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福井県発!福井の若き光 福を呼ぶ!日本酒造り

画像:酒瓶を片手に笑顔の田嶋さんの写真

福井県福井市桃園にある酒造の跡継ぎであり、現在杜氏を務める田嶋雄二郎さんに日本酒作りへの思いを伺いました。

現在の活動をお伺いしてもよろしいでしょうか?

2011年春、大学卒業直後に蔵元である実家に戻り、8年間日本酒造りや新商品の開発、販売、営業など、生産から販売まで一貫して行ってきました。春夏は、福井県のもち米を使ったみりん作り、秋冬は、日本酒造りを行っています。1840年代の創業時は、主に「生もと造り」をしていましたが、それから改良を重ね、現在では、この地の良質な水を使い、自然を生かした山廃仕込みを基本としています。

※生もと造りは現存する酒造りの技法の中でもっとも伝統的な造り方で労力がかかる。一方、山廃仕込みは技術の進歩により生もと造りから「山卸し」の作業を廃止した造り方。

この手法は、自然界の乳酸菌を取り込んで造る伝統醸造法です。通常より2~3倍の手間と時間を必要としますが、飲んでいただいたお客さまに「美味しい」と笑顔になっていただけるようなお酒造りを目指して酒蔵を営んでいます。私たちが造るお酒は、福が千歳に続くようにと願いが込められていて、お酒の名前の由来にもなっています。

伝統ある酒造を受け継ぐことにプレッシャーはありましたか?

初めは、日本酒造りが盛んな冬の4~5ケ月の間に失敗が許されないことにプレッシャーを感じていました。しかし、お酒を造ることへのプレッシャーはあっても、受け継ぐことへのプレッシャーはあまりなかったです。年を経るにつれ、「お酒を造ることを楽しんでいる自分」や「新しいものを考えて造ることを楽しんでいる自分」がいて、今では毎年新商品に挑戦しています。

画像:日本酒づくりをしている田嶋さんの写真

お酒造りの中で、こだわっている部分はありますか?

地元にこだわっています。なぜかというと、福井県のお米がおいしいからです。弊社が扱うお酒は、福井県産の米を100%使用して造っています。特に店頭で販売しているライスワインは、福井県産のコシヒカリを100%使っています。私が大学時代に酵母の研究をしていたことから、福井県のお米とワイン酵母をコラボレーションして「甘酸っぱく」も「スッキリと飲みやすい」白ワインタイプのオンリーワンなお酒ができあがりました。

活動している中で大事にしている思いを教えてください。

自分が一消費者として、楽しく、ワクワクするような日本酒を造りたいと思っています。プライベートでもお酒全般が好きで、新商品を造る時は、「日本酒ではない何か」からアイディアをもらったりします。大学時代の研究の影響もあり、それから生まれたのがライスワインで、完成するまでに26回試作して、いつの間にか夏休みは過ぎ去っていました。

だいたいお酒を造る時は、頭の中で「できる」と想像することから始まります。これは造っていて面白いところですが、「失敗したな」と思ったものが、お客さんからの評判がいい場合もあります。逆に、作り手として狙い通りにうまくいったものが、意外に違った意見をいただいたりするときもあります。

お酒を飲むことも好きですが、実は、何かを造ることが特に好きです。幼少期は、近所のおじいちゃんの畑や、実家の畑を手伝い、耕していました。その頃から、収穫する喜びや、作ったものを食べてもらうのが楽しくて。そんなことから、何かを造ることが好きになりました。今はお酒が好きなので、「お酒造りでどのように配合すればおいしくできるのか」、「どのように造ると楽しく、ワクワクしながら喜んでもらえるのか」を日々研究しています。

画像:祭りに参加している田嶋さんの写真

日本酒を造りながら、何をつないでいますか?

日本酒は、世界から見ても珍しく国名が入っている貴重なお酒です。世界中探しても、国名が入ったお酒はなかなかないと思います。日本では、昔から日本酒を「国酒」と呼び、永く続いています。蔵元の息子に生まれ、そういった環境で育ってきたからには、次世代にこの伝統を受け継いで、お客さまにとって、もっと日本酒を身近なものにしていきたいです。また近頃は、若い人のお酒離れが進んでいると思います。伝統ある日本酒文化がなくなってしまうのは寂しいので、老若男女から愛される、親しみのあるお酒を造っていきたいです。

今後の展望を教えていただけますか?

新しい分野のお酒にも挑戦したいと思っています。その1つとして、ライスワインをオーク樽で熟成する、新しい商品を開発しています。すでに、クラウドファンディングを利用して挑戦している途中ですが、これから味がどう変化していくか楽しみです。今まで日本酒を飲んだことない層に、新感覚の味わいを提供していきたいと思っています。

また、「生もと造り」もやってみたいです。先人達は当たり前に生もと造りでお酒を造っていました。しかし、時代が変わっていくなか、山廃仕込みの日本酒を造ってきたので、自分が今までやったことない製造法に改めて挑戦したいと思っています。まだまだ小さな蔵ですが、だからこそできることがあります。これからも自由に新しいことへチャレンジしていき、他にないオンリーワンな酒蔵にしていきたいです。

田嶋さん、ありがとうございました。

希望の光プロフィール

画像:田嶋さんアップの写真

田嶋 雄二郎(30)

福千歳醸造元 田嶋酒造株式会社 杜氏 跡継ぎ
1840年代創業、歴史ある酒造の7代目蔵元として伝統醸造法「山廃仕込み」を受け継ぐ。福井県のお米にこだわった商品は、酒造り、調味料、化粧品などにも生かされている。中でも自身の大学時代に造りあげた「ライスワイン」は今も店頭に並び続けている。

取材を通して...

田嶋さんは取材中、終始楽しそうに日本酒造りや、福井県へのこだわりを話していました。何よりお酒を造ることを楽しみ、「新しいことへ挑戦しながら楽しんでいる」と語る姿はキラキラしていました。インタビューで刺激を受け、将来、私も田嶋さんのようにイキイキと仕事したいと思うようになりました。また、伝統を受け継ぎつつ、今の時代を生きている姿はまさしくこれからの地域の希望の光だと感じました。

福井工業大学4年 藤井 徹太