国土交通省は24日、自動運転車の実用化に向けた保安基準の改正案を公表した。自動運転機能を起動させた時刻の記録装置などの搭載を義務付け、事故の際の原因や責任が運転者とシステムのどちらにあるかを明確にする。2020年4月をメドに施行する。政府は一定の条件付きで自動運転できる「レベル3」のための法整備を終えており、同年の公道走行の実現へ環境が整う。
自動運転車を巡っては、ホンダが20年夏をメドに、渋滞時の高速道路でシステムが運転主体となるレベル3の車を発売する予定。日産自動車が市街地で走行できる技術の実用化を20年以降に見込むなど、開発が進む。
保安基準は道路運送車両法に基づく。今回の改正案は主に、運転者がいる状態で高速道路での運転を自動化するレベル3を対象としている。
レベル3では状況に応じ操作が人とシステムとで入れ替わる。このため「事故時の責任の所在をどう裏付けるかが重要」(自動運転の法制度に詳しい明治大の中山幸二教授)と指摘されていた。
新たな保安基準では自動運転機能をオン、オフした時刻の記録装置などの搭載を義務付け、6カ月間の記録保存を求める。認められた走行条件外で起動しない機能や、居眠りなどの監視システムも必要とした。
ホンダの場合、高速道路で渋滞が解消されて条件外となると車がまず警告灯やブザーの警告音を発する。人が運転態勢に入らなければシートベルトが振動。最終的にはハザードランプなどで外部に警告しながら高速の路肩に自動停車させる。
居眠り監視装置では、運転者の状態を確認する車載カメラの開発が進められている。自動運転車は外部ネットワークとの接続が前提で、乗っ取りなど不正アクセスを防ぐ仕組みも必要。カーナビゲーションなど外部に接続する系統と、ブレーキなどをつかさどる系統の間に防御壁「ファイアウオール」のような装置の搭載が想定される。侵入検知システムの導入なども検討されている。
政府は20年に自動運転を実用化する目標を掲げている。それを踏まえ、19年5月には自動運転の安全基準を定める改正道路運送車両法のほか、改正道路交通法が成立した。
道交法の改正により、これまで禁止されていたスマートフォン操作や車載テレビの視聴などが、人による運転にすぐに切り替えられることを前提に自動運転中に認められるようになる。法整備と保安基準の改正により、実用化が目前に迫る。
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