ソフトバンクの千賀滉大投手(26)が23日、ヤフオクD内の球団事務所で契約更改交渉し、1億4000万円増の年俸3億円プラス出来高払いでサインした。育成ドラフト出身者では、元巨人・山口鉄也の3億2000万円に続き、2人目の大台。年俸270万円だった育成時代の2011年から10年目で約111倍になった。
エースとして1年間、チームを引っ張ったことが年俸に反映された。年俸270万円だったルーキーイヤーの100倍を超える3億円で契約を更改。千賀は「責任感を持って過ごさないといけない」と自覚をにじませた。
「昨年の13勝と、今年の13勝は違う」。9月6日のロッテ戦(ヤフオクD)でノーヒットノーランを達成。故障で離脱することなく26試合に登板。4年連続2ケタ勝利の13勝(8敗)で、防御率2・79。ともにキャリアハイの180回1/3を投げ、227三振で、初の最多奪三振のタイトルも獲得した。
育成ドラフト出身では元巨人・山口に次ぐ2人目の3億円到達。球団では18年の柳田以来、11人目だが、27歳シーズンでは最年少だ。「リーダーとしての自覚。高く評価した」と三笠GMも成長に目を細めた。
“第2の千賀”を目指す後輩のため、球団に提案もした。宮崎キャンプではA、B組(1、2軍)が同じ生目の杜運動公園内で練習するが、交流する時間がほとんどないという。「A組の選手と会話するだけでも意識が変わる」。自身も若手時代、右肩痛のリハビリに励む斉藤和巳氏と接することで成長につながった。交渉では3年連続で、ポスティング制度を利用しての米大リーグ移籍の希望を伝えた。今後も継続して球団に訴える。
「日の丸を背負いたい気持ちはある。20年はいいスタートを切りたい」。東京五輪のエース候補が、金メダル、チームの3年ぶりのリーグVへ、フル稼働する。(戸田 和彦)