養豚で働く実習生へ 防疫の重要性 母国語冊子で訴え まずベトナム語 「分かりやすく」事業協同組合
2019年12月23日
日本養豚事業協同組合は、養豚場で作業する外国人実習生に家畜防疫の意識を定着させるため、作業内容や目的をイラスト入りで対訳した冊子を作った。実習生が多いベトナム語版を発行し、中国語版、ミャンマー語版を作成中。養豚場だけでなく、アフリカ豚コレラ(ASF)などの侵入を防ぐため海外から肉を持ち込んではいけないことや、罰則があることなどの注意も盛り込んだ。研修や日々の作業に役立ててもらう。
冊子では防疫作業の他、肥育豚舎や繁殖豚舎など生育ステージごとの管理方法、日常での注意点など24項目について、イラスト付きで解説。外国語に対応する日本語も、併せて掲載した。
豚舎の入り口ごとに長靴を履き換えることや、消毒はふんや食べ残した餌などを除いてから行うこと、豚の異常はすぐに報告することなどを列記。故郷の友人と食事をする際などには日本で販売している豚肉を使い、「故郷から肉や肉製品を持参、郵送しないで」と呼び掛ける。
A4判、10ページで、フルカラー。農場で日常的に使ってもらうことを目的に、汚れが拭き取りやすい紙を採用した。巻末には主に使う用語を振り仮名付きの日本語とベトナム語、英語、中国語で並べて紹介する。
同組合の松村昌雄理事長は「分かりやすさを重視して、必要なひと通りの作業を網羅した。農場の衛生レベル向上へ活用してほしい」と話す。
同組合の会員以外にも、1部330円(送料別)で提供する。問い合わせは同組合、(電)03(6262)8990。
冊子では防疫作業の他、肥育豚舎や繁殖豚舎など生育ステージごとの管理方法、日常での注意点など24項目について、イラスト付きで解説。外国語に対応する日本語も、併せて掲載した。
豚舎の入り口ごとに長靴を履き換えることや、消毒はふんや食べ残した餌などを除いてから行うこと、豚の異常はすぐに報告することなどを列記。故郷の友人と食事をする際などには日本で販売している豚肉を使い、「故郷から肉や肉製品を持参、郵送しないで」と呼び掛ける。
A4判、10ページで、フルカラー。農場で日常的に使ってもらうことを目的に、汚れが拭き取りやすい紙を採用した。巻末には主に使う用語を振り仮名付きの日本語とベトナム語、英語、中国語で並べて紹介する。
同組合の松村昌雄理事長は「分かりやすさを重視して、必要なひと通りの作業を網羅した。農場の衛生レベル向上へ活用してほしい」と話す。
同組合の会員以外にも、1部330円(送料別)で提供する。問い合わせは同組合、(電)03(6262)8990。
おすすめ記事
博多あまおうとジャージー牛乳の贅沢(ぜいたく)ロールケーキ JAふくおか八女
イチゴ「あまおう」の主産地、福岡県のJAふくおか八女が、熊本県のJA阿蘇とコラボして生まれた商品。「あまおう」ムースと「阿蘇小国のジャージー牛乳」のクリームで作った。
ムースの甘酸っぱさと濃厚なクリームの相性は抜群。上品なロールケーキに仕上がっている。冷凍で長期間保存が可能。パッケージには2JA協力の証しとして、JAふくおか八女マスコットキャラクター「ジャフィーくん」と、熊本県のゆるキャラ「くまモン」をあしらった。
1箱1296円。問い合わせはJAふくおか八女の直売所「一芯庵」、(電)0120(464)188。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2019年12月18日
JA農業融資 課題解決に提案運動へ
JAバンクの農業融資残高が3年連続で伸びた。資金需要の高まりに加えJAの事業間連携が奏功した。融資の伸長は、自己改革の継続やJA経営基盤の強化などJAグループが直面する課題に対応した取り組みだ。「組合員のため」を起点に、部門間連携などを通じ融資をはじめ組合員への提案を増やそう。
