当初、寺地はIBF同級王者との統一戦だった。それが急きょ、相手の病気でペタルコリンに代わった。かつてのWBA同級暫定王者だが、格違いの実力差を見せつけて防衛した。
スタートは互いに慎重だった。パンチが七色なら脚も多彩で、華麗な動きを見せるのが拳四朗のボクシング。それが2回になっても慎重な戦い方を崩さない拳四朗に対し、先にプレッシャーを掛けたのはペタルコリンだった。拳四朗のジャブを右で巻き込むようにクロス。王者が後退する場面もあって会場を沸かせた。
しかし、挑戦者が見せ場をつくったのは2回まで。序盤でボディーブローに感触を得た拳四朗は見切ったら思い切りがいい。上体を沈め、鮮やかに右ストレートを立て続けに3度、腹にたたき込み、4回には右ストレートから返しの左アッパーでトドメ。実に拳四朗らしい勝ち方だった。
当面の目標は具志堅用高さんの持つ日本人最多連続世界王座防衛13度を超えることと、主要4団体の王座統一。海外試合にも意欲を見せる。夢は“世界の拳四朗”。この勢いを止めるのは難しそうだ。 (格闘技評論家)