今週のお題「クリスマス」
クリスマスシリーズ。前回の漫画の続きです。
前回の話: アメリカではクリスマスは恋人たちの日ではなく、必ず家族で過ごす日で、日本の正月に似ていると聞き、僕はカルチャーショックを受けました。
もしアメリカのクリスマスが日本のお正月みたいなものであれば、アメリカ人は一月一日の元旦はどうやって過ごすのだろう?疑問に思った僕は、歩きながらベンに聞きました。
すると、「むしろニューイヤーの方が恋人向きのイベントだよ!」と、これまた予想外の答えが返ってきました。
「大晦日には必ずバーに繰り出してさ、オールナイトするんだよ。あちこちでカウントダウンと花火をやるから、一緒にそれを見たりしてさ。年が変わる瞬間にキスしたり」
ふーん、とは思いつつ、僕は先ほどクリスマスのイメージをぶち壊された衝撃から立ち直れずにいました。
僕は正直言うと、日本の正月が大っ嫌いなのです。祖父母の家に親戚中が集まり、おばさんたちは自慢話や悪口をペチャクチャ、おじさんたちは互いに説教し合いながら酒ばかり飲む。仲の悪い従兄弟たちには、昔はお年玉の金を巻き上げられて、大人になってからは単に無視し合うだけで。それもこれも、僕がなよなよした、ちゃんとした男ですらないような息子だからで、おかげで母は毎年、本当に恥ずかしい思いをしてきたわけで。
「僕は正月は嫌いだよ。噂好きの親戚に囲まれてさ、やることもないから酒ばかり飲んで。僕みたいな出来損ないの息子連れて、母さんも恥ずかしいだろうしさ」
「君は出来損ないなんかじゃないよ!君、どうしてそう自己評価が低いの?」
僕がこぼした愚痴に、ベンが怒ったような呆れたような声を出したので、僕は慌てて話をクリスマスに戻しました。
「…クリスマスが家族で過ごす日だってんならさあ、君はなんで今ここにいるの?アメリカに帰らなくてよかったの?」
「んー…」ベンは生返事をしてから、ふいに立ち止まってこう言いました。
「じゃあさ。今すぐ、君が俺の家族になってよ」
続きます