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大阪府発!自らの経験で見つけた「一緒に楽しく食べるご飯」から始まる地域支援

画像:笑顔の深沢さんの写真

「子育てをしている人が、ホッと落ち着ける場所になってほしい」と、大阪で子ども食堂を運営している深沢周代さん。大人も子供も一緒に集う子ども食堂を続ける深沢さんの思いを伺ってきました。

現在の活動をお伺いしてもよろしいでしょうか?

私が運営しているコワーキングスペースで、月に1回、子ども食堂を開催しています。元々は子どもや大人が交流したり、仕事をするスペースを開いたのがきっかけでした。当時、日本で3番目にできたコワーキングスペースでした。私は、日本人の窮屈な働き方に疑問を感じており、「それぞれの生き方に合った働き方があってもいいんじゃないか」と思っていました。まだコワーキングスペースという概念が日本に入って来たばかりだったので、初めはSNSで知り合ったフリーランスで働く人たちが集まっていましたが、そのうち、フリーランスやサラリーマンといった垣根もなくなり、みんなで作業したり仕事をしたりするようになりました。その時、どうしても子どもを預ける場所が必要だったので、作業スペースとは別に、子どもたちが遊べる託児所のようなスペースを作って、交代で子どもたちと一緒に遊んでいました。しばらく続けていると、子どもたちと遊びたい大人もいれば、大人の仕事が気になる子どもも出て来て、大人と子どもで分ける必要がなくなりました。そんな中、子ども食堂の話を耳にし、子どもたちと一緒にご飯を食べる機会を作ろうと思い、子ども食堂として正式にスタートしました。

画像:0円食堂の入り口に立つ深沢さんの写真

大切にしている思いはなんですか?

コワーキングスペースを始めた当時、私もちょうど子育てをしている時で、なかなか眠ることもできず、本当にしんどい思いをしていました。中学は私立に進学したので、地元にあまりママ友もいなくて、相談相手が少なかったんです。その上、自営業なので育休がなくて、次第に「いい奥さんになりたい」という思いばかりが強くなって、どんどんプレッシャーがかかり、非常につらい経験もしました。

しかし、自分にはコワーキングスペースという場所があるし、むしろ「自分のような子育てで悩んでいる人に、そんなことが起こらない地域にしていこう」と、思ったんです。ですから、子ども食堂も、子どもの貧困というよりも親の精神的貧困を解決したいと思い始めましたね。実際に、大人が一人で参加するのも大歓迎で、大人と子どもを分けるのではなく、本当に困っていることを相談しあったり、一緒にご飯を食べるのを楽しんだりすることが目的です。

どのように食材を集めているのですか?

子ども食堂で使う食材は、この活動を応援してくれる人の寄付で集めています。惣菜屋でアルバイトをしていた時、衛生管理上まだ食べられるお弁当が捨てられていったのを目の当たりにして心が痛みました。ですので、子ども食堂では、食材を買って、余らすのではなく、今余っているものを使いたいと思いました。初めは食事のほとんどが大根だった時もありましたが、みんなで工夫して、色とりどりの料理ができました。料理が余ってしまった場合は、コワーキングスペースで利用者の方々のお昼ご飯として提供しています。

画像:0円食堂のお料理の写真

活動を通して何をつないでいると思いますか?

いろんな思いを持った人たちがつながれる場所を目指しています。例えば、子育てに困っている方の「ホッと落ち着ける場所」になってほしいと思っています。育児のつらさは私自身が経験しているので、誰かに話すことで、すごく楽になれると思います。実際に、子ども食堂がきっかけで、子どもと初めて外食に来た方もいらっしゃいました。また、ただ子ども食堂のお手伝いをしたいという方も参加しているし、料理を作りたいと思う人も来てくださっています。子どもや大人という区別をせずに、来たい人が来て、一緒にご飯を食べる。いろんな思いを持った人たちがつながれる場所になってほしいと思います。

今後どのようにしていきたいですか?

私が小さい頃は、地域の情報が自分に届いておらず、地域のつながりを体験できませんでした。今になって情報を取りに行くようになり「こんなイベントもやっているのか」と驚くことがあります。一方で、地域の活動は、働いている人や子ども連れの方が参加しにくいことがあります。けれど、必ず誰かが地域の支えとなる活動をしており、少子化が進む地域で、それを担える人がいなくなるのは良くないことだと思います。「誰かがやってくれる」と他人事に思うだけではなく、地域の人と継続できる仕組みを作りたいと思っています。今は子ども食堂を毎月開催していますが、地域を支える活動に貢献できればと思います。

深沢さん、ありがとうございました。

希望の光プロフィール

画像:深沢周代さんのアップの写真

深沢 周代(33)

十三こども0円食堂 代表
JUSO Coworking 運営者
まだコワーキングスペースという言葉が定着する前からJUSO Coworkingを開き、その活動の中で、十三(じゅうそう)こども0円食堂というこども食堂を運営している。

取材を通して...

子ども食堂がブームになっている中、「本当に子どものためになっているのか」と疑問視されることが多くなってきていると思います。そんな中、子どもや大人で区別するのではなく、育児に困っている人、食事をしたい人、手伝いたい人など、さまざまな思いを持った人が集まって楽しく食事ができる場所があるのは、すごく素敵なことだと思いました。地域のつながりが希薄化していく中で、「まずは自分にできることをしよう」とコワーキングスペースに来ている人たちと一緒に取り組む深沢さんの姿勢から、他人事ではなく自分も何かできることを始めようと思いました。

神戸大学4年 佐比内 優太