自己改革の一環としてJAバンクは、信用部門と営農部門の職員が一緒に担い手を訪問して課題に対応することや、農業法人をリスト化して資金需要を掘り起こすといった取り組みを続けている。この結果、年度末で見れば、2016年度から3年連続で農業融資残高は伸び、18年度は2兆5624億円となった。
農業融資へのニーズは高まっている。規模拡大をする担い手が多く、農業機械の更新需要も増えている。こうした担い手のニーズに応えることは、JAグループが自己改革の基本目標に掲げる農業者の所得増大や農業生産の拡大につながる。
JAの農業融資には協同組合ならではの強みがある。例えば、規模拡大に応じた新作物や新作型の提案、労力不足の解消や収益改善に向けた省力技術やコスト低減策など、豊富に提案できるメニューがある。こうした課題解決策と一緒に、または、それを実現するために必要な資金として融資を提案できる。もちろんこうした提案には、組合員の農業経営の把握や分析に加え、JA職員の知識や対話力も必要だ。
JAグループは、組合員と関係強化を目指す対話運動を続けている。自己改革の成果を組合員に伝えながら、ニーズを把握するのが狙いだ。
事業間連携を通じた農業融資は、対話を通じて組合員の困りごとを把握・分析し、JAの総合事業を通じて解決を目指すというものだ。いわば、対話運動の“進化形”といえる。成果を上げれば、組合員との信頼構築や関係強化につながる。こうした観点からも、複数の部門が垣根を越え、JAを挙げて取り組む価値がある。
一方、今年度から3カ年のJAバンク中期戦略でも、貸し出しの強化を柱の一つに据えている。JAでは、マイナス金利政策の継続を背景に、信用事業の収益力低下が懸念されている。農林中央金庫は今年から、信連やJAからの預金に対する金利(奨励金)の引き下げを始めた。こうした中、貸し出しを増やすことはJAの収益確保にもつながる。
全国のJAでは、役員らによる担い手訪問や営農・信用部門の情報共有、信連との連携などで、融資残高の増加に結び付けた事例がある。こうした仕組みと同時に必要なのは「組合員の課題を解決する、そのためにJAの総合事業で何ができるか」と協同組合の原点を大切することだ。“対話運動”から、JAらしい“提案運動”へと進めていきたい。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2019年12月24日
細菌から人類まで、分かっているだけでも160万種の生物が地球上に存在する
細菌から人類まで、分かっているだけでも160万種の生物が地球上に存在する。40億年前に生命が誕生。子孫が枝分かれを繰り返しながら今に至る▼国連総会は12日、日本が提出した核兵器廃絶決議案を採択した。日本提出の同種の決議採択は26年連続。核兵器の非人道的な結末について昨年は「深い懸念」を示したが、今年は「認識」に弱まった。核兵器の使用や保有を違法とする核兵器禁止条約にも言及しなかった▼地球滅亡までの時間を表す「終末時計」は残り2分を指す。米国の科学者らが毎年1月に公表する。同国のイラン核合意破棄や中距離核戦力(INF)全廃条約離脱の表明などを理由に挙げた。冷戦の最中、米ソの水爆実験が本格化した1953年以来の最悪の状態が、昨年から続く▼45年8月、広島と長崎に米軍が1発ずつの原爆を投下。原爆死没者名簿の人数は今年8月で31万9186人と18万2601人になった。長崎大学核兵器廃絶研究センターによると世界には約1万3880発の核弾頭がある。地球上の生物全てを何回も殺せるという。過去6億年間に生物は天変地異による5回の大量絶滅を乗り越えてきた。が、核戦争の次はない▼きょうは冬至。カボチャを食べゆず湯に漬かり、健康長寿と運気上昇を願う。平和を祈りつつ。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2019年12月22日
豚コレラ ワクチン接種拡大 発生県周辺指定へ 農水省
