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鳥取県発!日本一人口の少ない鳥取県から「未来のモデルになる田舎」への挑戦!

画像:リノベーションした小学校の中に立つ古田さんの写真

2017年に廃校となった小学校をリノベーションして誕生した複合施設。IT企業のサテライトオフィス、子育て世代が足しげく通うカフェができたほか、地域商社も誕生するなど、廃校だったことが信じられないほどにぎやかな場所に生まれ変わっています。この複合施設を運営する古田琢也さんに、お話を伺いました。

古田さんの現在の活動を教えてください。

東京の広告制作会社に勤めた後、そのまま東京でフリーのデザイナーをやっていたのですが、数年前から鳥取県で飲食店とゲストハウスの運営を始めました。地元の八頭(やず)町にもっと人を呼び込み、面白い場所にしたいという想いから、県外の人も巻き込んで複合施設の運営を始めました。この施設は「日本の未来のモデルになる田舎をつくる」というミッションを基に運営していて、1階にカフェとコミュニティスペース、2階にコワーキングスペースとシェアオフィスがあります。3階は全てシェアオフィスです。「廃校の利活用」という切り口から、官民連携で田舎の課題と向き合っています。

何がきっかけで複合施設を始められたのでしょうか?

きっかけは「田舎の子ども達の未来の選択肢を増やしたい」という意識を持ったことです。デザインやITに触れる場所がなく、そもそも若い人がいなくなっている。背景には、若い人が集まる場所がないという現実があります。そこで、地域の人と一緒になって田舎に居場所を作ることを目指し、コワーキングスペースやシェアオフィスを作りました。

少しずつ人が集まる場所になってきていますが、僕らとしては「ただ人が集まるだけ」ではなく、新しいチャレンジを生み出していきたいと思っています。立ち上げ当初から「チャレンジの絶対数を増やす」ということを掲げています。チャレンジといっても、起業や新しいライフワークなどさまざまなものがあり、その全ての後押しをしたいです。起業という側面では、第二創業期の経営者を対象とした経営塾などをやっています。憧れる仕事を増やすためにも、仕事や生活が充実した大人を増やす必要があると思っています。

画像:施設内のカフェの写真

活動の中で大事にされている想いはどんなものがありますか?

ただ商売をするだけだったら正直どこでもいいと思っています。しかし、私たちは「大好きな仲間たち」と、「大好きな町の未来を自分たちの手で創る」という想いで活動しています。働く仲間だったり、関わって下さる地域の方だったり、これからの子どもや孫に「この町に生まれてよかった」と思ってもらいたいです。1人でも「この町が好きだ!」という人を増やすことができれば、きっと町は変わり、もっと素敵になる。この町の規模であるからこそ、また、鳥取であるからこそできると思っています。基本的には、これからの世代に自分たちが何を残していけるのかということ。田舎だから何かを諦めるということを、この複合施設ができたことでなくしていきたいという感じです。

活動の中で「つないでいるもの」はどんなものがあると思いますか?

抽象的になってしまいますが、「想い」かなと。「想いは伝播する」とよく周りに言っているのですが、この町を誇るという想いをつなぎたいです。例えば、複合施設で起業などのサポートを徹底してやっているわけではないですが、施設ができたことで若い世代の挑戦が増えました。その姿を見て、定年退職した方たちが「若い人に負けてられるか!」と起業する事例が出てきたんです。

こういうのって、まさに想いが伝播したというか、想いがつながったからこそだと思います。今まではただ働くだけだった人も、田舎で誇りを持って働く人に触れることで「自分でやってみよう」という変化につながっていくこともありました。「起業なんてありえない」と言っていた人が複合施設の1階でお店を始めたことも、地域に対する想いがつながったからだと思います。これからの田舎は挑戦をしていく姿勢が必要で、この複合施設がハブとなって、より多くの「想い」をつなぎ、新しく挑戦する人を増やしたいですね。

画像:リノベーションした小学校の外観の写真

今後どんなことをしていきたいですか?

複合施設を中心に、この町の最適解を地域の人と考えていきたいです。今後、少子高齢化が進む中で、この町でしかできないことがあると思っています。そこで、この地域で起こっている課題に対して企業や行政と共同で解決方法を模索し、実行し始めています。もちろん収益性など難しい課題はたくさんあって、まだまだ実証実験ベースのものばかりではあります。ただ、こういったアクションを僕らがやらないといけないと思っているし、地域の人ともっと未来に向けて挑戦していきたいです。

こちらの複合施設を今後、地域の中でどんな場所にしていきたいですか?

この施設は、1ヶ月の間に0歳から100歳までの人が何かしらで利用しているという面白い状態になっています。これは、ターゲットや機能を明確にする都会のコミュニティではありえないと思っています。好みや年齢、性別で対象を絞っても商売が成り立つのが都会だとすると、田舎では多様な人と向き合う必要があります。そして、多様な世代の人たちを「混ぜる」のではなく「なじませる」ことが施設の役割だと思っています。

5年以上活動してきて、完全に混ぜてしまうと対立を生んでしまうということが分かってきました。そこで、それぞれの立場を尊重した上で、一緒にできることを探っていくことが大切だと思っています。この施設は廃校をリノベーションした施設ですが、何十年前の卒業生が同窓会の会場として使ってくれたり、設立前にペンキ塗りなどを手伝いに来てくれた小学生が中学生になって職場体験に来てくれたり、そんなつながりを生み続ける場所として魅力的にしていきたいです。

古田さん、ありがとうございました。

希望の光プロフィール

画像:古田さんのアップの写真

古田 琢也(32)

(株)シーセブンハヤブサ 代表取締役社長
(株)トリクミ 代表
隼lab.運営者
“日本の未来のモデルになる田舎をつくる”ことをミッションに、廃校を利活用した複合施設の運営を通じて地域の想いをつないでいる。鳥取県からチャレンジの絶対量を増やし、地域の新しい可能性を模索している。

取材を通して...

古田さんは、地域の未来を見据えて活動をされているということが分かりました。「地域の中で新しいことに挑戦する」ということは、大きな反発を生むことも少なくなかったと古田さんはおっしゃっていました。そんな中、自分の仲間たちや、これからの世代が誇れる町にするために覚悟を決めて取り組んでいる姿勢には強い想いがこもっており、何かを守るために変化し、未来につなぐ姿勢の大切さを学びました。

鳥取大学4年 西岡 大穂