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観光地として知名度の高い大分県別府市で、温泉に関連する団体の理事をされている佐藤正敏さん。共同温泉に対する思い、地域や人とのつながりの大切さについてお話を伺ってきました。
現在は、温泉を生かしてもっと別府を盛り上げることを目的とするNPOの理事長を務めています。このNPOは、私たちの街で温泉88箇所回ってスタンプを集め、認定された人たちで構成されています。他には、委託されている共同温泉の清掃です。12箇所を会のメンバーと分担して掃除し、維持しています。朝掃除が7箇所、夜掃除が5箇所です。
また、地域の共同温泉の運営・管理もしています。掃除や番台の方が高齢で辞めてしまうと相談を受けたことがきっかけでした。まずは3ヶ月ほど掃除をしてから、管理及び運営も引き受けることになりました。地域の人にも関わってほしいという思いもあったため、地域の温泉組合の方にも掃除を手伝ってもらったり、チケットの整理をお願いしたり、関わり合うことでいい形になってきていると思います。近年、家を建てたり、マンションに住んだりすることで温泉に行く機会が減ってきています。しかし、私たちの街は空襲を受けていないため、昔のお風呂のない家も数多く残っています。その方々の入る温泉を残すため、また地域の方や学生と接点を持つためにも、このような活動をしています。
人ですね。いろいろな活動をやっていることで、本当に色々な人とのつながりができました。例えば、「こういうことが出来ないかな」と相談されると、「あの人をつないだらいいかも」とパッと思い浮かんで紹介することが多いです。私自身の本業であるヘルパーも、障がい者団体の方とつながったことがきっかけで就職し、働いています。NPOや地域の交流会で障がい者の方と健常者の方をつなぐことで、障がい者の方を身近に感じるようになり、接し方やさまざまな気づきができたりします。私自身も、率先して何年間も街中を歩き、色々な人とつながってきました。いろいろな障がい者の方とのつながりであったり、温泉を通したつながりであったり。これまでの活動が、現在の人とのつながりになっているのかなと考えています。
現在は共同温泉というものを後世に残していくために「僕らに何ができるか」という思いのもと、掃除の手伝いをしたり、共同温泉の運営に携わったり、交流会を開いたりしています。自分がこのポジションになった故に、「NPOの活動、さらに別府を盛り上げること、温泉を残していくといった色々な活動を地域の人たちのためにもやらなきゃいけない」という使命感で活動をしています。また、温泉やこの街に関する提案は、よほど温泉と関係のないものでない限り断らないと決めています。
私たちの街は、もともと移住者が開発した街なんです。油屋熊八という人が全国で初めてこの地でバスガイド付きの観光バスを始めたのです。また、外から別府に来て商売を始めた人も少なくありません。純粋なこの街の出身者というのは少ないため、昔から外部の人を受け入れる体制が整っていたのだと思います。私も15年ほど前まで他県にいたため移住者の一人です。今ではNPOや温泉を生かした街づくりを行っていますが、60代くらいの先輩方が、私たちのような移住者を受け入れてくれたことでスタートしています。このような土壌がしっかりあり、観光客も受け入れる。そのためか移住者も多いですね。ホテルに泊まって観光をしただけでは移住したいと思わないでしょう。しかし、別府の街に出て、例えばバーに行き、隣にいた地元の方といろいろ話をして「明日温泉行きましょう」、「次行きましょう」という関わりができると、「この街って温かい」という気持ちになります。だから、この街を「第2の故郷として帰ってくる」「帰ってきたい」と思ってくれる人も多いと思います。
今後の展望としては、1つひとつのつながりや、温泉に行くという私たちの文化を残していきたいと思っています。この文化がなくなってしまうと、この街ではなくなると思います。この地に根ざした温泉が、地域コミュニティになっているため、これがなくなると雰囲気がなくなってしまうから残していきたいと考えています。人が来ないと残れないので、人が来るような活動もしていきたいですね。私たちが開いているNPOの交流会には毎回10〜20人ほど参加していただいていますが、この街に住んでいる方も住んでない方もいるので新しい出会いの場にもなっています。
佐藤 正敏(47)
NPO法人別府八湯温泉道名人会理事長
ヘルパーとして働く傍ら、温泉道名人会の理事長を務めながら、寿温泉の運営・管理も行っている。別府温泉をもっとたくさんの人に関心を持ってもらいたいという思いのもと多面的に活躍している。
佐藤さんは温泉、街、この街にいる人たちのことをとことん愛していて、とっても温かみのある人でした。これまで縁もゆかりもなかった別府で、文化を残していくことに使命感に感じ、活動されていることに感銘を受けました。
温泉は、別府になくてはならない希少価値のある資源であると同時に、地域のコミュニティの場であり、コミュニケーションツールでもあると気付かされました。私ももっと別府に関して知りたいので、パスポートを片手に「88箇所」の温泉を巡って、名人を目指します!!
立命館アジア太平洋大学3年 橋口 美紀