豚コレラ(CSF)の感染拡大を防ぐため農水省は、飼養豚に打つ予防的ワクチンの接種地域を拡大する。関東では神奈川や千葉など、近畿では京都や奈良を接種推奨地域に指定することを検討。ウイルスをまき散らす野生イノシシからの感染が広がる中、ワクチンの数を確保できる見通しが立ち、範囲を広げる。20日に専門家で会議を開き、正式に決める。
現状のワクチン接種は、感染した野生イノシシが見つかった県を国が推奨地域に指定し、県の接種プログラムを承認してから使う流れ。18日までに群馬、埼玉、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀の12県が接種している。このうち埼玉では感染イノシシが見つかるよりも先に養豚場での発生を確認。山梨では接種プログラムの承認を受けて、翌日からワクチンを打つというタイミングに農場で発生した。
18日の同省の牛豚等疾病小委員会では、こうした背景を踏まえ、感染イノシシが見つかる前に推奨地域を広げ、予防的ワクチンを使うべきか議論した。推奨地域を広げるのは、人や物の移動などでもウイルスの拡散が進んでいる恐れがあるため。また、野生イノシシでウイルス拡大を防ぐため経口ワクチンの範囲を広げており、感染拡大防止を強化する狙いだ。
不足が指摘されていた飼養豚に接種するワクチンは、増産で一定数が確保できる見通し。範囲を広げても対応が可能になるとみられる。同省は接種推奨地域の間に空白の県ができないよう、広域での指定を目指す。接種地域拡大では12月上旬、群馬、栃木、茨城の各県知事が首相官邸を訪れ、安倍晋三首相や江藤拓農相に要請している。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2019年12月19日
日米協定最終試算 自給率も「維持」 対策実効性が焦点
農水省は23日、日米貿易協定発効後の農林水産品への影響試算の最終版を公表した。生産額の減少などの数値はそのままだが、国内対策によって「引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持される」と明記。食料自給率も維持されると見込んだが、具体的な根拠や道筋は不透明だ。2019年度補正予算案などに盛り込んだ国内対策を現場に浸透させ、影響を回避できるかが焦点になる。
同省は10月に試算の暫定版を出していた。これを踏まえ、国会は日米協定を審議し、12月に承認。同省は審議で「国内対策の効果で国内生産量が維持される」と答弁してきた。
国内対策を盛り込んだ予算案を閣議決定したことを踏まえ、試算を確定させた。
農林水産品で最大1100億円、米国抜きの環太平洋連携協定(TPP11)の影響を合わせると同2000億円とする生産減少は、最終版でも変更はない。
補正予算案では、日米協定などの対策に3250億円を計上。和牛生産の倍増に向けた「増頭奨励金」などを盛り込んでいる。
自給率はカロリーベースの37%、生産額ベースの66%がそれぞれ維持されると見通し、水田や畑作の作付面積や多面的機能も失われないとした。
国会審議で野党は、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)など、他の協定の影響も含めた試算の提出を要求していた。同省は、こうした新たな試算を「予定していない」(政策課)としている。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2019年12月24日
経済の新着記事
養豚で働く実習生へ 防疫の重要性 母国語冊子で訴え まずベトナム語 「分かりやすく」事業協同組合
日本養豚事業協同組合は、養豚場で作業する外国人実習生に家畜防疫の意識を定着させるため、作業内容や目的をイラスト入りで対訳した冊子を作った。実習生が多いベトナム語版を発行し、中国語版、ミャンマー語版を作成中。養豚場だけでなく、アフリカ豚コレラ(ASF)などの侵入を防ぐため海外から肉を持ち込んではいけないことや、罰則があることなどの注意も盛り込んだ。研修や日々の作業に役立ててもらう。
