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日常生活を豊かにする、国の伝統工芸品に指定されている砥部町の伝統工芸品「砥部焼」。今回は、砥部焼の作製を支え後世につなぐ活動をしている岩橋俊夫さんにお話を伺いました。
砥部焼を全国に広める活動をしています。砥部焼は食器や花器として日常的に使われるため、割れにくくて丈夫な“良い物”を作る必要があります。良い物の定義は人それぞれですが、私たちは機械での製造でなく、手作りにこだわっています。図柄に関しても、他の地区ではシールを貼って焼いているところもありますが、私たちは一貫して筆で手書きをしています。この手法を大事にしながら“良い物”を作り続けてきたことで、砥部焼は昭和30年頃から口コミで広がり、現在北海道から沖縄まで全国の人に購入していただけるようになりました。
また他の活動としては、砥部焼職人の心得を社員に教育しています。伝統を後世につないでいくためにも、社員への教育は欠かせません。砥部焼は、コピーではない、他の焼物とは違う、 “砥部焼のアイデンティティ”を活かした雑器であるという考え方を受け継いでいきたいですね。
手作り、手書きで作製することですね。他の物と区別するためにも、“砥部焼のアイデンティティ”を大切にしています。良い物は後世に残るので、私たちは砥部焼を「日常雑貨の中でも良い物がある」と伝えられるように作製しています。例えば砥部焼の食器であれば、使ってもらうことで会話が弾み食卓が豊かになるような、生活のお手伝いができれば良いなと思っています。あくまでも、“普段使い”で砥部焼を使っていただけると嬉しいです。木箱に入れて丁寧に保管し、特別な時にだけ使うという方もいます。もちろんそれでも良いのですが、砥部焼が日常生活の一部にとけ込み、ちょっとした会話のきっかけになるくらいでも良いですね。
砥部焼の認知度はまだまだ低いですが、その雑器が“砥部焼”であると知ってもらった上で使ってもらいたいです。「砥部焼は気持ちを豊かにする良い物だ」と知ってもらえたら、さらに多くの人たちに使ってもらえますからね。
手作り、手書きはもちろんのことで、砥部焼の基本は、白地に深い藍色の顔料を使って図柄を描くことです。白といっても、他の焼物の白とは色が異なります。これは使用する石によって色が異なるのですが、砥部焼では地元で産出される石を用いるため、やや乳白色のかかった白になります。“砥部”焼ですからね、地産地消で作製しています。他には“一筆書き”がありますね。私たちは、自然を感じられる紋様を一筆書きで描いています。他の焼物やコピー品と区別できないと存在価値がなくなってしまいますから、こういったアイデンティティはとても大事にしています。
若い人に砥部焼の技術をつないでいますが、技術といっても簡単に語れるものではありません。一人前になるには十数年はかかりますし、マニュアルがあるわけでもありません。製品として同じ物を作りますけど、手作りで同じように作るのはとても難しいです。図柄を描くならば、顔料の濃淡やタッチの違いといった表現方法を細かく調整する必要があります。この手作りの良さを分かってくれる方が、砥部焼を購入して下さるのだと思います。作り手個人の想いを自由に表現するものではないため芸術とは異なりますが、根本的には似ています。良い物を将来につないでいくことはとても難しいんです。技術の伝承だと言葉にするのは簡単ですが、実際につないでいくのはとても難しいということを知ってもらいたいです。
具体的には、メゾン・エ・オブジェというパリで開催される見本市に展示をして、世界中に砥部焼を知らせたいのですが、それがいつになるかは分からないです。まずは、日本で砥部焼を知らない方に対して、知ってもらう活動を続けていきたいです。そのためには劣化させずに良い物を提供する必要がありますが、私たちならではの釜としての砥部焼を良い物として多くの人たちに提供できたらと考えています。
岩橋 俊夫(64)
株式会社梅野精陶所 梅山窯 副社長
全国へのPR活動や職人への教育を通して、砥部焼を支える活動に力を注いでいる。
“砥部焼”、皆さんはご存知でしたか?愛媛県でも「名前くらいは聞いたことがある」くらいの認知度で、手作りゆえにあまり知られなかったのかもしれません。岩橋さんも砥部焼の認知度は重々ご承知でしたが、砥部焼の良さも理解しているために、全国の人に知ってもらいたいという想いが強く伝わってきました。これほどまでに1つのことに情熱を注ぎ、活動を続けることに畏敬の念を抱きました。この記事を通して少しでも多くの人に砥部焼を知ってもらい、認知されるためのお手伝いができることを願っています。
愛媛大学4年 関家 宜良