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群馬県発!「稼げて、希望があって、格好いい」農業を目指して!

画像:松島さん兄弟の写真

400年続いた家業を守るために脱サラし、兄弟で独自ブランドを作り、耕作放棄地をつなぎ、農業への夢をつなぐ兄弟のお話を聞いてきました。

現在の活動をお伺いしてもよろしいでしょうか?

章倫(兄):私たちの仕事は農業です。収穫した野菜は主に組合に出荷するほか、独自ブランドの野菜を、東京の百貨店に卸しています。それから、「農家になる」という夢を追い掛けている若手を従業員として雇ったり、新規就農者に畑を紹介したりすることもあります。小学生や保育園の子どもたちに収穫体験をしてもらう活動もしています。

圭祐(弟):他にも、大きな問題になっている耕作放棄地を自分たちで整備して、作物を育てています。

圭祐:地元の協同組合の特産品として私たちの白菜があるのですが、より自分たちのこだわりをアピールしたいという思いで自分たちのブランドを立ち上げました。

章倫:群馬県のこの一帯は、冬場は白菜の産地なのですが、その中でもさらに自分たちで課した厳しい検査に合格したものが独自ブランドです。

 現在のお仕事をする上で、お二人が大事にしている思いを教えてください。

章倫:おいしくて、高品質な野菜を作りたいという思いを大事にしています。

圭祐:それにプラスして、毎年絶対に前に進んでいくことかな。“常に進化をしていけるように”というのは、意識しています。

章倫:毎年畑の規模を、前年度の40%程度大きくしています。今では、農家を始めた当時の40倍くらいの規模になりました。とはいえ、規模は限られていますので、その中でどんなことができるか、どんな野菜が売れるのかを考えています。

画像:松島章倫さんが作業している写真

ご兄弟にとって、お互いはどんな存在ですか?

章倫:私たち二人は、性格が正反対なんです。そういう意味で、足りないところを補い合っているかな。私は、おっとりしている方で、従業員やその他の人に対しても言いたいことが言えない時もあります。弟は、そういうことをずばっと言える。

圭祐:兄はマイペースで、ガツガツしていない。逆に、僕はバリバリやらないと気が済まない。でも、兄みたいな社交性はあまり持ち合わせていない。だから、バランスがとれているのかな。

農業をしようと決めた時はどんな思いでしたか?

圭祐:僕は、迷いはなかったですね。農業のことを何も知らなかったから、逆に不安や負の要素は考えられませんでした。

章倫:将来的に明るい職業だろうなって思っていました。不安より希望の方が大きかったです。

圭祐:最初は、祖父も父も、僕たちが仕事を辞めて家を継ぐことに反対していました。でも、畑の面積が広がってきて、テレビの取材も来てくれるようになって、高い評価をもらえるようになってきたんですね。それで、父も認めてくれて手伝ってくれるようになりました。

画像:松島圭佑さんが作業している写真

お二人が、仕事を通して何を“つないで”いるのか、また今後何を“つないで”いきたいのか、教えてください

圭祐:松島家としての歴史をつないだのが最初です。農家だった祖父が病気で倒れてしまい、400年続いてきた松島家の農業を「やめる」となった時、僕たちが仕事を辞めて家を継いだことで歴史をつなぎました。

章倫:これからは、農業という仕事を次の世代へ“つなぐ”ことでしょうか。日本の農業のクオリティの高さは、世界でもトップクラスです。これを何百年も先まで“つなぐ”という気持ちで活動しています。農業の大きい基盤をこの地域で作って、それを次の時代につなぐ。そうやって、今日本が抱えている問題のひとつである農業従事者の減少を解決したいです。自分たちは農業を職業として、昔の時代から次の時代につなぐための架け橋のような立場なんだと思います。

圭祐:現在、70歳以上の農業従事者が多い中で、僕らが頑張って、いろいろな所から土地を借りていかないと、耕作放棄地ばかりになってしまう。加えて、「農業は格好悪い」「やりたくない」っていう人たちばかりになると、もうこの町の農業は衰退していくだけでしょう。それは嫌なんですよ。

章倫:うちが頑張って地域を盛り上げてきている中で、中学生の職場体験で農業を選ぶ子が出てきて、うちに依頼がきたことがあるんです。自分たちがやってきたことで、農業のイメージがちょっとは変わってきたのかなと思いました。こういう形でつないでいけたらいいですね。

画像:寒締め白菜の写真

今後どのようなことをしていきたいですか?

章倫:まずは地域貢献。この邑楽町にとどまらず、いろいろなところで何かしら貢献できることがあれば、それを実践してきたいです。あとは、農業は大規模になればなるほど品質が落ちるというイメージを覆したい。今うちは、品質を落とさずに規模を拡大していて、これをずっと続けていきたいです。それから、農業のイメージを変えていきたい。農業のイメージっていうと、「きつい、汚い、稼げない」という、いわゆる3Kですが、うちはその逆の3K、「稼げて、希望があって、格好いい」を狙っています。

圭祐:農家で働きたい人には、どんどんうちで働いてもらいたいです。うちで働く人がさらに稼げるようになって、やりがいも見いだせて、日々楽しい生活を送れたら、これほどうれしいことはないですね。過酷な環境で労働している人が多いから、うちで働くことによってハッピーな生活を送れるような環境作りをしていきたいです。うちでやっている地域の雇用がうまくいったら、地域貢献にもなる。子どもがいて働きにくい人や、高齢者の方も受け入れたいです。

章倫:それから、国の期待を超えたい。農業って国から守ってもらっているような職業でもあるから、国の期待を超えられるような強い農家になりたいです。

圭祐:もっともっと、人に対しても社会に対しても、いい影響力を持てる農家になりたいです。

松島さん、ありがとうございました。

希望の光プロフィール

画像:松島章倫さんアップの写真画像:松島章倫さんアップの写真

松島 章倫(32)(写真左)

地元の製造業に6年間勤務した後、農業経営を受け継ぐ

松島 圭祐(30)(写真右)

地元の商社に1年弱勤務した後、農業経営を受け継ぐ

JA邑楽館林(おうらたてばやし)の特産品である白菜「邑美人」を生産するほか、独自ブランド「寒締め白菜」を展開。農業に携わる人々すべてがハッピーな生活を送れるような環境作りを目指し、地域のボランティア活動や若手就農者の雇用、耕作放棄地の開拓にも力を入れている。

取材を通して...

400年続く松島家の歴史を継承し、農業という仕事を未来へつなぐお二人。農業のネガティブなイメージを払拭したい、楽しく働ける環境づくりがしたいという、熱い思いが伝わってきました。日本の農業は、農業従事者の減少・高齢化の問題をはじめとして多くの問題を抱えています。お二人はその問題に立ち向かうヒーローのような存在だと思いました。お二人のかっこよくてハッピーな農業が、全国に広がっていくことが楽しみです。

群馬大学3年 酒井 麻衣