冊子では防疫作業の他、肥育豚舎や繁殖豚舎など生育ステージごとの管理方法、日常での注意点など24項目について、イラスト付きで解説。外国語に対応する日本語も、併せて掲載した。
豚舎の入り口ごとに長靴を履き換えることや、消毒はふんや食べ残した餌などを除いてから行うこと、豚の異常はすぐに報告することなどを列記。故郷の友人と食事をする際などには日本で販売している豚肉を使い、「故郷から肉や肉製品を持参、郵送しないで」と呼び掛ける。
A4判、10ページで、フルカラー。農場で日常的に使ってもらうことを目的に、汚れが拭き取りやすい紙を採用した。巻末には主に使う用語を振り仮名付きの日本語とベトナム語、英語、中国語で並べて紹介する。
同組合の松村昌雄理事長は「分かりやすさを重視して、必要なひと通りの作業を網羅した。農場の衛生レベル向上へ活用してほしい」と話す。
同組合の会員以外にも、1部330円(送料別)で提供する。問い合わせは同組合、(電)03(6262)8990。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2019年12月23日
米アイス ハラール対応済み ドバイへ JA常陸が初輸出 茨城
茨城県のJA常陸は、地元産の米を原料に作った「米醗酵アイス」をアラブ首長国連邦(UAE)のドバイへ輸出した。JA全農いばらきによると、東京港で船積みし12月上旬にドバイに到着。日本食品を扱う現地スーパーで近く売り出す。同国への食品輸出はJAグループ茨城で初。
JA常陸直販課と全農いばらき輸出推進室は、都内で4月に開かれた「プレミアム・フードショー」に参加し、米醗酵アイスを出品。ドバイのバイヤーが高い関心を示した。JA側が「常陸太田市産の米(コシヒカリ)と豆乳で作った動物性脂肪分ゼロの、オンリーワンのアイス」とアピールし、10月に輸出が正式に決まった。
米醗酵アイスは「コシヒカリ」を発酵させたピューレを使い、牛乳や卵の代わりに豆乳を使用している。内容量1個80ミリリットルで、バニラ味、小豆味、古代米味、栗味の4種がある。ドバイ向けに船積みしたのは5ケース(1ケース80個)。ムスリムの食事戒律「ハラール」の認証は数年前に取得している。
ドバイは中東屈指の国際都市で観光業も盛ん。JA常陸と全農いばらきは、「米醗酵アイスが現地で受け入れられ、輸出が増えることを期待している」としている。
JA常陸は11月にも「ゆずこんにゃくゼリー」のフランスへの輸出を実現している。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2019年12月22日
開けて驚き 奈良産イチゴ 1粒1・4万円
奈良県のイチゴ農家でつくる「奈良いちごラボ」の、金の玉手箱をイメージしたパッケージ入りのイチゴの初せりが16日、大阪市中央卸売市場本場であり、1セット(3品種×各36粒)に150万円(税別)の値が付いた。1粒当たり約1万4000円。同市場の大阪中央青果が扱い、仲卸の山岩が競り落とした。香港の百貨店に納品される見込み。
1セットは3段重ねで、「古都華」「パールホワイト」「淡雪」の3品種の大粒のイチゴが、各36粒、計108粒が入る。
同ラボは、2017年に日本包装技術協会主催の「日本パッケージングコンテスト」で食品包装部門賞などを受賞。海外の富裕層向けや贈答用として高級感を演出したパッケージを取り入れ、人気だ。
同ラボ代表の杉崎保巳さん(49)は「収穫した100~200キロから5キロほどしか採れないような、厳選した品質のいいものだけを入れている」とアピールする。
今回は1セットだけを取引した。今後は3、4月まで百貨店や専門店などから注文があった場合に出荷する予定。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2019年12月17日
WAGYU欧州で急増 日本産の遺伝資源 流通網の追跡を 畜産技術協会調べ
