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掲載希望スクール様はこちらケア資格ナビ> 心理カウンセラーガイド> カウンセラーとして独立開業するなら確認しておきたいこと
雇用問題や晩婚化、新たなコミュニケーションツールの登場など……社会を取り巻くさまざまな変化によって、人々の悩みは尽きることがありません。それと同時に、長時間労働や低賃金の問題を受けて、「時間に縛られず仕事がしたい!」「成果に見合った報酬を得たい!」といった声が上がり、資格を取得して独立開業を志す人が増えました。
心理カウンセラーもまた、独立開業の可能性を秘めている職業のひとつです。開業資金が安く抑えられる点や、手続きが簡単である点などから、比較的独立しやすい分野として人気を集めています。
今回はカウンセラーとして独立するにあたり、気になる情報や確認事項などをまとめてみました。
カウンセラーとして独立開業する方法をご紹介する前に、雇用カウンセラーと独立カウンセラーで何が変わってくるのかを比較してみたいと思います。
雇用カウンセラーの場合
雇用カウンセラーの場合は学校や一般企業など、さまざまな職場の専属カウンセラーとして働きます。勤務形態は正社員・契約社員・パートタイマーなどがあります。
学校や一般企業が雇っているという信頼がある分、収入は安定しますが、勤務先によっては一日数時間の勤務であったり、休日に出勤する場合もあります。
独立カウンセラーの場合
個人で開業する場合は、勤務条件を自由に決められるので、売上向上に向けて積極的に活動することも、副業としてのんびり働くこともできます。しかしカウンセリングの仕事だけでなく、営業や宣伝なども自分で行わなければならないため、巧みなマーケティングセンスが求められます。また、新規顧客・リピーター獲得のためにさまざまなサービスを工夫し続けていく必要があります。
雇用カウンセラーの場合
学校や企業などのカウンセリングルームに一定時間待機し、受付やカウンセリングを行います。
スクールカウンセラーであれば児童・生徒の臨床心理、産業カウンセラーであればビジネスに関する周辺知識などが必要です。
就業先の業種によって主な相談の内容が異なるので、求められるスキルも変わります。
独立カウンセラーの場合
ホームページや広告を見たクライアントから直接、個人のメールアドレスや事務所の電話などを通じて相談依頼を受け付けます。その後、クライアントの要望に応じて直接面談または電話、メールなどでの相談に応じていきます。
不特定な人からの相談のため、相談内容が多岐に渡ります。ホームページには自分の得意とする相談内容を明記しておく人もいます。
実績を積めば依頼を受けて講演したり、カウンセリングスクールを開業し、これまでのノウハウをレクチャーできることもあります。
雇用カウンセラーの場合
給与は勤務場所などによって異なりますが、正社員でだいたい年収400万円前後~、パートの時給は保持している資格によっても変わってきます。クリニックなどでは給与の他にインセンティブ制度を導入している所もあるので、スキルや経験は重要です。
雇用カウンセラーとして多く募集のある資格の平均年収は以下の通りです。
- 臨床心理士:340万円
- 精神保健福祉士:350~400万円
- 産業カウンセラー:435万円
参考:平均年収.jp
独立カウンセラーの場合
独立カウンセラーの料金形態はカウンセリングルームによって異なりますが、だいたい1回の料金を30分・1時間・90分などと区切って料金設定をしています。1回ごとの料金は、クライアントに対するカウンセリングの方法によって異なります。
カウンセリングの方法
・カウンセリングルームで直接相談
・カフェなどで直接相談
・自宅に訪問して直接相談
・メールやラインで相談
・電話で相談
直接会って相談に応じる対面カウンセリングの場合、カウンセリング1回(1時間)あたりの平均相場は8,000円前後~。毎日、コンスタントに予約が入るようになると安定した収入が得られるようになります。また、企業が運営する相談室のサイトにカウンセラーとして登録しておくという方法もあります。
カウンセリング1回8,000円、年間休日120日で計算した場合
1日あたりの相談件数 | |||
---|---|---|---|
1件 | 2件 | 3件 | |
年収の目安 | 196万円 | 392万円 | 588万円 |
その他、電話相談なら1分150円前後~、メール相談なら1往復1,000円前後~の収入が得られます。最近は対面によるカウンセリングを苦手とする人も多いので、面談の予約が入っていないときはこうした「顔の見えない」カウンセリングスタイルを活用することも大切です。
独立カウンセラーは定期的な収入は決まっていないものの、自分のペースで仕事に就くことができます。件数をこなした分だけ、収入は上がるのでやりがいにもつながります。
