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SNSやテレビ、新聞などのメディアも大事な情報源ですが、それだけではできないつながりを地域のなかでつなぐことができるのは、コミュニティFMの良いところです。北海道室蘭にあるコミュニティFM代表の沼田勇也さんはこう語ります。沼田さんに、「人」と「思い」と「情報」をつないでいるラジオについてお話を伺いました。
ラジオ放送局の代表をしていますが、放送、管理、営業、そのほか掃除をしたりと何でもやっています。メインの放送部分では、自分自身でラジオ番組を作り、編集をして放送を作り上げ、放送局のさまざまな仕事をこなしています。もちろん1人ではできないので、たくさんの地域の人たちや放送局のスタッフと協力して局の運営や番組作りを行っています。また、全道各地にあるコミュニティ放送局との協力関係を強めるために、協議会の役員として参画しています。ラジオ局は地域活性化や楽しい地域づくりの役に立ちたいとの想いで始めたのですが、ラジオだけではなくさまざまな活動を通して地域の人たちとつながりを作り、まちづくりに貢献したいと考えています。
北海道胆振東部地震の緊急災害放送です。自分の地域も停電などに遭い、大変な思いをしました。しかし、それ以上に「他の地域でもっと困っている人たちがいるはずだ」と考え、むかわ町と厚真町の臨時災害放送局の開局のお手伝いをすることを決めたのです。実際に放送をして感じたのは、災害時にSNSなどの情報だけに頼ると、デマやうわさなど不確定な情報も拡散してしまいがちです。また、放送中や放送後には多くのリスナーから情報やメッセージなどをいただき、ラジオがどれだけ災害時に大事なものなのか、情報と想いをつなげる役割を通して感じることができました。
室蘭市に引越して感じたのは、地元ならではの情報が十分に行き渡っていないことによって、「このまちには何もない」と思っている人の多さでした。そんな時、地域活性化のためにコミュニティFMを立ち上げたいという人に出会いました。趣味のドライブを兼ねて、北海道内各地のコミュニティFM放送局やローカル放送局を訪ねて回ると、それらがまち興しに役立っていることを知ったのです。しかし、その頃は一般企業に勤めるサラリーマンであり、まだ20代という若さもあって、開局するには多くの困難がありました。当時勤めていた会社を急に退職するわけにもいきませんので、会社に勤めながらボランティア活動として、放送局の開局に向けてインターネット放送やイベント会場放送などを行いました。極端に睡眠時間が短い日々が続いたため、何度か倒れたりしたこともありました。放送免許の申請のほか、資金集めから運営資金の根拠の証明など難しい課題や困難がありましたが、多くの方にご支援いただきどうにか会社設立と放送局の開局をすることができました。開局後もさまざまな困難はありましたが、地域の皆様に支えていただき、放送局は11年目を迎えることができました。
地域の方々に、「この町に住んでいることが楽しい」と感じていただけるように番組を制作し、発信することを大事にしています。「まちを音でつたえる」。これは「楽しくラジオを聞いているだけでいつの間にか『まち』に興味が湧いて、だんだん『まち』のことを好きになる」という意味です。そして、気付いたら「まちづくり」に参加していて欲しいと願っています。
また、ラジオ放送中は、"うそや間違った情報を伝えない"ということが大事です。なぜなら、テレビやラジオは放送法によって絶対に誤った情報を放送しないことが義務付けられているからです。ルールや規制のないSNSよりも、情報の信頼性があると受け取られています。うそを伝えてしまった場合、信頼関係が失われます。地元の方々との信頼関係で成り立っているラジオ放送ですので、小さな放送局といえどもこの点は特に注意しています。
地震の際に停電してしまったことがありましたが、インフラの復旧に尽力いただいた方に対してさまざまな方からの感謝の言葉を、ラジオを通じて伝えることができました。新聞やSNSなど文字のメディアでは、「想い」を完璧に伝えることはなかなか難しいことだと思います。しかし、ラジオは本人のメッセージや声を届けることができるので、「感謝の想い」を実際に放送局から伝えることができたのです。伝える人の「想い」が聞いている人につながりやすいんです。それを実感できたのは他ではなく双方向メディアとしてのラジオであったからだと考えています。実際にリスナーからのメールで感謝の気持ちが届いたり、ラジオに出演して下さった方から感謝のお言葉を頂いたこともありました。そして、まさにこの瞬間に「人」と「想い」と「情報」をつなげることができたと感じました。今後はさらに多くの地域の方とつながりを増やしていくことによって、よりローカルでありながらも多くの人たちの「想い」と「情報」をつなげ続けることができるよう努力していきたいです。
もっと地域の人たちにうまくこの放送局を活用していただき、年齢も性別も全く関係のない人たちをつなぐきっかけになりたいと思っています。しかし、それを実現するには、コミュニティFMを理解していただくためのコミュニティ形成に力を注ぐことが大事だと考えています。そして、エリアの皆さんに情報の発信と受信の両方を活用し、ラジオにしかできないこと、特にコミュニティFMにしかできないことをしていただきたいです。
沼田 勇也(42)
室蘭まちづくり放送株式会社 代表取締役社長
日本コミュニティ放送協会北海道地区協議会 事務局長
北海道中小企業家同友会西胆振支部 幹事長
室蘭の良さを「伝えたい」という強い思いで、コミュニティFMやフリーペーパーを立ち上げて、地元の盛り上げに尽力している。
今回の取材で多くのつながりを感じることができました。SNSなどでは多くのつながりを常に感じていましたが、ラジオが多くのものをつなげており、地域のために貢献していると感じました。特に災害時のラジオの伝播性の凄さを痛感しました。ガソリンスタンドの場所、配給が行われているかなどの情報は、いち早く手に入れたいものです。しかし、ラジオさえあれば即時に知りたい情報、さらにプラスして役立つ情報が入ってきます。そして、その情報が人々をつなげていきます。地域の人たちにとってラジオとは本当に役立つツールだということを感じました。僕らのようなSNSと共に生きてきた世代の人たちこそ、ラジオを有効に使うべきなのかもしれません。
室蘭工業大学3年 菅井 豪留