和牛の遺伝子を持ち、海外で飼養された肉用牛「WAGYU」の生産が欧州で急速に増えていることが、畜産技術協会の調査で分かった。米国やオーストラリアから和牛受精卵や精液が欧州に導入され、欧州産まれの和牛の純粋種や交雑種(F1)が、国境を越えて欧州内や中東に輸出されている。輸出を狙う日本産和牛肉との競合が懸念される一方、世界的な視点で和牛遺伝資源の把握が重要と同協会はみる。
和牛の遺伝資源が、国境を越えて頻繁に往来している実態が浮き彫りになった。1976年に米国へ流出したのを契機に、米国やオーストラリアを起点に各国で急速に生産が増えてきた。
ドイツでは2014年に94頭だった繁殖雌牛が17年に282頭と3倍に拡大。英国、スペインでは、2000年代前半に米国やオーストラリアから遺伝資源が導入され、2000年代後半に動きが本格化した。オランダやニュージーランドからも精液や受精卵が輸入され、受精卵移植(ET)を利用し、急速に増えている。受精卵は1個6、7万円ほど。精液はストロー1本が1450~2900円という聞き取り調査の結果も報告する。
購入した受精卵や精液を基に牛群を造り、14頭もの優良種雄牛をそろえた牧場もある。生産したフルブラッド(純粋種)の雄牛をアラブ首長国連邦(UAE)に売る予定があるという話や、ルーマニアやポルトガルに販売したとの聞き取り調査結果も紹介する。
純粋種、F1の取り組みは多様。出荷月齢は、14カ月齢の子牛で出荷する経営体がある一方、2歳を過ぎてから1年間の肥育期間を設ける経営体もあった。
英国の生産者は、系列レストランや直売所でWAGYU肉を販売し、香港への輸出経験もあった。ロンドン市内では、スペイン産や南米産のWAGYU肉が販売されている。和牛の遺伝資源も牛肉も国を越えて動いている。調査報告では生産・改良・流通を世界規模で「把握することが重要」としている。
調査は「Wagyu肉生産・流通等実態調査事業」。日本中央競馬会の助成を受けて昨年から始まり、英国やスペイン、ドイツで現地調査した。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2019年12月15日
傷あっても味は抜群 イオン300店応援セール
イオンリテールは13日から、全国の「イオン」「イオンリテール」約300店舗で、今秋の台風で被災した地域の農産物を販売する応援セールを始めた。15日までの3日間、台風被害のあった長野産、岩手産リンゴを中心に、各地の特産品を販売する。「傷など外観はわけありでも、味は抜群」とPRし、消費拡大につなげる。
消費者が買って応援できる「がんばろう 生産地応援セール」と題し、被災地などの農産物を販売。イオン新浦安店(千葉県浦安市)では、傷などがある各地の「理由(わけ)ありリンゴ」が並んだ。
長野産サンふじ1袋(1・2キロ)537円、「ぐんま名月」同645円、岩手産サンふじ(4個入り)429円で販売している。千葉産のレモンやキャベツなども扱う。リンゴを試食した60代女性は「傷はあるが、実際に食べてみるとおいしかった」と購入していた。
リンゴ産地のJA全農長野生産販売部の長谷川孝治専任部長は「傷みがあり市場では売れない商品を提供できる。生産者にとってありがたい」と話す。イベントを主催するイオンリテール農産商品部の石井友和統括マネジャーは「生産地応援として、多くの農産物を販売していきたい」と意気込む。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2019年12月14日
花の水揚げ正確に 絵文字17種配送ラベルに印字 オークネット・アグリビジネスが開発
インターネットによる花き取引事業を展開するオークネット・アグリビジネスは、切り花の特性に適した水揚げ方法を示すピクトグラム(絵文字)を開発した。同社によると、花き業界では初の試み。商品の配送ラベルに印字し、ひと目で理解できるようにする。知識や経験を問わず、小売店の従業員が誰でも正しい水揚げができるようにし、消費者への長持ちする花の提供につなげる。
