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愛知県発!障がい者の可能性を最大限に!「寝たきり社長」がつなぐ未来

画像:佐藤さんの写真

10万人に1~2人が発症するといわれる、「脊髄性筋萎縮症」という重度の身体障がいをもつ佐藤仙務さん。19歳という若さで会社を立ち上げ、「寝たきり社長」として活躍。他にも、「東海市ふるさと大使」を務めるなどさまざまな活動をされています。今回はそんな佐藤さんの活動に込める熱い思いを伺いました。

現在の活動をお伺いしてもよろしいでしょうか?

現在、WEB制作や印刷物のデザインを行う会社の社長をやっています。また、東海市で活動しているので、東海市のふるさと大使にも就任しています。
僕が会社を立ち上げたのは、障がいが重い自分を受け入れてくれる会社がどこにもなかったからです。もともと会社を立ち上げようとは考えていませんでした。しかし、自分が望む働き方ができる場所がなかったので、「じゃあ自分でそういった場所を作ろう」と思い、立ち上げました。

ふるさと大使になろうと思った理由を教えてください。

東海市に認められたいという気持ちからです。小学校に上がるとき、東海市から「君は普通の学校には通えないので、特別支援の学校に通ってください」と伝えられ、やはり僕も人間なので寂しい気持ちはありました。ただ、よく考えたら「東海市のことをそれほど知らなかったですし、東海市にほとんど関わっていないのでは」と思い、「それで嫌いになるのって、それは多分僕が間違っているのだろうな」と思いました。このネガティブな感情を「どういう形でぶつけ、どのように処理したら、プラスのパワーに変えられるのか」と考えていく中で、大使になって東海市に認めてもらおうと思うようになりました。

ふるさと大使としてどのような活動をされていますか?

講演会活動が多いですね。最初は地元の小学校などで総合学習や福祉の授業で話をしていました。その後、中学校や、一般の企業などでも講演を行うようになりました。他にも、地元の野球チームの名誉顧問もしています。

ふるさと大使の活動ではどんな思いを子どもたちや地域の方々につないでいますか?

講演会活動では、基本的に僕が普段やっていることとか、「何で会社を立ち上げようと思ったのか」などを話しますね。他にも「ITをもっと使えば、こんなに生活を豊かにできる」ということも話しています。実際にうちの会社は、僕も含めて従業員の半分近くが障がいがある方です。住んでいる場所はバラバラですが、パソコンがあってインターネットがあれば、いつでもみんなと連絡は取れますし、仕事のやり取りも問題ないです。ITを使えば僕でさえこれだけ働けるということは、世の中の人たちももっとITを活用すれば、さらに自分の生活が豊かになると僕は思っています。
地元の野球チームの子どもたちには、「感謝の気持ちを持つこと」と「ないものねだり」をしないことをお話ししています。

僕が名誉顧問を務めているチームの子は、みんな「甲子園に行きたい」とか、「プロになりたい」と本気で思う子が集まっています。子どもたちには、感謝の気持ちというものを忘れないでもらいたいなと思って伝えています。僕も、家族や介助者とか、僕に仕事ができるようにしてくれたITを作ってくれた方々には感謝しなきゃいけないなと思っています。子どもたちの両親は、毎週子どもたちの練習に朝から晩まで付きっきりです。野球ができることは当たり前と思ってほしくなく、感謝の気持ちを忘れないでということを伝えています。

もう1つ忘れないでほしいことは、「ないものをねだらないこと」。ないものをねだって、じゃあそこから何かが始まるのか、前に進むかと言われたら絶対に進まないわけですね。だから、いま自分は何ができるかということを考えて、自分を大事にしてもらうということを忘れないでもらいたいと伝えています。いろいろな人と出会うと、「なんで僕ばっかり」、「何で私ばっかり」って思う場面は社会に出れば出るほど多くなってくるかもしれません。しかし、自分の中で軸としてぶれないものを持っていると自分のことが嫌いにならないで済むと思います。

画像:佐藤さんがパソコンを見ている写真

今後の展望を教えてください。

働きたいと思う障がい者の方全員に、仕事を与えられる会社にしたいと思います。障がいがある人って、生きていく上で、なかなか選択肢が少ないのです。とても高い能力があるのに、障がい者っていうだけで働けないという人たちが多くいますし、僕も苦労しました。いろいろな選択肢の中で、まず僕は障がいがある方に、働くということを手に入れてもらいたいと思っています。

ふるさと大使としては、表面上の観光だとかそういうのではなくて、もっと東海市の内面的な良さをPRできたらいいなと思っています。もし僕が生まれ変わっても、また東海市に生まれたらいいなと思うのは、住みやすい街であるからです。住みやすい街というのは、そこに住んでいる人の心も豊かだと思います。僕は、東海市の人たちはみんないい人ばかりだと思っていますし、そこに関われるのは本当に楽しい。

障がいがある人を、市のPRの顔として抜擢してもらえるって、なかなか他の市町村ではありえないことだと思っています。だから僕は、自分が大使になった以上は、東海市に恩返しをしたいと思って、東海市のみんなが知らない良さをもっと発信できたらいいなと思います。僕は大使の中でも、現在も東海市に住んでいる数少ない大使です。中からしかわからない良さにもっと触れ、PRをしながら東海市でいろいろおもしろいイベントを作っていきたいですね。

佐藤さん、ありがとうございました。

希望の光プロフィール

画像:佐藤さんアップの写真

佐藤 仙務(28)

株式会社仙拓 代表取締役社長
重度の身体障がいがありながらも、会社社長として、また、東海市ふるさと大使として、さまざまな形で障がい者が働ける社会作りや、東海市の活性化に努めている。

取材を通して...

「自分に何ができるか」というポジティブな思いがあるからこそ、佐藤さんの今の活躍があるのだなと思いました。障がい者の方には、自身の会社を通して、また、健常者の方にはふるさと大使の活動などを通して、自分がもつ可能性を最大限に発揮していきたいと考えているのが印象的でした。自身の会社や東海市ふるさと大使を通じて発信する佐藤さんの言葉に注目をしていきたいです。

南山大学2年 伊藤 寛斗