがってくる書類の量が結構多い前提)
観点1. 情報の量
- 一定の情報量があるか
- 情報量が不足している場合、所属組織が優れていても基本NG (とりあえず会うでミスマッチの確率が高かった)
- 例えば「案件A:Nヶ月:要件定義、設計、開発」だけはNG
- 1案件に対して「PJの概要、具体的な役割」が150-200文字以上は書かれていないと判断しづらい感覚
- 一方ちゃんと見るのは、出来るだけ新しく、ボリュームある案件
- 結構多くの書類を見るから、1人あたりは出来るだけ少ない情報量で決めたい
- (思い返せば面接の通過率高い方は書類も10秒くらいでOKかもしれない)
- 出来るだけ新しい中で、自信ある/貢献したPJ/大きな失敗をしたが頑張ったPJなどを中心に見る
観点2. 情報の質
- 一定のフォーマットに沿って見やすく書かれている
- 「概要、役割、使用言語、学び」などフォーマットの形は何でも良い
- フォーマットなくダラダラとした記載はNGの場合が高い(構造的に考えられない可能性が高い)
- 細かいが、職歴の「上が新しく、下にいくほど古い」になっている
- 10年前の経験より、この1-2年何をしたかの方がマッチング精度の確認では重要
- 恐らく「相手への思いやり、読む人をイメージ出来るか、細かな体験に気を使えるか」が表出される
- 上から下にかけて新しくなる職歴はその後の面接NGな場合が実績としても多かった
その他の観点
- 「その時期にその組織にいたってことは、この専門性強い可能性が高いかも?」などで情報量少なくても通す場合はある。その精度は悪くない
面接
観点1. 過去の経験
- Q. どんなサービスを作ったのかを簡単に説明
- 意図:関わったサービスへの理解度(コミットメントやスタンス)
- 意図:はじめて聞く人に概要が分かりやすく説明出来るか(日本語能力)
- Q. その内、一番自信のある期間は?どんなメンバー?その中で担った役割は?
- 意図:候補者を知る、深堀りする話題を抽出
- 意図:はじめて聞く人に概要が分かりやすく説明出来るか(日本語能力)
- Q. 特に上手く問題解決出来た点は?何が問題?なぜそのアプローチ?何が成果?なぜその問題の優先度が高かった?
- 意図:どういうプロセスで問題解決するのか
- ex. ファクト→課題特定→解決策抽出→意思決定→実行→振り返り
- 意図:事業や経営への成果まで考えて動けるか(したいことではなく、必要なことが行えるか)
- 意図:どういうプロセスで問題解決するのか
- Q. 解決が困難だった課題に対してとったアプローチは?なぜその手段?改めて考えて更により良い方法は?
- 意図:どれだけの難易度をこなしてきたか
- 案件の難易度 << 採用要件の難易度の場合は難しいかもしれない
- 意図:上と被るが、質問の仕方を変えて別の内容を引き出したい
- 意図:どれだけの難易度をこなしてきたか
- Q. 成果が出た中で、周りに助けてもらった/環境が良かったと感じたものは?
- 意図:環境要因とその人の成果を分けて理解したい、どこまで謙虚に捉えられているか
- Q. 組織の中でどう貢献する人か?どういうサポートが必要だと考えているか?
- 意図:自信の能力が発揮されるポイントを理解しているか
- 意図:成果の内、環境要因が大きかったことが結構あるので聞き逃さないようにするため
- Q. 工夫して頑張ってみた/リスクを取ってみたが、上手く行かなかったことは何か?何を学んだ?
- 意図:振り返ることが出来ているか
- 意図:出てこない人は謙虚さが疑わしい、全部上手くいくことはないはず
- Q. 一番大きな権限と責任範囲を持っていた内容は何?その権限の中で最大の意思決定は?なぜ?効果は?反省点は?
- 意図:与えた権限の中でどういう意思決定が出来るか、どこまで任せられるか
- Q. 過去の意思決定で、矛盾の中で正しいかどうか最も判断に困った内容は何か?どう感じたか?どんなプロセスで決まったか?戻るとしたらどうするか?
- 意図:矛盾に対してどう立ち向かえるか、どんな考え方を持つか
観点2. 専門性深堀り
- Q. 使ってきた言語、サーバーの構成は?なぜその構成?もっと良い方法ある?現在の課題は?
