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東京でのサラリーマン生活から脱出し、瀬戸内・小豆島に移住してきた磯田周佑さん。小豆島で地域活性に取り組む磯田さんに話を伺いました。
今はオリーブを使った6次産業の会社で働きながら、地元情報誌の会社も運営しています。前者の会社では、オリーブだけでなく地域活性につながる活動を行っています。経営企画室という部署で、オリーブを売るだけでなく、会社としてどう成長するか、経営の基盤をどうすればよいのか考えています。
元々は地方に来るつもりはありませんでした。ずっと東京で生まれ育ったし、経済的にも不満はなく、「このままやっていく」と漠然と思っていました。しかしある時、大きな会社で仕事をするのに疲れてしまい……。大きな組織に入ると、「自分がこうしたい」と思ってもなかなか通らない。自分がやりたいことは後回しにして、組織がやることをよしとすることが、自分にとってストレスになっていました。何のために働いているのか分からなくなってしまって。その時に色々な人間関係もうまくいかなくなって、会社に行けなくなってしまいました。
同じころ、私は大学院に通い始めました。大学院では、自分のスキルアップや人脈の構築、物の見方を広げようとチャレンジをしました。その時に一番しっくりきたのは、全てのエリア、つまり東京も瀬戸内も、全部「地域」なんだという考え方です。それぞれの地域が特徴を持っているはずなんです。これまでの日本では、中央に人を集めていました。しかし、それは人口が増えていたからこそ出来たことです。これからの世の中はそうじゃなくて、人口が減少していく中で、今までとは違う考え方で仕事する必要があるということを大学院で学んだんです。その時に初めてそういう考え方もあるんだと気付きました。
この大学院で同級生だったのが小豆島の方でした。相談したら、「そんなに悩んでいるなら小豆島に来なよ」と言ってくれて。3回くらい小豆島を見に来て、「僕でも住めるな」と思ったんです。それで小豆島に来ることに決めました。
今は、もう東京で仕事をすることは出来ないなと思っています。いい意味で言えば、別に東京にいなくても仕事はできる。「東京で働くことが全てではないな」と、6年間生活して分かってきました。自分は今、小豆島で一生懸命やっている実感があり、また環境を変えるのは想像しにくいです。もうちょっとここでしっかりやっていこうと思っています。
小豆島に来た今は自分を出せるというか、自分らしい働き方、自分らしい考え方でいいんだって思えてきました。また、以前よりも人間関係を大切にするようにもなりました。どうしても島という狭いエリアで活動しているわけですから、いろんな人との関わりを大事に捉えるようになりました。
自分の中で大きな活動が二つあります。一つは会社の採用活動です。これは自分が東京から移住をしてきているので、その感覚をいろんな人に共感してもらいたいと思います。人にはその人らしい働き方とか、社会貢献の仕方があると思います。それは、大都市にいなくてもできることが結構あって、それを色々な方に伝えていきたいですね。
色々な方に小豆島に来てもらって、「ここで活動してみたい」、「ここで仕事をしてみたい」と思ってほしい。そういう意味では、採用活動は自分が小豆島で経験してきた感覚をそのまま伝えられるなと思うので力を入れています。「地域だからできない」、ではなくて、「小豆島ではこんなことができる」という情報を提供して、「これだったら君ができるんじゃないかな」と言ってあげられるかなと思っています。今年も実際に採用して、新卒の3人が京都、沖縄、徳島から移住してきてくれました。
もう一つは、雑誌を作っている会社の運営です。実際にここで住んでいる人たち、生活をしているひとたちが、何を考えてどういうことを思って毎日仕事に取り組んでいるのか、どういう思いでモノづくりをしているのか、を伝えようとしている雑誌です。とっても地味な活動ですが、やはり地域が情報発信をし、それぞれの地域が魅力的になり、その集合体が日本となるようにしていく必要があります。人口減少の中で、それぞれの地域が主体性を持って地域の魅力を伝えていく努力をしなければならない。そういう意味ではこの雑誌は、地域で住んでいる人がどういう思いなのか、ということを含めてしっかり情報発信しようとしている雑誌なので、地域の魅力を伝えていく上で長期的には意味があると思っています。
今やりたいと思っているのは、もっと移住してくる人を増やすことです。今は大都市で仕事をしているけれども、「大都市ではなくて地方で仕事をしたい」と思っている人がいると思います。少しでもそう思っているなら、それを応援して「やってみよう」と言ってみたいです。老若男女を問わず、「せっかく一度の人生だから、やりたいことをやってみましょう」と勇気づけたいと思います。
東京に住んでいたら想像もしなかったようなことが、小豆島に来ると身近に思えてきたりするんですよね。ここに来るから分かることがある。私自身が感じたこの思いを何かを解決したりとか、より良くしたりする時に少しでも活かしていきたいと思っています。
これまでの考え方と未来の考え方をつないでいると思います。どうしたってこれから人口は減少します。今は東京や大阪はオリンピックや万博で盛り上がっているけれど、20年後はどうなっているか分かりません。そういうときに今まで通りの考え方ではなくて、みんな未来の考え方が必要なんです。「未来の生き方や働き方、生活の仕方とか人の幸せってこういうことなんじゃないか」っていうのが小豆島にはあるような気がしています。もしかしたらそれをつないでるのかなと思っています。人口は減少するけど、どうしたらみんなでよりよく幸せになれるのか。大量生産・大量消費はできないけれど、どうしたらみんなで「豊かな生活ができているな」と思えるか。ある程度の経済、それを補う非経済的な社会資本や人間関係などがうまく合わさって、「毎日、楽しいな」とか「悩みもあるけど明日も楽しみだな」とか思える生活。そういう生活が小豆島にあるような気がします。
磯田 周佑(44)
神奈川県横浜市生まれ
小豆島ヘルシーランド株式会社 経営企画室
オリーブオイルソムリエ
株式会社 瀬戸内人 代表取締役
東京で生まれ育ち、2013年から小豆島に移住。地元の企業で勤める傍ら、地元情報誌の運営を通じて地域活性に取り組んでいる。
東京から移住してきて考え方や生き方が変わったという磯田さん。「小豆島には未来の生き方がある」という言葉が印象的でした。小豆島での取材では、名産であるオリーブの大樹やお勧めの海岸を案内していただきました。生き生きと話す磯田さんを見て、移住という選択に誇りを持っているのだなと感じました。
香川大学2年 木村 菜々花