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徳島県発!後世に本物を伝える~和傘~

画像:作業場で笑顔の小林さんの写真

和傘職人として、後世に自分の知識や技能を惜しみなく伝えようとする小林旅人さん。今回は小林さんのお仕事と、和傘に込める思いを伺ってきました。

現在はどのような活動をしておられますか?

和傘の製作はもちろん、その他の活動として後継者育成講座や、和傘に関する資料や文献を集め、発信することにも力を入れています。和傘職人をするにあたって、自分が困ったことは、対応方法を探し、次世代につなぎたいと思います。そうすれば、次の世代の人たちは情報を探すための時間を、別のことに充てることができる。和傘について勉強することも、より簡単になるはずだと思います。東京へ行くときには、国会図書館や古本屋さんを訪れて資料集めに長い時間をかけます。毎日ノートをとって和傘について勉強していますね。

小林さんの一日は和傘でいっぱいですね

和傘屋ですからね。本気のときは、本気のことを、本気でやらないといけないですよ。これまで、エレキギター製作、水族館の擬岩作り、テーマパークのアトラクション周りの風景(山など)作りなどの仕事を経験して、それぞれの現場でそれぞれの分野のプロを間近に見てきました。プロは、「何ができていて、何ができないのか」を分かっているんですよね。たとえ周りから評価されたとしても、今の自分に満足せず、前へ前へと行動していました。こういうふうに考えられるのも、若いうちからプロ、「本物」を見てきたからだと思うんです。何かを始めるときに、「本物」を見ることは大事だと思いますね。

画像:並べられた和傘の写真

「和傘」という伝統を次世代につなげていく上で大切にしている思いはありますか?

ネイティブアメリカンの言葉に「この地球は先祖から譲り受けたものではなく、我々がほんのしばらくの間、子孫から借りているものなのだ」というのがあります。この言葉のように、私は 伝統を子孫から借りていると考えています。

その一方で、先人からも学ぶことがたくさんあり、我々は「過去と未来をつなぐ橋渡し役」であると考えています。和傘を作っていると「この骨組みきれいだね」、「このデザイン美しいね」と言われることが多いのですが、考えたのは私ではなく昔の人。私自身は何もすごくないと思っています。伝統は、私たちじゃなくてそれより前の人なんです。私は何も新しいものを生み出せないということを自覚しています。だから、せめて昔の人が生み出してくれたものに感謝の気持ちを持って、それを伝えていこうと思っています。

SNSに傘の写真を上げていらっしゃるようですが、その理由を教えていただけますか?

写真を出すことによって、資料の共有もできるし、見本にすることもできます。
毎日1枚、更新することを意識して、SNSを開設しています。自分が作った傘の写真よりも、他の職人が作った傘のほうが多いですね。傘の写真を見て傘屋がこの傘を作ろうと思ったり、お客さんがこういう傘が欲しいって傘屋に頼んでくれたりしたらうれしいですね。傘を被写体にして写真を撮りたいという人が出てきて、日本の傘を広めてくれるのもいいですね。

画像:小林さん作業道具の写真

これまでに挑戦したこと、今後、挑戦してみたいことはありますか?

傘のデザイン案を募集したことがあります。人それぞれ、個性あふれるデザイン案を応募してくれてうれしかったですね。優秀作品はミニサイズで実際に作りました。

今後挑戦してみたいことは、傘の資料館を作ることですかね。私が集めてきた資料は、すべて有効に活用してくれる人に渡してもいいと思っています。そもそも、傘についての資料が少ないので「傘について勉強したいという人のため」、「傘の資料を後世に残すため」に資料館を作りたいですね。

小林さんの夢を教えてください

傘屋をやめることですね。私みたいに「うるさく指導する人」が必要なくなったときに実現しますかね。「あなたが知っていることなんて、みんな知っているよ」、「あなたが持っている資料なんて、みんな持っているよ」という人たちが出てきてほしいです。

小林さん、ありがとうございました。

希望の光プロフィール

画像:小林さんのアップの写真

小林 旅人

岡山県津山市に生まれ、現在は徳島県美馬市の工房 和傘屋で和傘職人として活躍している。

取材を通して...

今の小林さんの伝統についての考え方や、和傘屋として活動するうえでの意識は、これまでの友人との関係性や、仕事での経験がつながって、形作られているように感じました。そして、小林さんは、まさに「つながる」という言葉とともに生きてきた人のようでした。それは、和傘という伝統を後世に伝えることが、今と過去を「つなげている」からです。

「何かをするなら本物を見たほうがいいよ」と教えてくださったときの小林さんの表情は忘れられません。「本物とは何か」という考えが、小林さん自身の中にしっかりと確立しているからこそ、わくわくし、素敵だなと感じたに違いありません。和傘を手に取りながら、「伝統とは」、「本物とは」ということについて考える素敵な機会でした。

四国大学 越智 日和