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島根県発!笑顔と可能性をつなげる“ふるさと守り”の大黒柱

画像:野津さんイベントの写真

買い物支援や配食サービスを通じて高齢者の抱える問題に向き合い“ふるさと守り”をミッションに掲げている野津積さん。今回は野津さんのお仕事とふるさとを守るとは?を伺ってきました。

現在はどのような活動をしておられますか?

約8年前に始めた、高齢者を対象にした買い物支援や生活支援の仕事をしています。これは外出が困難な人に代わって買い物に行ったり、自宅に配食をしたりするものです。
例えば、私たちはおじいちゃん、おばあちゃん向けに、365日お部屋の中にお弁当をお届けします。すると、担当の従業員は子どもや孫よりも顔を合わせる回数が多いんです。おじいちゃん、おばあちゃんの苦しいことや悲しいこと、怒っていることを全部聞くことができます。『息子が島根から出て行って、もう帰ってこないんよ』というような話を聞いていたら、その場所から離れられなくなってしまいます。そうやって、食事だけじゃなく、会話や笑顔も届けています。

ただ、この仕事は持続可能かどうかと聞かれると、収益面で厳しいものがあるので工夫する必要があります。

大切にしている想いはありますか?

“ふるさと守り”という考え方を大切にしています。今までの人生を振り返ると、色々な思い出が浮かんできます。その思い出の中心にあるものが“ふるさと”なんです。そして、そのふるさとが守られているというのは、そこに住む人たちが元気で活気溢れる状態です。ただ、今の日本は元気がないですね。私が子供の頃はもっとみんな未来に向けて希望を持って前向きに頑張っていましたが、今ではその元気が感じられないです。『人口が減少していって、今の日本がなくなるんじゃないか』や『自分はだめだ』と過小評価する人たちがいるんですよね。でもそういう人たちは、自分が持っているものに気が付いていないだけです。誰でも持っているものはあるのですから。それを伝えたいです。

画像:高齢者の方に商品を届けている写真

どんなことを目指しているのですか?

あらゆる人が、小さい子も含めて、自分の力を最大限発揮できるような地域をつくりたいです。それが究極の目的、目標です。職業上、高齢者と関わることが多いのですが、おじいちゃん、おばあちゃんが、社会に対して『わしは何にも役に立っていないけん、早く死にたい』って言うんです。こんなに悲しいことはない。でも外に出さえすれば、誰かの役に立つことはできます。これも過小評価してしまっています。『俺は足が悪いけん、もう……』って。いや座っていたってできることもあります。座って手が動けばできることってあるじゃないですか。話をしてあげるだけでもいいですよね。自分が持っているノウハウを若い子たちに語るというだけでも、それは立派な仕事だと思います。

その目標を達成するためにしようとしていることは“マッチング”です。例えば、『移動したい人や運びたいもの』と『移動の補助をしてもいいよという人』をマッチングするということです。つまり、ただ何も持たずに移動するのではなく、通り道であれば、運べるものを運んでいった方が効率的だという話です。これによって、今のビジネスは持続可能なものになりますし、そのマッチングが巡り巡って、高齢者も利用するようになれば、おじいちゃん、おばあちゃんが外に出るきっかけが増えて、元気になることにもつながります。

画像:雪の中スタッフが配送の打ち合せをしている写真

つないでいるものはありますか?

私は島根県内の中小企業の経営者団体の代表など、いろいろな活動をしていますが、その関係で、講演などで県外に出向く機会も多いです。その講演先で、多くの人と会えば会うほど得られる情報も多くなってきます。そして、その情報を自分のビジネスに生かしつつ、活動しているうえでお会いするさまざまな人に渡しているんです。情報をいろいろな人に伝えることで、その人が開花し、活躍するきっかけになると信じています。

野津さん、ありがとうございました。

希望の光プロフィール

画像:野津さんアップの写真

野津 積(52)

モルツウェル株式会社 代表取締役社長
“ふるさと守り”をミッションとし、過疎地域で買い物サービスや食事の提供サービスを通じて地域の方々をつなぎ、日本をより元気にしようと島根を中心に活躍している。

取材を通して...

野津さんをはじめ従業員の方々は、玄関までではなく、部屋の中のおじいちゃん、おばあちゃんのところにまで配達するからこそ聞ける声を大切にしていることが伝わってきました。野津さんには、誰よりも高齢者と向き合っているからこそ見えてきた需要や目標があり、それに対する熱量の大きさを感じることができました。
このインタビューの中で、若者から高齢者まで、人の可能性から命まで、野津さんを通じていろんな人やものがつながっていることが伝わってきました。“ふるさと守り”という目標はもうすぐ達成できるのかもしれません。

島根大学4年 出雲 寛人