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新しい働き方を提案し、人を受け入れるだけでなく、地域で仕事を創るというアプローチで田舎と都会をつなぐ。田舎と都会のパイプ役を担う、佐々倉玲於さんに話を伺いました。
田舎と都会をつなげる取り組みをしています。「田舎で人手が足りず困っている人」と、「田舎で何かしたいと思っている都会の人」とをつなげるといったところです。人がいると仕事が生まれる、仕事があると人が来るという循環が大切なんです。そのために必要なのは、情報発信ですね。田舎にはたくさん魅力があるのに、それを伝える手段を持ってないんです。だからつながるきっかけとして情報発信のお手伝いをしています。
他には、田舎で農業や漁業などさまざまな体験ができるインターンの受け入れや、人材派遣の仕組み作りをしています。インターンは1週間から29泊30日まで、さまざまなコースで実施しています。大阪や東京など都会からの参加者が多く、中にはインターンをきっかけに移住する人もいます。そういったインターンで集まった人を、田舎で人手が足りずに困っている人とマッチングさせ、その後のサポートなどを行っています。また、人材派遣を活用してくださった事業者さんと参加者の間に年齢的なギャップがあることも多いので、問題が起きないようにパイプ役となって、行政ができないニッチ事業や、事業者さんの人事部のようなことをしています。
そうですね、田舎と都会をつないでいます。もっと言うと、人をつないでいます。田舎の人は都会の人とつながりたいけど、「きっかけがないからつながることができない」という現状があります。人がつながるきっかけを田舎の人はたくさん持っているので、私は「田舎の存在」を発信するお手伝いをしています。
簡単に言うと、人が多いか少ないかだと思います。あとは便利か不便か。人が都会に集まってしまうのは仕方ないことです。でも都会の中でも田舎に興味を持っている人は少なからずいます。そして田舎にもつながるきっかけはたくさんあります。そのきっかけに気付いてもらうためにも、田舎ならではの情報を発信していく必要があると思うんです。
また、都会では何かが「ある」人が求められている傾向があるように感じます。例えば、資格がある、経験がある、といったような「ある」ことが重要視されます。しかし、田舎では「ある」も「ない」もさほど重要ではないように感じます。何もなくてもいいんです。新しい働き方を開発していきたいですね。
共通する思いというか、ただ必要なことをやっているだけですね。地域の人が困りごとを相談してくれて、自分に出来そうなことならなんでもやってしまいます。地域コミュニティに属している人はみんなその土地に愛着を持っていて、なんとかしたいと思っています。その思いに共感し、出来ることがあれば手伝うのが自分の仕事です。実は昔、医者になりたかったのですが、今こうして”街のお医者さん”をできているので結果として叶ったと思っています。また、「ない」人を募集しています。例えば自信がない、やりたいことがない、みたいな。田舎にとっては人が来てくれるだけでとてもうれしいので、一人一人がとても大切なんです。地域とつながることで、自分自身と向き合うきっかけになったり、つながりについて考えるきっかけになったりすると思います。
今後は世界もつなげていきたいです。「世界を股にかける男になる」という夢があって、現在の活動を世界まで広げていきたいと思っています。例えば、現在行っている人材派遣の仕組みを世界にも広げていくことができると考えています。実際に、愛媛や大分などに人材派遣する仕組みもできています。最近では、米国のテキサスにも広げていく可能性も模索しています。16万坪の牧場を持っている人がいるんですが、人手不足で困っています。そういったところでも働けるのではと考えています。
具体的には、手始めにまず全国各地に宿を作っていきたいです。宿さえあれば働くこともできるし、暮らすこともできますから。今はまだ四万十町という規模ですが、今後もっと広げていけるのではないかと思っています。日本だけではなく、世界中の人が働きたいところで働けるようになると思いますね。日本の人が世界の田舎で働いてもいいし、逆に海外の人が日本の田舎で働けるような、自由で新しい働き方を開発するのが野望ですね。
佐々倉 玲於(41)
一般社団法人いなかパイプ代表理事・株式会社いなかパイプ代表取締役
高知県大月町生まれ。大学時代に沖縄へ行き、そこで田舎の魅力に気付く。その後、高知県四万十町で一般社団法人いなかパイプを立ち上げ、ローカルビジネスを展開している。
今回取材を通して「ない」人という考え方に触れ、私自身の視野が広がりました。これから就職活動が始まるにあたって、自分には何もなく不安だらけでしたが、「『ない』ことは恥じることではない」ということに気付くことができました。また、人とのつながりを通して得られるものは無限にあると感じました。もともと、佐々倉さんは田舎が好きではなかったそうですが、沖縄での街づくりプロジェクトをきっかけに人とつながることによって田舎の魅力に気付き、高知県に帰ってきたそうです。佐々倉さんのように、好きではなかったものを好きになれたり、さまざまな人の思いに寄り添い共感したり、可能性は無限にあると感じました。人と人とのつながりの可能性について改めて考える良い機会になりました。
高知大学3年 岡 知佳