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生命保険は「掛け捨て型」がベスト?終身保険に加入するメリットはないのか?


この記事は約10分で読めます。

仕事がら生命保険の見直しなどのご相談を頂くことが多いのですが、一般の方には生命保険のメリットが十分伝わっていないと感じることが多々あります。

 

今回はあるブログ記事を参考に使わせて頂いて、生命保険のメリットについて解説します。

 

生命保険は「掛け捨て型」がいいという考え方もあるのですが、生命保険のメリットを知って頂ければ、「貯蓄型(積立型)」の終身保険への加入もアリだと考えてもらえると思います。

 

生命保険の見直しの際に参考にして頂ければと思います。

 

 

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1.終身保険は不要?保険は「掛け捨て型」がベスト?

今回、題材にさせて頂くのが、下記記事です。

 

www.churio807.com

 

ちゅり男先生は、いつも内容の濃い記事を書かれていて、FPの私が読んでも非常に参考になる内容のブログです。

 

さて、上記記事の中で、ちゅり男先生は下記のような質問に回答されています。

ちゅり男先生、いつも楽しく読ませていただいております。

 

さて、早速ですが相談があります。

 

私は20歳の時から生命保険に加入しており現在も支払いを続けていますが、この保険を解約すべきかを悩んでおります。

 

生命保険の内容です。

 

死亡時受取金 \5,000,000

支払い総額 \3,026,400

掛け金 \6,305/月

支払い期間 40年(60歳満期)

返戻率 165%

 

現在38歳のため18年間支払いを続けています。

 

返戻率がとても高いのでこのまま継続するか、 解約して投資の資金のどちらにしようかと思っております。

 

今解約すると解約返戻金は\1,186,150ですので、支払い総額より\175,730のマイナスになります。

 

解約しようと思った理由ですが、確かに返戻率は高いものの500万円が入るとしても死亡した時。

 

60歳以降まで生きることを想定するなら、投資の資金としてまわしても良いのかと考えました。

 

ちゅり男先生ならば、どうなさるでしょうか?

 

ご意見をお聞かせくだされば幸いです。

  

ちゅり男先生は、「保険は最小限がベスト」と回答されています。

記事に書かれているような終身タイプの生命保険には加入せず、掛け捨て型の定期保険に加入して定期的に保障額を見直すという考え方は非常に合理的です。

 

また、定額の生命保険では、インフレに対応できないという問題も指摘されています。

物価が変動すれば、今の500万円の価値と、保険金を受け取るときの500万円の価値が異なる可能性があります。

例えば、インフレで物価が2倍になっていれば、500万円の保険金も実質250万円の価値しかないことになってしまいます。

 

定額の生命保険がインフレに弱いという点は、見逃されがちなデメリットの1つです。

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2.終身保険のメリットとは?

ちゅり男先生の考え方は、非常に合理的な考え方だと思います。

しかし、生命保険は遺族保障ばかりに注目が集まっていますが、遺族保障という観点以外にも相続発生時に役立つという特徴があります。その点について補足させて頂きたいと思います。

 

人はいつ亡くなるか分かりませんので、下記のメリットを知って頂ければ、高齢になってからも一生涯保障が続く終身保険に加入し続ける意義を理解して頂けると思います。

 

生命保険は現金化が速い

生命保険で見逃されているメリットの1つに素早く現金化できるというポイントがあります。これは生命保険の最も大きなメリットだと私は考えています。

 

例えば、配偶者と子供がいる男性が亡くなった場合、法定相続人は妻と子供となります。遺された妻や子供が現金が必要なため、夫の銀行預金を解約しようと思えば、遺言か遺産分割協議書が必要となります。

 

遺言がなければ、現金を引き出すのに非常に時間がかかる可能性があります。

 

一方、生命保険の死亡保険金は、受取人が請求すれば、5営業日程度で支払われます。死亡保険金の請求に遺言や遺産分割協議書は必要ありません

保険金請求書や死亡診断書などの必要書類がそろえば、請求日の当日や翌日に死亡保険金を支払うという保険会社もありますので、非常にスピディーにまとまった金額の現金を受け取ることが可能です。

 

多くの生命保険会社では、約款で下記のように定められていて、支払期限後に保険金を支払う場合には、遅延利息を支払う必要があります。

死亡保険金などのご請求があった場合、当社は請求書類が当社に到着した日の翌日から起算して5営業日以内(または、5日以内)にお支払いします。

(出典:住友生命

 

更に生命保険の死亡保険金には、「500万円×法定相続人の数」という相続税の非課税枠がありますので、非課税枠内の現金は確実に保険金受取人が受け取れます。

 

