個人情報の取り扱いについて

当社のウェブサイトはお客さまにより良いサービスを提供するため、クッキーを使用しています。このウェブサイトをご利用になる場合、クッキーの使用に同意をいただいたものとみなされます。クッキーに関する情報や設定については、当社のプライバシーポリシーをご覧ください。

熊本県発!「Fulfilling Life=満ち溢れた人生」を問い続ける

画像:白い壁を背景に座る穴井さんの写真

南小国町の美しく長閑な景色の中に佇む洗練された建物。その中には、南小国の魅力がふんだんに詰め込まれたもので溢れていました。国境、年代を超えて南小国の魅力を伝える穴井俊輔さんの思いを伺いました。

現在の活動を教えてください。

私たちが住む南小国の生き方や在り方を示す、ライフスタイルの提案をしています。林業が本業なのですが、そこに固執しない広がりの可能性を探るためブランドを立ち上げました。建築材やインテリア、最近ではアロマやハーブティーなども製造しています。新しいプロダクトもご相談があれば随時作る予定です。プロダクトは、主にインターネットで販売をしています。国内では、ホテルや旅館などで多く扱われており、海外メディアに取り上げてもらうことで知名度も徐々に上がってきています。私たちの取り組みが国内外からもっと注目されることによって、阿蘇や南小国へ足を運んでくれる方が増えることを期待しています。

なぜこの場所にお店を開いたのですか?

南小国で生活をしていると、景色を見た時に田んぼから山まで全て誰が管理しているかが分かります。そんな自然豊かで、住民によって管理されているこの町は、「日本で最も美しい村」として地域資源や景観を守るNPO法人に加盟しています。私たちはこの場所を守りたくてこのお店を開きました。なぜなら景観の中の暮らしはとても豊かですが、それを発信し続けなければ景観の継続はできないと考えたからです。

画像:穴井さんが長い木材を手に作業する俯瞰からの写真

ブランドを確立するまでの道のりを教えてください。

私たちは、親子三代にわたって林業を営んできました。しかし、林業を営む中で問題意識を持ち始めていました。そんな時に、東京とパリのクリエイターと新たなブランドを立ち上げる機会を得ました。ブランドを立ち上げるにあたって、阿蘇の素材を活用した町おこし的なプロジェクトではなく、阿蘇の伝統を引き継いでいく持続可能なブランドを作り上げることを大事にしました。クリエイティブな面にも力を入れ、第一線で活躍する若手クリエイターと組むことを心掛けました。

一般的な地方創生は、活性化を地元だけで行うことが多いですが、都会の若者と協力することによって、都会とのつながりが生まれます。次の時代のデザインやクリエイティビティを把握し、提案していくことを意識してブランドを動かしています。ブランドの根幹には、“人と自然とモノの関係が深くつながればつながるほど、私たちの暮らしはもっと豊かになるのではないか“と現代の社会に問い続けています。

商品を生み出す上で大事にしていることは何ですか?

このブランドのプロダクトは、どれも密接に阿蘇と結びついています。プロダクトを生み出すとき、そのプロジェクトに関わる方たちを南小国へ必ずお招きします。土地を体験していただき、素材に触れ、その感覚が記憶として形になっていくものです。

たとえば、ダイニングチェアは小国杉の無垢材を集成して背座に用いています。杉の重量感と対比したフレームの構成が、木素材の価値を高めています。ここの自然環境のように、風通りの良さを感じさせる商品になっています。このハーブティーも南小国にあるハーブ農園とコラボした商品です。その他にも世界最大級の阿蘇山のカルデラを表現したお皿や、阿蘇山の噴火によって作られた溶岩を使用したポプリなどがあります。使われている木材はすべて小国杉です。

プロダクトを生み出す上で一番重要なポイントは、クリエイティブな魅力と阿蘇の歴史、伝統を融合させるところです。普通の家具やデザインの場合、地域にこだわることは少ないです。しかし、阿蘇には1000年続く草原など代々受け継がれてきた景観があり、私たちはその美しさをプロダクトに入れ込んでいます。歴史の流れをプロダクトに落とし込むのには時間がかかりますが、なかなか真似できないためこのブランドの強みだと思っています。このプロダクトがひとつひとつ阿蘇のストーリーを持たせているのは、プロダクトに興味を持ってもらうと同時に、それを生み出した阿蘇にも興味を持ち、実際に足を運んで見つめてほしいからでもあります。

画像:穴井さんが経営する旗艦店の外観の写真

今回のテーマは“つなぐ“ですが、仕事を通して“つなぐ“ことに焦点を当てていますか?

このブランドを作ったもう1つの大きな理由が、次の世代の子たちがまた阿蘇に戻ってくる仕組みを作ることなのです。若者は地元を離れてしまうことが多いですが、離れた後にまた地元に戻ってきて何かしたいと考えた時のために、私たちは受け皿を作りたいと思っています。

今後の活動について教えて下さい。

今後は家を建ててみたいですね。そして、お客さまに宿泊してもらいたいです。また、もっといろいろな若手のクリエイターとつながって、阿蘇の素材を使ったプロダクトの開発をしたいです。そこで生まれる地方と都市のつながりは、まだ多くの可能性を秘めています。若いクリエイターと価値のあるものを生み出すと、クリエイターではない他の人もみんな注目してくれる可能性があります。それが、阿蘇に足を運ぶ理由の1つを担ってくれたらうれしいです。

穴井さん、ありがとうございました。

希望の光プロフィール

画像:穴井さんのアップの写真

穴井 俊輔(37)

株式会社Foreque Founder&CEO
家業である林業を継いだ後、他業種との融合を試みるなどユニークな経営視点で、2016年株式会社Forequeを創業。さらに、2017年にライフスタイルブランド「FIL」を立ち上げた。

取材を通して...

今回の取材を通して新たな地方創生、地域活性化の形を見た気がします。実際に商品を見せていただきましたが、ひとつひとつのストーリーがあることに感動しました。今後も、新たな商品を作る中で、多くの人に南阿蘇の魅力が伝わっていってほしいと思いました。

熊本県立大学文学部3年 堀 百菜