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三重県度会郡度会町の特別支援学校で、子どもたちの「できた!」を引き出すため、障がいの程度に応じてカスタマイズできるICT教材を作っている北村京子さん。教材の開発や実践していく中での課題、子どもたちへの思いについてお話を伺いました。
特別支援学校の教員をしています。障がいのある子どもたちが自分の持っている力を発揮できるように支援し、子どもたちの力を伸ばしていきたいと日々取り組んでいます。ICT教材を作るきっかけは、初任で担当した脳性まひの子どもとの出会いでした。その子が少し動かすことができる頭を使ってスイッチを押し、動画を楽しそうに視聴する姿を見て、ICTを活動に取り入れることで、子どもたちの「やる気」と「笑顔」を引き出せるのではないかと考えました。そこから試行錯誤し、2011年に盲学校に赴任した際に、全盲の子が「教材のどの部分を触っているのか」を学ぶことができて、方向認知の力を高められるICT教材を開発しました。
また、体の不自由や、知的障がいがある子どもたちに向けてアプリを開発しました。このアプリは、タブレット端末で好きなものの写真を撮り、その写真を利用して2択から6択までの選択問題を簡単に作成することができる教材です。子どもの好きなものを取り入れることで、やる気を引き出すことができ、子どもたちが問題をクリアしたときに、先生が一緒に喜ぶことによって子どもたちの達成感にもつながっています。このアプリは、補助金を受け、無料配布をしています。
「やる気」を引き出してあげたいです。子どもたちに「自分でやってみたい!」という気持ちを持ってもらいたいと思っています。「やってみたい!」と思って子どもたちがアクションを起こしたら、次は「できた!」という喜びを感じてほしいです。この喜びを感じると、子どもたちの「もっとやりたい!」につながっていきます。そのために、やる気と喜びというものを常に感じてもらえるような教材作りを心掛けています。
ICTを教材に使う現場では、担当の先生が変わった時、授業自体が引き継がれることが少ないという状況が起きています。私自身も汎用性は大きな課題と感じていたので、抵抗が少なく使い勝手の良いアプリを作って教材にすることで、どんな先生にも扱ってもらいたいと考えました。写真を撮り、その写真を使ってすぐに問題を作れるところが、私の作ったアプリの強みだと思っています。子どもの好きなものや、お父さんやお母さん、お友達など身近な人をテーマに、その子独自のオリジナル問題を簡単に作ることができます。これもこのアプリだからこそだと思います。
実現したいと思っていたアプリの開発ができたので、次は、利用者の意見や提案をこのアプリに反映して、より良いICT教材を残していきたいなと思っています。
アプリを使った感想を聞くと、これからも色々なバージョンのアプリや教材を作ることができると感じています。今のアプリは、子どもの答えに対して「〇」や「×」を表示しているのですが、今後は音声が出たり動画が表示されるなど、さまざまな子どもたちに対応可能なアプリを開発していきたいです。
日々の活動を通じて、ICTは子どもたちと先生をつないでくれる効果的なツールの一つだと感じています。今まで担任をしてきた中で、子どもひとりひとりが私に色々なことを教えてくれました。そういったことをどんどん蓄積していって、今担任をしている子どもたちにとってより良いICT教材の提案ができたらと思っています。
子どもたちの「笑顔」と「やる気」をつないでいきたいです。それが他の先生たちの「こんなことをやってみようかな」という気持ちにつながっていくと嬉しいです。私も今まで担任をしてきた子どもたちから学んだことを生かし、より良い授業を行い、これからも子どもたちを笑顔にできたら良いなと思っています。
北村 京子(44)
三重県立度会特別支援学校 教諭
一般社団法人日本教育情報化振興会主催ICT夢コンテストで2013年から2016年まで日本教育情報化振興会奨励賞や宮島龍興記念教育賞など4年連続受賞。ワンタップ教材アプリ「どーれかな?」を開発するなど、子どもたちの笑顔を引き出すICT教材を日々追求している。
自身の思いだけでなく、他の先生方や子どもたちのご両親の思いを汲み取り、声を聞きながら子どもたちの笑顔のため活動され続けている北村さん。今回お話を伺い、感じ取ったことや頭に浮かんだことをすぐに行動に移すこと、生活の中でアンテナを張り続けることの大切さを学びました。北村さんは「アプリを作る」という思いが実現してもまだ、子どもたちの「できた!」を追求されています。取材中、北村さんは素敵な笑顔をされていました。お話を聞けてとても良い経験になりました。
皇學館大学3年 田中 ゆいな