冷却装置は必須!?アクアリウム 夏場の高水温対策 クーラーの選び方

   

海水魚飼育.com

冷却装置は必須!?アクアリウム 夏場の高水温対策 クーラーの選び方

海水魚飼育.com>>冷却装置は必須!?アクアリウム 夏場の高水温対策 クーラーの選び方


猛暑温暖化の影響でしょうか、年々夏の暑さは異常さを増していくように感じます。私が子供の頃は真夏と言えば30℃前後と記憶しており、帽子を被り野山や河原を駆け回っていたものですが近年の猛暑では40℃前後にまで上がる日中の気温に日向に出るのさえ危機感を感じるほどになっています。

日本全国で50日以上の連続猛暑日を記録した地域が多数でた年も記憶に新しいところではないでしょうか。

そんな年々異常さをを増していく真夏に一日中クーラーをつけている部屋でもなければ水槽の水温を25℃以下に保つ事は不可能と言えるでしょう。

たとえクーラーの無い環境でギリギリの水温で飼育できていたとしてもこれ以上気温が上がると魚が死んでしまうかもエビ類は特に高水温に弱いし、などと心配しながら毎日の天気予報や温度計を気にして飼育をしているのは決して楽しいものではありません。

また水温が高いと有機物の腐敗や分解が促進され水質の低下が早まると言ったリスクも抱えています。さらには高水温による水槽内の溶存酸素量の低下に加え、生態の活性が高まる事による酸素消費量の増加など水槽管理におけるリスクはかなり高まるのです。

人気にあやかるクーラーの価格

水槽クーラー一昔前は水槽用クーラーと言えば主に90cm以上の水槽用がメインで価格も10万円を超えるようなものが多く、海水魚飼育を始めたばかりのビギナーの方には少々手の届かない高価な設備であったのではないでしょうか。

しかし昨今の小型水槽飼育の人気の高まりにより小型水槽用のクーラーが各社から販売されるようになりました。

さらにはメーカーの価格競争により水槽用クーラーはかなり手の届きやすい価格まで下がってきています。この価格で購入でき、もう猛暑日の心配をしなくて済むのなら海水魚飼育において水槽用クーラーは必須設備になったと言えるでしょう。

もちろん、小型の水槽用クーラーは大型の高価なものに比べるとキャパも限られていますので水量や設置場所などを考慮して余裕のある冷却能力のものを選ぶようにしましょう。

また水槽用クーラーだけに頼るのではなく周辺環境の改善にも気をつけることが必要となります。いくら水槽用クーラーを設置したからと言っても周辺温度が40℃近くまで上がってしまうようではクーラー本来の機能を発揮する事はできませんので、室外に日よけを設置したり、換気により風の循環をするなどして室内に熱がこもらないような対応をするといいかもしれません。

とあるメーカーの水槽用クーラー使用環境に対する注意書きが下記のようになっています。

周囲温度30℃を推奨使用環境としています。35℃の場合はクーラーの冷却効果は30%低下します。また36℃以上になると冷却能力が低下するため水を冷やしにくくなります。

失敗しない水槽用クーラーの選び方

水槽用クーラーは連続長時間稼働による故障を避ける為にメーカーによって稼働時間を管理してあるものもありますが生態の命を最優先させる為、万が一、長時間の運転が必要になった時でも、機械の制御をせずに設定温度まで稼働させるような設計の水槽用クーラーもあります。

そのような水槽用クーラーを使用した場合、クーラーの能力が合っていないと常にクーラーが稼働し続け故障の原因になりますので、適正な能力のクーラーを選定するようにしましょう。

水槽用クーラーの多くは適合水量で選定をしますがここで注意しなければならないのが水槽水量だけではなく、濾過層の水量や周辺設備の損失熱量も考慮しなくてはなりません。

損失熱量の考慮にはいろいろな計算の仕方がありますが水槽用クーラー製造メーカーの1社が推奨している計算式をご紹介いたします。

水槽や濾過層の水量はサイズで計算し、10cmを1リットルと計算します。

例 水槽幅120cm×高さ45cm×奥行き45cm=12×4.5×4.5=243リットル

濾過層幅60cm×高さ50cm×奥行き45cm=6×5×4.5=135リットル

合わせて378リットルになりさらに周辺設備の損失熱量を計算すると1w=1リットルで計算しますので照明300w+循環ポンプ30w+殺菌灯20w=350w

合計で728リットルとなりますのでこの容量をカバーできる1000リットルタイプなどを選ぶようにするといいでしょう。

ただ先にも記載しましたように水槽用クーラーは周辺環境に影響されやすく室温が35℃を超えるような環境下では能力が30%低下するとなっていますので1000リットルでは700リットルの能力に低下してしまう為、もうワンランク上の製品を検討したほうがいいことになります。


