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新潟県発!若者の「やってみよう」が芽生える場所を商店街に。街に活気とおいしさを提供。

画像:お店の中で座る中川さんの写真

古くから、ものづくりの街として世界的にも有名な新潟県燕三条地域。三条から若者が次々と流出するなか、街づくりの拠点として古民家を活かした飲食店をオープンした中川裕稀さん。地元の商店街と協力して作ったオリジナルハンバーガーはお腹を満たすだけでなく、街に活気をもたらしました。その仕掛け人の中川さんが、若者に伝えたい想いを伺いました。

中川さんはどのような活動をされているのですか?

古民家をリノベーションした施設を拠点に、地元の若者たちとイベントを開催したり、頑張っている若者たちを応援する環境をつくっています。「今後、この施設がどうなっていけば街のためになるのか」ということを考えて、それを実際に反映させています。

この施設はカフェやレストランが併設されていて、料理を楽しむことはもちろん、Wi-Fiやコンセントも完備しているため、コワーキングスペースとしても利用することができます。古民家ならではの和室スペースでは、会議をしたり、読書などゆったりした時間を過ごすことができ、一番奥にはアウトドア気分でランチや夕食が楽しめる「グランピングスペース」があります。地元の商店街とパン屋さんと協力して作ったハンバーガーはイチオシです。

街づくりに力を注ぎたいと思ったきっかけは?

実は、初めから街について何かしたいと思っていた訳ではないんです。元々ギターをやっていて、音楽の専門学校に通っていました。しかし、自身の将来に悩んだ時期があり、そんな時に出会ったのが今の会社の社長でした。社長の「ひとつの仕事にとらわれなくても、色々なやり方があるのではないか」という言葉を聞き、自分が本当にしたいことは他でも達成できるのではないかって感じたんです。そして縁あって、その会社に入社することになりました。ものづくりの会社なのですが、仕事で工場回りをするなかでその技術の高さを肌で感じて、「あ、やばい、かっこいいな」って思いました。この時から「自分もこの街で何かしたい」という想いが強くなっていきましたね。

画像:カフェの中の写真

なぜ「若者」の活動拠点をつくったのですか?

地方における「若者」の可能性を感じたからです。各地の工場を見学する中で、現場に若い人が全くいないことに気が付きました。それを見たときに、「こんなにかっこいい街なのに、若い人がその魅力を感じていないのか」と悔しい気持ちになりました。そこで、まずは若い人が楽しいことをしている姿を見せよう!と思い、若者向けのイベントを開催したんです。思ったよりもたくさんの人が集まってくれました。継続的に続けたことで、街だけでなく、もっと広い範囲までイベントのことが伝わっていきました。若い人が頑張ればすぐに注目してもらえるのは、地方の可能性でもあり、魅力の一つでもあるなって気付いたんです。

現在、活動する中で大切にしていることはありますか?

「この街で何かやりたい!」という気持ちを子どもたちに引き継いでいくことです。いつか父親になることを想像した時、子どもたちに楽しい街を残したいなって思ったんです。でも、私たちの世代だけが盛り上がっていてもしょうがない。責任をもって、「やってみよう」の気持ちを伝承していく必要があると感じています。

「この街で何かやりたいな」って思ってくれる、次のプレーヤーになる子どもたちが現れることに大きな価値を見出しています。実際に「中川さん、僕こういうことしたいんだけど、どうすればいいのかな?」と聞いてくれる子もいて、そういう子の存在が今の私の原動力です。

画像:古民家の写真

今後の展望を教えてください。

今後はもっと地方に足を運んで、さらに人に寄り添った活動をしたいと思っています。その中で、地方ならではのライフスタイルをさらに発信していく予定です。空き家をゲストハウスとして活用し、衣食住が一体となった施設を作るなど、みんなの心が休まる「第二の家」のような存在になればいいなと思っています。都会の生活にも素敵な部分はありますが、地方の魅力を活かした地方にしかできないライフスタイルもあると思うんですよ。やっぱり僕は街づくりが好きなので、次世代の子どもたちがもっともっと誇りに思えるような、そんな街を作っていきたいです。

中川さん、ありがとうございました。

希望の光プロフィール

画像:中川さんのアップの写真

中川 裕稀(26)

株式会社MGNET
プロダクトマネージャー
まちづくり事業部 部長
「TREE」マネージャー
古民家を再生したカフェを立ち上げ、若者をターゲットにして、地域で働く夢を持てるような拠点づくりと地域の活性化に努めている。

取材を通して...

「今問題に感じていることは、むしろチャンスなのかもしれない」と考える力、転換力がとても大切だと知りました。少子高齢化や空き家問題など、数々の問題に対策の必要性が叫ばれている地方。そんな中、中川さんは、空き家をゲストハウスに活用して、地方ならではのライフスタイルを提供しようとするなど、問題を〈地方の魅力〉に変えて、さまざまな活動を精力的に行なっています。

見えない壁に立ちはだかれて「どうしよう」と悩む前に、とりあえずやってみる。実際にやってみないと分からないことがたくさんあると強く感じました。その中で、一緒の目標に向かって、共に向かってくれる仲間の存在がいかに大切かを知りました。「うちのグループには天才はいないんですよ。凡人の集まりなんです。絶対どこか欠けていて、誰かと合わさることで一つの形になる」という中川さんの言葉がとても印象に残っています。今後も様々な問題、試練が向かってくると思いますが、逆境をチャンスに変え、仲間と互いに支え合いながら、より魅力で溢れる地方になっていけば嬉しいです。

新潟大学4年 今井 友佳