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滋賀県発!不登校の子どもが熱中できる環境づくり

画像:授業をしている田中さんの写真

「学校」という環境内の物差しだけで、子どもの価値観や可能性を狭めることのない世界。他の子と比較せず1人ひとりをまっすぐ見て接することが、これからの社会では必要なのかもしれません。不登校の子についてどう考え、子どもたちやその保護者とどう関わっていくのか。そしてそこからどのように子どもたちの可能性を広げていくのかに挑戦する田中洋輔さんにお話を伺いました。

現在どのような活動をされていますか?

「子どもの自信を引き出す」、「なりたい自分に向かって思い切り取り組む」ということをコンセプトに、不登校の小中高生向けフリースクールを運営しています。子どもが好きなことをして過ごしつつも、自発的に成長していくための手助けや、保護者向けのセミナーやカウンセリングを行っています。

どのような思いで活動を始められたのですか?

「世の中に影響を与えて、人を笑顔にできる仕事がしたい」という思いを根本に持っています。そこから自分に何ができるかと考えたときに、自分が学生時代不登校だったこともあり、教育の分野に興味を持ったことがきっかけです。「社会を変えて人を笑顔にする」という思いにぴったりと当てはまる職はなく、どう仕事につなげていくか悩んだ時期もありました。それでも、やりたいことは明確で揺らがなかったので、人生を懸ける気持ちで活動し続けた結果、現在のような不登校の子どもたちが集まる場所ができました。今の空間は、自分自身が学生時代に欲しかった場所や、分かり合える相手が存在している、そんな居心地のいい空間になっていると思います。

画像:生徒に話しかけている田中さんの写真

どのような思いで子どもたちと関わっていらっしゃるのですか?

「何に対しても全くできない子」というのは存在しないと思います。子どもがなかなか行動できないときは、「なぜ踏み出せないのか」という心理的な原因の根っこを見つけて、取り除いていく手伝いをします。そして、子どもが頑張ったときは、結果よりもその過程を褒める。きらりと光るものを見つけたら、とことん突き詰めさせる。ただ話を聞くのではなく本質的な部分を見てあげることが、その子どもを正しく理解し、子どもから “自分を分かってくれる”という信頼も得ることができると考えています。

「どのように外と関わらせ、どうしたらそのきっかけを与えられるか」については、実は密かに1人ひとりに裏テーマを持って子どもたちと接しています。子どもの行動のネックになっているものを分析し、その問題にぴったりとはまる方法を見つけていくことにやりがいを感じます。子どもの可能性が広がった瞬間を見ることができるのと同時に、前向きになっていく保護者の方の変化も同時に見届けられることがすごく嬉しいです。

現在の活動において、大切なつながりとは何だと思いますか?

不登校になった子は自信をなくしてしまっている子も多いので、コミュニケーションの中で「自分のことを分かってくれる人がいる」、「自分は認められている」と感じることで、自信を取り戻して前向きになれるのだと思います。学校とは別のコミュニティで他の子どもたちと関わって多くの価値観を知り、いい意味で他人と比較することで自分のことをもっと知ることができたり、もっと頑張ってみたいという感情が生まれたりするのではないかと思います。何でも悩みが相談できて、とても信頼できる存在も必要かもしれませんが、ただ自分のことを認めてくれている人がいて、話したいときに雑談できるような、そんな緩い関わりも不登校の子どもたちには必要なのだと思います。

画像:街を背に笑顔の田中さんの写真

今後どのように活動を広げていきたいですか?

子どもの活躍できる場をもっと増やしていきたいという思いは変わりません。最近は動画サイトへの投稿も行っています。自分の活動の様子を動画で発信していくことで、不登校の子どもたちが取っつきやすく、より集まりやすい場所にできればと思っています。また、子どもたちの可能性をうまく引き出すためのノウハウなどは惜しみなく発信していきたいと考えています。

田中さん、ありがとうございました。

希望の光プロフィール

画像:田中さんのアップの写真

田中 洋輔(35)

NPO法人 D.Live 代表理事
フリースクールを運営。その中で、誰よりも子どもの可能性を信じ、子どもの思いにとことん耳を傾けて、彼らが踏み出し挑戦するきっかけを生み出している。

取材を通して...

「今あるのは自分が欲しかった場所」と田中さんもお話されていましたが、取材させていただいて、田中さんのもとで何も否定されず、好きなことをとことんやらせてもらえる環境にいる子どもたちが私も羨ましく感じました。私は勉強も学校へ行くことも嫌いではありませんでしたが、勉強の出来や成績で評価される学校という環境が苦手でした。そういった中で、納得ができないまま、何をしたいかもわからない状態でなんとなく成長してきました。やっとやりたいことが見えてきて、「どうやって形にしていくか」についての方法を探しているところです。

そんな、周りからの形式的な評価にとらわれて苦しい思いをしたり、やりたいことに対して踏み出せずに悩んでいる子どもが、これから先はいなくなりますように。1人1人の価値観を大切にして、子どものやりたいことに対して後押しできる社会。そんな社会に、これから変化していけばいいなと思います。

神戸大学3年 吉田 彩花