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【羽ばたけ中部勢】

現代卓球に異彩の新星カットマン・小塩遥菜14歳 伊藤美誠にひと泡吹かせたい

2019年12月24日 23時59分

Tリーグデビュー戦で、最近磨きをかけるスマッシュで攻める小塩

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卓球の小塩遥菜(14)=エリートアカデミー=はジュニア世代の注目株として急成長している。競技を始めてわずか2年余りの小学6年で全国大会を制した。今年12月には3歳先輩との日本人対決となった18歳以下の世界ジュニア決勝で敗れはしたものの、中国のエースを破る殊勲の金星を挙げ、石川佳純(26)=全農=以来の準優勝を果たした。

目下の目標は五輪出場においていない。隔年開催の世界選手権個人戦を見据える。「世界選手権の金メダルが最初の目標。それぐらいの力がなかったら、五輪の選考基準は満たせない」と小塩。競争が激化する女子卓球界に思慮深く、強気な新星が現れた。

「伊藤さんと試合ができるところまでは行きたい」。伊藤とは東京五輪の個人戦出場を確実にした伊藤美誠(19)=スターツ=だ。来年1月13日開幕の全日本選手権で準々決勝まで勝ち上がれば、実現の可能性がある。小塩のプレースタイルは、台から離れて返球するカットマン。そのカットマンにめっぽう強い伊藤にひと泡吹かせたいかのような口ぶりには、怖いもの知らずの勢いを感じる。

 「運動神経が悪いから、体作りのため」と幼少期はボクシングに水泳、体操を習った。卓球を本格的に始めたのは小学3年の秋からだ。インターハイ8強の母真弓さん(38)が指導する練習場で楽しそうに汗を流す選手を見て、ラケットを握ってみたくなった。「あなたは動きが遅いし、性格もマイペースだから」と真弓さんにカットマンを勧められた。小塩自身も速いピッチで打つよりは、粘り強くラリーを続ける方が性に合っていた。

 すぐに頭角を現した。全国大会で優勝した小学6年の1年間は実家を離れ、早田ひな(19)=日本生命=ら強豪選手が輩出した福岡県中間市の石田卓球クラブで腕を磨いた。そして昨年、日本オリンピック委員会(JOC)が中高生を集めて五輪選手育成を目指す「エリートアカデミー」(東京都北区)に入校した。

 今は卓球漬けの毎日を送るが、ストレスはあまり感じていないという。「ここで教わる技術を完璧にできるようになったら、勝てるイメージがある」。試合に負けても切り替えが早く、「新たな課題を見つけ、どう克服するか考えるのは楽しい。道筋が見えてくると、やる気が出てくる」

 小学校時代は攻撃を封印し、守備力を高めた。アカデミーでは攻撃力の強化にも力を入れ、日本卓球協会の広報担当・須賀健二さんは「伸びしろしかない」とその才能に太鼓判を押す。高速化する現代卓球で異彩を放つカットマンが世界の頂を目指す。

▼小塩遥菜(おじお・はるな) 2005(平成17)年8月3日生まれ、岐阜市出身の14歳。153センチ、42キロ。小学6年時、全日本ホープスを制した。昨年度の全日本選手権13歳以下の部で優勝、今夏は全国中学校大会を制覇。12月の世界ジュニアは準優勝。世界ランキングは103位(12月時点)。

 

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