切り花に水を吸わせる水揚げは、品質維持に欠かせない工程。水や湯を使う、茎を割る・たたく・焼くなど、さまざまな方法がある。品目や品種、スプレイ咲きかスタンダード咲きかなど、商品ごとに方法も異なる。
同社は、衣服の洗濯表示マークに着想を得て、絵文字開発に着手。尾崎進社長は「正しい方法を分かりやすく伝えれば、誤った方法による商品ロスや、店員の教育負担も減る」と、ニーズを語る。
ひと目で方法を連想できる絵文字を、17種類作った。同社が扱う約140商品を対象とし、商品配送ラベルに印字する。同じく印字した2次元コード(QRコード)を読み取れば、湯揚げにかける時間、水揚げ後の水管理など、より詳しい情報を得られる。
千葉県の生花店「U・BIG花倶楽部(くらぶ)」は、絵文字を参考にブバルディアで水揚げを実験。従来は空切りしていたが、茎を焼いた上で湯に漬ける方法に変えた。「水の含み具合に差が出たためか、葉に張りが出た」と効果を実感する。
開発に当たり、札幌市で生花店「フルーロン花佳」を経営し、各地で品質管理の講習を開く薄木建友氏が監修を務めた。薄木氏は「農家も小売り側の水揚げの仕方が分かれば、出荷時の管理の参考になる」と、産地にも有益な情報となることを期待する。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2019年12月13日
無洗米「SAKURA RICE」世界に 業務向けで高評価 全農子会社
農畜産物を輸出するJA全農の子会社、JA全農インターナショナルは、業務需要に開発したブレンドの無洗米「SAKURA RICE」(サクラライス)の輸出に乗り出した。世界で日本食の注目が高まる中、業務用を開拓、輸出拡大を狙う。日本産や無洗米による調理作業の効率化が売り。日本食店が多くあるシンガポールで今年から、複数のチェーン店が同ブランドの扱いを始め、手応えを得ている。
これまで同社の輸出米は家庭用主体だったが、業務需要に応えるブランドとして「サクラライス」を企画した。同社によると①国産のブランド価値②品質③無洗米による作業性の効率化──を売りに営業している。品質が一定化し、多くの用途に使えるようにブレンド米とした。東南アジア数カ国で販売している。
シンガポールの海鮮丼チェーン店「哲平食堂」では、現地法人の全農インターナショナルアジアの提案を受け、全7店舗で10月からサクラライスを使う。量は毎月約1トン。山下哲平オーナーシェフは「粒がしっかりして時間がたっても冷えてもおいしい」と強調する。山下シェフが展開するうなぎの専門店など、他店舗でも今後使っていく予定だ。
哲平食堂のフランチャイズを手掛けるYCPダイニングシンガポールのショーン・タン代表は「在住日本人も当地の客も満足している。無洗米は店員の作業が楽で、現地で手に入れにくいので助かる」と評価する。
シンガポールでは哲平食堂の他、日本式の焼き肉レストラン「牛角」9店舗でも、サクラライスの使用が始まった。
全農インターナショナルは「米の輸出を増やすには業務需要を取り込むことが有効。全農のルートを生かし、青果など他品目とセットで販売拡大も期待できる」とサクラライスを起爆剤に、輸出拡大につなげる考えだ。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2019年12月12日
[活写] こんがりきつね色
北海道滝上町の農家6戸がつくる「滝上町七面鳥生産組合」で、クリスマス向けの薫製作りが最盛期を迎えている。
各農家が7カ月ほど育てた七面鳥の半身を、ハーブや塩などが入った調味液に約2週間漬けて、蒸した後に桜のチップで約3時間いぶす。作業場には、きつね色に仕上がった七面鳥が並ぶ。
同組合の農家は畑作や酪農が経営の中心で、約30年前に冬の仕事として七面鳥の薫製を作り始めた。今では町の名物になり、全国から注文が入る。今年は今月6日に作り始め、18日までに約1800個を仕上げる予定。