生命保険には遺言と同様の効果がある

生命保険の死亡保険金は、民法上、相続財産ではなく、受取人固有の財産とされています。つまり、保険金受取人は、受け取った保険金を他の相続人に分ける必要がありません。

 

よって、契約者が受取人を指定することにより、その保険金は原則、受取人の財産となるわけです。特に財産を遺したい方がいれば、その方を保険金受取人に指定しておけば、保険金という形で財産を遺すことが可能です。

 

上記のように生命保険には、遺言と同様の効果がありますが、遺言作成のような手間や費用はかかりません

 

相続放棄しても生命保険の死亡保険金は受取可能

上記の通り、生命保険の死亡保険金は、民法上、相続財産ではなく、受取人固有の財産とされていまので、相続放棄をした場合でも死亡保険金は受け取ることが可能です。

例えば、亡くなった方に借金が多いなどの理由で、相続人が相続放棄を選択せざるを得ない場合でも死亡保険金は受け取れるというメリットがあります。

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お宝保険の可能性あり

生命保険のメリットとは少し話がそれますが、今回の質問に出ている終身保険は、契約した時期が18年前ということで、生命保険の予定利率もまだ高い時代の契約であると思われます。

予定利率が高い時期の生命保険は、「お宝保険」と呼ばれています。

 

例えば、現在の予定利率の終身保険に加入した場合のシミュレーションをしてみると、下記の通りになります。

 

死亡時受取金:5,000,000円

払込累計:4,301,850円

月額保険料:7,725円

払込期間:40年(60歳払済)

返戻率:116%

 

シミュレーション例のイメージ図は下図の通りとなります。

 

終身保険の解約返戻金シミュレーション図

(出典:オリックス生命

 

質問の契約例と比べると、下記の通りになります。

 

月額保険料:6,305円⇒7,725円(+1,420円

払込保険料累計:3,026,400円⇒4,301,850円(+1,275,450

返戻率:165%⇒116%(-49%

 

月額保険料の差は約1,500円程度ですが、総払込保険料では約130万円の差になります。また、保険料払込満了時の返戻率も約50%も違うことが分かります。

 

生命保険は解約すると、同じ内容で再加入することはできませんので、解約する際には慎重な検討が必要です。

 

 

3.資産運用のための生命保険加入はおすすめできない

生命保険には、上記のようなメリットがありますが、資産運用のための生命保険加入はおすすめできません。

 

ちゅり男先生も記事の締めくくりとして下記のように書かれています。

保険には万が一の時の保障という性質だけを求めるのが正解で、貯蓄や投資といった要素をからめないことが鉄則だと思います。

 

私も資産運用のための生命保険加入はおすすめしていません。

貯蓄型(積立型)の保険であっても保障料などの諸経費が差し引かれますので、支払った保険料全てが積み立てられているわけではありません。生命保険で資産運用をすると、保障料などの諸経費が余分な経費となってしまいます。

 

よって、資産運用が目的であれば、つみたてNISA個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)などを活用すべきです。

 

www.fpinv7.com

  

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 まとめ

質問の契約例で考えると、月に約6000円という保険料が家計に与えるインパクトが小さいのであれば、継続してもいいと私は考えます。

例えば、80歳の時に死後の整理資金や相続対策として500万円程度の終身保険があってもムダにはならないと思います。

 

相続税がかかる心配がないから生命保険は不要と考える方もいますが、相続税がかからなくても、人が亡くなると色々とお金がかかるものです。

その際に500万円という保険金がスピーディーに手に入れば、遺族も助かるはずです。

 

今回の質問例で考えると、終身保険500万円をベースとして、子供が小さい間は、「掛け捨て型」の定期保険で保障を上乗せし、掛け捨て部分は定期的に保障を見直すといいでしょう。

 

子供が成長した際には500万円の終身保険が残り、その500万円は死後の整理資金や相続対策として遺族に使ってもらうという考え方もアリだと思います。

最悪、老後資金が足りない場合には、解約して解約返戻金を受け取ることも可能です。

 

なお、今回の記事の考え方が絶対的に正解というわけではありません。最終的に判断するのは、契約者の方です。

契約者の方が、ご自身の家庭環境などを考慮して、生命保険契約の継続にメリットがあると感じれば、継続が正解ですし、メリットがないと感じるのであれば、解約もまた正解です。

 

メリットだけやデメリットだけという一側面からだけ考えるのではなく、メリット・デメリット両側面から検討することが重要です。