ここからは独立カウンセラーとして成功するために最低限何が必要なのか、順を追って見ていくことにします。
1.心理カウンセラーの資格を取得する
初めは商売道具となるカウンセリングスキルを身につけます。質の高いカウンセリングを行うためにも、実践的なスキルが習得できる資格選びが重要になります。
また雇用カウンセラーと違い、独立カウンセラーには学校や一般企業などの後ろ盾がないため、個人の信頼性が何よりも重要になります。カウンセラー自身が資格を持っているということは、そのままお客様への安心感につながります。
もし資格選びに迷ったら、ケア資格ナビで資料請求すると心理カウンセラーの資格の資料が無料で届きます。自分に合った資格を検討するのに最適です。
2.実際にカウンセラーとしての経験を積んでみる
どんなにスクールで知識を身につけても、実際のカウンセリングを通して実力を発揮できなければ意味がありません。まずはお試し価格や無料で、カウンセリング経験を積んでみましょう。
このとき、低価格でカウンセリングをする代わりに感想をもらい、ホームページに掲載できれば集客につながる可能性もあります。経験を通して得た信頼や、ノウハウは開業後の滑り出しを助けてくれることでしょう。
3.広告を開始し、集客を行う
カウンセリング活動と並行して行いたいことが、独立に向けた営業活動です。まず必要なことは自分のホームページを立ち上げること。SNSやブログサイトなどを活用したり、宣伝として地域の情報誌や広告を入れることも良いでしょう。
ホームページや広告には自分がクライアントとコンタクトをとりたい方法(応募フォームやメール・電話番号)などを掲載しておきます。トラブル防止のため個人情報、利用規約、特定商取引法に基づく表記なども掲載しておきます。
ホームページが完成したら、少しでもあなた自身に興味を持ってくれる人、いわばあなた自身の「ファン」を作るべく、さまざまな話題を取り上げて更新していくことも必要です。
独立カウンセラーとして経営を成功させるには、ファン作りは非常に重要です。なぜならばあなたに興味を持ち、ブログのファンになってくれた人の中から、あなたと話してみたい人、つまりカウンセリングルームの顧客が誕生するからです。ネットや広告にあなたの考え方や手法などを記すことで、顧客への説得力をアップすることができます。
4.必要経費・物品の確認
自宅を事務所として構える場合、電話、パソコン、プリンターなどといったOS機器に加え、名刺などのツールさえあれば開業は可能です。相談しやすい雰囲気作りが大切なので、居心地のよさを演出するインテリアや気配りとして飲み物を用意しておくことも良いでしょう。
よって開業資金はすでにOS機器を持っている人なら、それほどかかりません。開業後すぐに固定収入を得ることは難しいので、それなりの備えが必要になります。また広告に力を入れたい人、業者にホームページの作成を依頼したい人などは、広告費としての資金を見積もっておきましょう。
場所の確保について
個人で開業する場合、最初から事務所を借りて営業を始めると、収入が安定していないため赤字になってしまう危険性があります。まずは以下のような方法をおすすめします。
・自宅をカウンセリングルームにする
・予約時だけレンタルスペースを借りる
5.開業届を出す
開業手続きはいたってシンプル。税務署に行って開業届を提出します。氏名や納税地をはじめ、事業の概要などを記入することになりますので、事前に情報を控えておきましょう。
特に、カウンセリングルームの名称を決める項目(屋号)では、「○○クリニック」などの文言を使うことが禁じられていますので、法律に違反しない覚えやすい名前を、前もって考えておく必要があります。
また、開業後しばらくは営業が軌道に乗らず、赤字を出してしまう可能性があります。この事態に備えて青色申告を行っておけば、赤字額を3年まで繰り越すことができます。この場合、専用の手続きを行い、使用した領収書を取っておく必要があります。
最初は専従の仕事の傍ら副業として始める人が多く、この場合所得(収入から経費を差し引いた額)が20万円を超えた時点で確定申告が必要になります。フリーランスの場合は、所得が38万円を超えると確定申告が必要です。
いかがでしたか?
クライアントに「話していて心地よかった」「またあの人に会って元気をもらいたい!」と思ってもらえるということは、あなたの存在が誰かの支えになっているということ。あなたを必要とする人の力になれたとき、カウンセラーというやりがいに満ちた仕事に就けたと実感できるはずです。
大切なことは開業手続きだけではなく、開業した後に備えてどれだけ準備しておくか、その一言に尽きます。メリットとデメリットをじっくりと考えた上で、あなたも世界にひとつだけのカウンセリングルームを開いてみませんか。