関連記事

  • インバーティブレートアクアリウムとは

    水槽に海水を満たしそれらを浄化する装置を設置します。装飾のためのサンゴをいれて、色鮮やかな熱帯性の海水魚を収>>続きを読む


  • ソフトコーラルとは

    ソフトコーラルを直訳すると柔らかいサンゴという意味になりますが骨格が柔らかいのではなく骨格を持たないサンゴと>>続きを読む


  • 海水魚飼育の水槽サイズと素材選び

    海水魚を飼うためにまず最初に必要な設備が水槽です。ひとくちに水槽といってもショップで見てみると意外と多くの種>>続きを読む


  • 海水魚の予算と手間は?

    海水魚の飼育にはどのくらいのお金がかかるのでしょうか?確かに小さな水槽に金魚を飼うのとは違い設備や消耗品に多>>続きを読む


  • 水槽の設置場所と塩害に注意

    水槽に水を張るとかなりの重量になることは水槽サイズと設置時の注意点のページでも記載しましたが海水魚水槽を設置>>続きを読む


  • 海水魚水槽のろ過について

    海水魚飼育ではなぜろ過が必要でどのような機材が必要かを簡単に説明いたします。淡水の魚、特に我々が野山で見かけ>>続きを読む


  • 海水魚飼育の生物ろ過について

    海水魚水槽内で水質を悪化させる原因となる餌の食べ残しや魚の活動によって生まれるフンや生物の死骸などを水槽内の>>続きを読む


  • 海水魚水槽の水温管理

    マリンアクアリウムにおいて水槽内の水温の安定は非常に大切な管理項目の一つになります。ヒーターの故障やセンサー>>続きを読む


  • 水槽の立ち上がりと茶コケの関係

    海水魚をはじめとした海中生物の活動によって発生するたんぱく質、それらによって生じるアミノ酸はさまざまなバクテ>>続きを読む


  • ライブロックの性質と見分け方

    ライブロックに付着してきたさまざまな生物は水槽の中の汚れを取り入れ分解すると同時に砂の中などに生活圏を広げて>>続きを読む


  • 最初の一匹は何をいれるか?

    海水魚水槽を立ち上げて最初の一匹にどのような生態をいれるか?基本的には自分の水槽なので何をいれようが勝手です>>続きを読む


  • 海水魚水槽とコケの関係

    海水魚水槽での飼育と切ってもきれない存在がコケです。手入れを怠ることによってコケが繁殖し、見る影もなくなった>>続きを読む


  • エビは海水魚水槽に効果的

    海水魚が優雅に泳ぐアクアリウムは美しく見ごたえがあるものですができることならサンゴをはじめとした無脊椎動物も>>続きを読む


  • よく読まれている記事

  • 症状から見る海水魚の病気 白い点・ただれ・ヒレがボロボロ・調子が悪い
  • 海水魚病気 海水魚の調子がなんだか悪く見た目にもおかしい点が見られるが対処方法がわからないなんてことがよくあるとおもいま>>続きを読む


  • 海水魚飼育のろ過システム ろ過装置の種類とそれぞれのデメリット
  • オーバーフロー水槽 海水魚飼育に限らず水槽内で生態を飼育するときには必ずろ過フィルターなどを設置し水質維持に努めなければなりませ>>続きを読む


  • 海水魚のウーディニウム病
  • ウーディニウム病に罹った海水魚 ウーディニウム病は原生動物鞭毛虫の一種ウーディニウム・オケラタムが海水魚の鰓などに寄生して起こる病気で飼育水>>続きを読む


  • 海水魚飼育に最適な海水とは? 海水の種類・作り方・濃度・海水販売紹介
  • 海水の中を泳ぐ熱帯魚 マリンアクアリウムにおいて使用される海水には大きく分けて人工海水と天然海水があり、人工海水とは販売メーカーが>>続きを読む


  • 海水魚のトリコディナ病
  • 海水魚病気 トリコディナ病とはクマノミ類などがかかりやすい病気でリムフォシスティス病やウーディニウム病よりも致死率が高く>>続きを読む


  • 海水魚の白点病対策と治療
  • 白点病に罹った海水魚 海水魚は淡水魚に比べ病気にかかってからでは治療が難しく、また治癒する確率も淡水魚に比べると非常に低くなります>>続きを読む