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福岡県発!「やばい!」「かわいい!」郷土玩具を知るきっかけはそれで十分

画像:郷土玩具に囲まれている瀬川さんの写真

「やばい!」「何これ!」そんな思いで郷土玩具をこよなく愛する男、瀬川信太郎さん。
だるまの絵を描き始めたことをきっかけに、お店を始めました。
このお店には、瀬川さんが「やばい!」「かわいい!」と思ったものを置いているため、こちらのお店は瀬川さんにとっての「かわいい」が集まったお店。歴史や文化よりも、「面白い」「かわいい」に特化した考え方で郷土玩具を紹介しているその思いに迫ります。

現在どんな活動をしていますか?

一番力を入れている活動は郷土玩具の紹介です。その中でも3つに分けると、1つ目は、色々な地域で昔から作られている民芸品、郷土玩具をお店で紹介すること。2つ目は、地方でお店をやっている方から出店という形で呼ばれて、その土地に行って、展示、販売すること。3つ目は、だるまの絵描きをしています。そもそも、自分がこの世界に足を踏み入れたきっかけは、「だるまの絵描きやってみない?」と友人から誘われたことからです。もともと、大阪で絵描きの仕事をしていて、「和」をテーマに絵を描いていたので、だるまなら合うのではないかと思って、だるまの絵描きを始めました。

しかし、だるまの絵を描き始めようと思っても、どんなふうに描いていいか分からず、色々なところから調べた結果、だるまが郷土玩具の一つであることを知りました。そこからだるまの魅力にはまり、自分でいろんな地方に行って集めるようになりました。現在では、郷土玩具を若い世代に知ってもらえるような活動を行っています。

このお店を始めたきっかけは、自分が買う立場になって、なかなか買う場所がないなと感じたことからです。しかし、郷土玩具は若い人たちでも面白いんじゃないかと思い、魅力を知ってもらいたいと思って始めました。

画像:郷土玩具の写真

郷土玩具を紹介する中で、どんな想いを大事にしていますか?

郷土玩具って若い世代にとって、「ばあちゃんちに行くと見かけるもの」「旅行に行った際にお土産屋さんで記念に買うもの」というイメージがあると思います。つまり、身近ではないイメージ。僕は、それを変えたいんです。「歴史があるものだから買おう」となるのではなく、「あの変な兄ちゃんに会いに行こう!」「かわいいから買う!」という人が増えていき、その人たちが周りの友だちや家族にプレゼントとして渡すことで、今まで何も知らなかった人たちが、「何それ!かわいい!面白い!」と感じ、連鎖していけばいいなと思っています。

僕が紹介するときに大事にしていることが、1つのかわいい置物として見てもらうことを意識しています。郷土玩具を知ってもらうきっかけとして、歴史や由来から入る必要は全くなく、それよりは、「何これ!?かわいい!」「変わっとる!」から始めてほしいなと思っています。お店に来た時も、「この歴史はね…」というよりも、「これかわいいね!」「これかわいかろ?」「これってこんなんなんよ~」という会話をよくしています。

今回のテーマは、「つなぐ」です。瀬川さんの活動では、何と何をつなぐことを意識していますか?

うちの商品は、僕がその土地に直接仕入れに行っていて、その土地で感じてきたことを買っていただいた人に伝えています。この玩具は、「こういう土地で」「作った人はこんな人で」「こういうことがあって」というように、その土地でのストーリーを話すようにしています。

郷土玩具は、小さな工房で先祖代々作っている所が多く、大事に大事に作られています。しかし、今のままでは、多くの工房がなくなっていってしまいそうです。全ての工房がなくならないようにするのではなく、自分たちでその郷土玩具を残すか、残さないかを選びたい。知らないうちになくなってしまうのではなく、いいもの、今の時代に必要とされているものを知ってもらえる場を作り、残していきたいです。

このお店で紹介、販売することが、その土地の文化を知るきっかけになると思います。つまり、郷土玩具と郷土玩具を知らない人たちをつなげることが僕の役目だと思っています。

画像:お話されている瀬川さんの写真

最後にこれからの展望、これからどんな人にどんなものをどんなふうに伝えていきたいか、教えてください。

今は、4年半やってきて、取材しに来てくれる人もいるし、テレビにも出させていただいて、郷土玩具の世界を少しずついろんな人が知ってくれるようになったと思います。しかし、知って満足するのではなく、継続させることがこれから必要なのかなと思います。

郷土玩具には地方の魅力、文化が詰め込まれています。海の近くの地域には海の安全、豊作を祈願して青いだるまを作っていたり、九州は土が豊富なので、土人形が作られていたりしています。地方によって、文化も話し方も食べ物も全く違っていて、この文化の違いが日本の良さであり、面白さであると思います。

海外に行く前に、隣の県に行ってみても面白いんじゃないかと思います。地方の魅力を若い人が感じ、いろんな地方を知るきっかけをこのお店から創っていきたいです。
例えば、若い人達が旅行に行くときに、旅の一つの楽しみとして、「郷土玩具の工房を見に行こうよ!」「ここにはどんな郷土玩具があるんやろう?」と思ってもらえるように身近な存在にしていきたいです。

瀬川さん、ありがとうございました。

希望の光プロフィール

画像:瀬川さんのアップの写真

瀬川 信太郎(35)

郷土玩具屋 山響屋(やまびこや) 店主
様々な郷土玩具を収集して販売、その郷土の特徴が詰まった玩具を通じて新しい形での地域の魅力を発信している。

取材を通して...

今まで、郷土玩具はおばあちゃんちにあるもの、自分が買いたいと思うものではない、と思っていました。しかし、今回お話を聞かせていただき、郷土玩具ってこんなに面白いんだ!と一つ世界が広がった気がします。変わっただるまや、かわいい人形。もはやこの商品、郷土玩具であることなんて忘れていました(笑)

郷土玩具の世界にだいぶはまってしまった?ので、取材の最後に、ガチャガチャでいろんな種類のだるまが出てくる「だるまのガチャガチャ」を引きました。このおみくじは、「今の自分に合っただるまが出てくる」というのですが、結果は「黄色」。金運、幸運アップ、夢の実現の効果があるそうです。幸運が訪れますように! そう願って、この記事を終えたいと思います。

北九州市立大学3年 大島 渉