組合長の畑作農家、佐々木渉さん(54)は「脂がのっておいしく仕上がった。クリスマスに家族で楽しんで」と勧める。値段は1キロ3000円。(富永健太郎)
日本農業新聞の購読はこちら>>
2019年12月12日
新米販売が苦戦 10月支出額前年割れ 消費増税影響か
新米の販売が苦戦している。消費動向が分かる総務省の10月の家計調査で、米の1世帯当たりの支出額が3年ぶりに前年を下回った。米離れに加えて、消費税増税による節約志向が影響したためとみられる。現状の小売価格は前年並みだが、米卸やスーパーは売れ行きの動向を見極めながら、価格の居所を探っている。
小売 動向探る
10月の家計調査では1世帯(2人以上)当たりの米の支出額は2944円と、前年同月を3・9%(実質)下回った。米の支出が年間で最も多くなる時期に販売が鈍化した。
消費税増税前の駆け込み需要の反動によって、消費支出全体が同5・1%減と11カ月ぶりに前年割れする中、軽減税率が適用される米でも減少が見られ、増税による節約志向が影響したもようだ。
米穀機構の11月調査でも、前年と比べた現状の販売数量の指数は、小売りや中食・外食業者が42で基準点の50を下回った。「減った」と回答する業者が多かった。
現在、スーパーなどの小売価格は前年からほぼ横ばいの展開となっている。全国のスーパー約1000店の販売データに基づく農水省公表の精米5キロの小売平均価格(10月)は、前年同月比0・5%安の2031円。秋田「あきたこまち」は1・8%安の1987円、新潟・一般「コシヒカリ」は1・4%高の2202円など小幅な上げ下げはあるが、前年並みの水準が中心だ。
米卸やスーパーの対応はまちまちだ。「購入数が増えにくいので、単価を上げて売り上げ増を目指す」(東京都内の中堅スーパー)との声がある一方「これ以上の価格上昇は消費を低迷させる」と特売で集客を狙う動きがある。「安くしても、大幅には販売が伸びない」(大手卸)との見方もある。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2019年12月11日
機能性食品 有機JAS… 日本規格を世界へ新たに推進プラン GFVC官民協
農水省やJA全農、食品関連企業で構成するグローバル・フードバリューチェーン(GFVC)推進官民協議会は、食品産業の海外展開を加速させる新たな推進プランを策定した。2020年度から5年間の計画で、機能性食品や有機JASなど日本独自の食品認証の仕組みを海外に普及させることが柱。日本の食品企業が現地で販売しやすくし、日本産の食品や農林水産物の輸出拡大につなげる。
14~19年度の推進プランでは、海外市場の調査などを盛り込んでいた。今回の新プランでは、9の国・地域別に実践する具体的な取り組みを示した。協議会に参画する企業の海外進出数を現状の1・6倍(200社)に拡大する目標も掲げた。
新プランによると、企業進出数が多いタイやフィリピンなどでは、現地で高まる消費者の健康志向への対応を強める。現地に進出した日本企業が、日本と同基準の機能性食品を流通しやすくするため、輸出先国へ、日本に準ずる基準の整備などを働き掛ける。ベトナムなどでは、農業生産工程管理(GAP)や有機JASなど日本型の規格や制度を普及して、日本食品の高付加価値化を進める。
オーストラリアでは、日本と季節が逆転する地理的条件を生かし、日本で栽培されているアスパラガスやメロンなど青果物の生産を拡大。アジア圏など第三国への農産物の通年供給を推進する。
このほか、①複数企業が連携した海外進出計画の策定②日本食材の現地での加工や料理として提供③スマート農業技術の海外展開──で取り組みを支援する。
同省は「日本企業の海外進出支援は、農産物自体の輸出拡大にとって重要」(国際部)と説明。同省では来年4月、政府の農林水産物輸出の司令塔組織となる輸出部が設置されるなど、農産物輸出拡大に向けた動きが加速化している。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2019年12月11日