- 意図:得意領域、苦手領域の確認
- 意図:技術的な向上や理想形を考えられるか
- Q. 出てきた技術単語についてwhat?why?を淡々と聞く
- 詳細:設計や実装方針や技術選定への候補、メリデメ(なぜ良いか、何が解決されるか)、導入理由
- 詳細:単語の意味、その単語で出てきた単語の意味を更に聞く、それを繰り返す
- 意図:どんなプロセスで判断をする人か(どれだけ任せられるか)
- Q. 設計、開発をするときに大切にしている思想は?絶対にぶらさないことは?なぜそれ?具体例は?それでの成功例と失敗例は?
- 意図:学びを体系化できるか、どんな一貫した行動を取れるか
- 意図:思想だけじゃなくてどこまで実践出来ているか、実現可能性があるか
- Q. プロダクト/プロジェクトマネジメントで大事にしている思想は?なぜそれ?具体例は?それでの成功例と失敗例は?
- 意図:学びを体系化できるか、どんな一貫した行動を取れるか
- 意図:思想だけじゃなくてどこまで実践出来ているか、実現可能性があるか
- Q. (PMの場合)権限はどこまで?KGIは?KPIは?今の経営/事業/プロダクト/技術の戦略と課題は?なぜ?どうすべき?ピンチの時はどうする?
- 意図:どの範囲まで任せられるのか、どこまで考えられるのかを判断
- Q. 各技術(ex. ruby,php,react.js/vue.js/アーキテクト/インフラ)は、組織内で最も詳しい人たちから深堀り
- 意図:どこまでその技術で課題解決が行えるか(深い所まで一問一答が繰り返す)
観点3. ケース
- Q. xxx.jpのURLをブラウザから叩いてページが表示されるまでに起きていることを出来るだけ詳細に説明
- 意図:webアプリケーションの得意領域、苦手領域の確認
- Q. xxx.comの表示が遅いのが気になる、想定される問題と解決のアプローチを考えうる限り教えて
- 意図:問題解決能力の確認
- 意図:webアプリケーションの得意領域と苦手領域の確認
- 良い例:トラブルシューティングのための思考のヒント
- Q. テレビ販売業者の管理者が使うウェブサイトを作る場合のデータモデル、ワイヤーフレームを簡単に(ホワイトボードへ)
- 意図:設計周辺の得意領域、苦手領域の確認
- Q. LITALICOのとあるプロダクト/組織で現在こんな問題があって、あなたに任せたいが、どうやって解決する?必要な情報は可能な限り伝えるので聞いて
- 意図:どんな問題解決をするか
- 意図:どこまで組織やプロダクトにイメージが湧いているか
観点4. 人間面
- Q. イラッとする時は?モチベーションが下がる時は?なぜ?どう対処する?どうしても無理な時は?
- 意図:ネガティブな感情になるトリガーを知り、組織とのマッチングを見る
- Q. モチベーションが上がる時は?やっていた良かったと感じる時は?
- 意図:ポジティブな感情になるトリガーを知り、組織とのマッチングを見る
- Q. (他のメンバーとの面談後)感想は?一緒に働きたい?懸念は?長い時間困難に向かえる?
- 意図:組織とのマッチングを見る
- Q. なぜ転職を考えた?今の会社はなぜ入った?今後どういう観点で企業を見ている?
- 意図:仕事観の確認、転職へのモチベーション
- Q. 今後何がしたい?どんなサービス?どんな技術?なぜそれ?
- 意図:組織とのマッチングを見る
- Q. 今後何がしたくない?どんなサービス?どんな技術?なぜそれ?
- 意図:組織とのマッチングを見る
見ているポイント
- 「要件にマッチする経験と専門性」or「要件の領域は多少経験不足でも何とかする地力や学習力」を有しているか
- 「自分の分かっていること、分かっていないこと」を把握し正直に伝えられるか(自身の理解度が理解出来ていないと難しい)
- 質問に対する解答が返ってくる(謎の導入から入ったり、関係ない補足や内容で長引くと困る)
- 面接官への質問の時間を作った場合は、「質問内容」と「質問の仕方」も結構見ている(問題解決能力)
その他
など僕が書いたものより、遥かに優れたものが存在すると書ききった後に気づいた
最後に
プログラミング試験や、実技試験などはほぼなく、面接中心なので、それ以外の手法は次年度移行考えてもいいかなと思っています。
こういう選考をしている、効果的だ、などありましたら是非情報交換させてください。
また、上記の観点で採用をしているからとはいえ、社内で完璧に出来ていることは決してなく、そのような観点でお互いに学び合い、育てあう中で日々切磋琢磨をしております。成長出来るかも、楽しいかもと、もしご興味持ってくださったら是非連絡くださいませ。
少し早いですが、2020年も株式会社LITALICOをよろしくお願いいたします!