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岡山県総社市のほぼ真ん中に位置する商店街通りで、築180年の古民家を活用して街づくりをしている金丸由記子さんと高山和成さん。活動への思いについてお話を伺ってきました。
高山:総社市のほぼ中央に位置する商店街は、今、空き店舗や空き家が多くなっています。その街の中にある古民家を活用して、街のにぎわいを取り戻したり、歴史や文化を次世代につないだりする活動を行っています。最も力を入れているのが、築180年の古民家での活動で、「カフェ」と「ギャラリー」という大きく二つの取り組みをしています。まず「カフェ」ですが、毎日オーナーが違う「日替わりのカフェ」となっています。そのため、客層が固定されにくく、いろいろな方々に利用して頂いています。「ギャラリー」は、かなり出店料が安いため、これから個展を開いて力をつけていきたい作家さんが利用しやすい仕組みになっています。ギャラリーは、カフェを訪れたお客さんも見ることが出来るよう併設しています。
最近では、周辺事業の方にも力を入れています。月に一回、第四日曜日の午前9時から同11時まで朝市を開催しています。色々なお店の方が出店してくださって、お客さんもたくさん来ていただいています。七夕やこどもの日、お月見など年中行事に合わせた企画のほか、すぐそばの総社宮のお祭りや、神事に合わせた企画も続けています。
高山:「何かをやりたいと思っている人たち」が活躍できる場所を作ることです。例えば、「カフェ」は、古民家を活用するという目的とは別に、「カフェをやりたいけれど、開業するには、莫大な金額も時間もかかるので始められない」という人たちも、簡単に始められるように、日替わりのオーナー制度にしました。ギャラリーも、本当は利用料を高くしなければいけないのですが、ここは安くしています。「やりたいことはあるのに、活躍できる場所がない人たち」が利用でき、可能性を広げられる場所を作っています。
「その人たちの可能性を広げることになるのであれば、その人たちのやりたいことを応援します」という活動を色々なところで行っています。「人を大切にしよう」とか、「その人の可能性を広げられるようにお手伝いしよう」という気持ちでやっていることが多いです。こちらの言葉で言うと「ほっとけれんよな」という気持ちが根源になっています。
もう1つの活動としては、「過去をないがしろにしない」ということに取り組んでいます。伝統文化や年中行事は、別になくても生きていけます。しかし、多くの家では「しなくても進んでいくこと」をちゃんと大事にしています。この古民家だって、全部直して、柱とかもきれいに今風に直して、畳もやめて床張りにすることもできます。しかし、それをあえてやらないのは、「こういうところが街の中にあったほうがよくないか」という思いからです。他の家が変わっていく中で、このような家があることが大事という思いです。「これじゃないとだめ」とは言っていないですが、過去をないがしろにしないで、とりあえず置いておくことが大切だと思います。
古いものを残しておくと、「ほっ」と癒やされることがあります。わざわざ、元からあるものを自分たちの思いつきできれいに直すことをしなくても、十分に、もしかして手を入れる以上に来て頂いた人たちに安らいでもらえるのではないかと思います。
金丸:人に強制したりせず、無理をしないで自然体でやっています。
高山:基本的には「人」と「何か」です。人と人かもしれないし、人と歴史、人ともの、人と建物かもしれないです。かつては、こういう「人」と「何か」をつなぐ古民家は普通にあったはずです。今も面白い人とどこかですれ違ったりしているはずですが、すれ違いっぱなしで出会いにつながっていません。それを出会わせることで、「面白いな」とか、「こういう所って、もしかしたら自分の生き方をよくするかもしれない」という出会いに、人をつなげていると思います。
金丸:やっぱり人と出会うってすごいですよね。すれ違っただけでは何も起こらないけれど、ここにきて、いろいろな話をして、盛り上がって、「じゃあ一緒に何かしよう」となって、また違うステップにいくことができます。普段の生活とは全く別のコミュニティの人とも出会うことができます。人と人をつなぐ出会いの場所です。
高山:この街を「こういうものにしたい」という共通のビジョンが2つあります。
1つは、商店が出来てきて、空き店舗が埋まり、にぎわいのある商店街通りになることです。でもそれは、観光客へのアピールとしてではなく、各店舗が頑張って、それぞれにお客さんが入って、結果としてにぎわった通りにつながっていって欲しいです。もう1つは、「何かやりたいと思っていて、可能性があり、気持ちが若い人」が活躍できる場所にしたいというビジョンです。実際ここではさまざまな年代の人が楽しんで活動をしています。この二つのビジョンを大きなゴールとしていますが、やろうと思っていることや得意としていることは全員違います。やりたいことが教育や古民家の活用であったり、文化やアートの人もいます。それぞれが十人十色のやり方で、共通のゴールに向かう活動をしています。ですから、みんなが「こういうことをここでやりたい」と思った時に、そこに到達しやすいルートをきちんと作っていかなければならないと思っています。ゴールを目指した活動が今までやってきたことであり、これからもやらないといけないことです。今までは、やりたいことを楽しんでしていたら、お店が増え、人通りが増え、いつの間にか結果に結びついていました。だから、共通のビジョン、すなわち「ゴール」を今後もしっかりと目指して、やりたい活動をしていきたいです。
金丸:昔のいいところと、今のいいところを融合させたような街づくりをしていきたいです。いろんな世代の人間がよって集まっていいとこ取りをしたものを作っていく、私はそういう商店街にしたいです。
金丸 由記子(65)(写真左)
NPO法人 総社商店街筋の古民家を活用する会 理事長
世代を超えた価値観の融合を目指し、商店街の空き家をリノベーションや夜市の企画など、商店街の活性化に尽力している。
高山 和成(29)(写真右)
NPO法人 総社商店街筋の古民家を活用する会 副理事長
学塾 誠和学舎 塾長
岡山県総社市出身。空き家の増える地元を盛り上げようと、商店街の環境整備に奮闘している。
それぞれの特色ある活動は、無理せず、自然と大きな目標に向かっていました。お二人とも生き生きとしていて、すてきな会だと感じました。お二人の生き方は、まさに団体が目標とする「まずは自分たちがかがやくことが大切」のようでした。総社市の商店街通りが地元の人に愛され、地方の人が憧れるような通りになるところが想像できました。
岡山理科大学2年 出井 満里奈