ポケモンクイズの動画の米欄がはるかえだったため書きました。
公式のはるかえてぇてぇ……。
私は人との距離が近いらしい。今日も晴翔くんに指摘された。
確かに人とくっつくとぽかぽかと暖かい気持ちになるし、落ち着く。
だから私は人とくっつくのが大好きだ。
私は人との距離が近いらしい。今日も晴翔くんに注意された。
別にいいじゃないかそれくらい。好きなんだもん。
きっと晴翔くんは孤独な王だから人のぬくもりを知らないのだ。
仕方ない、私が部長として直々に教えて進ぜよう。
……別に私がくっつきたいわけではないからね。
作戦1 ゲーム中の晴翔くんに近づく
晴翔くんがゲームをやっているときにそのまま横に座ってみよう。
「フハハハハハ、俺は今日も絶好調だ。王の前に立ちふさがる敵はなし!」
今日はスマブラを練習中みたい。私はアクション系のゲームが苦手なので晴翔くんは色んなゲームが出来て素直に憧れる。
「これで……、とどめだ!」
晴翔くん操るインクリングが華麗に相手をしとめて試合終了。流石ね!
私は出来るだけ自然に横に椅子に座った。
「部長、来ていたのですか」
「うん、今来たところ。少し見てていい?」
「かまいませんが、部長が隣にいると少し緊張しますね」
「いつももっと多くの人に見られてるじゃない」
「まあ……、そうですね。それじゃあ御覧頂きましょう、道明寺晴翔の華麗なショーを!」
スイッチをすぐさま入れ替えてゲーム画面に集中する晴翔くん。よし、ここまでは作戦通り。
一戦ごとに拳一個分ずつ体を近づけていく。もう少し、もう少し。
ついに肩が触れ合いそうな距離にやってきた。
「どうですか部長、俺のプレイは!」
「うわぁ!」
「うぉ!どうしてそんなに近いんですか」
「あははー、私も白熱しちゃって……」
もう少しだったのに気が付かれてしまった。
急に振り向くものだから晴翔くんと顔が近くて驚いた。
いや、あのまま続けてもくっついたらゲームをしている晴翔くんの邪魔になっちゃうし……。
うーん、どうすれば正解だったか。
「まったく、横を向いたら近くにいるからびっくりしましたよ」
「私もびっくりした」
多分意味は少し違うよね。
晴翔くんにまた距離をとられてしまった。
この作戦は失敗だったな。
作戦2 ホラーゲームで驚いた拍子にくっつく
私がやっているホラーゲーム実況、怖いけど晴翔くんが隣にいてくれるからどうにか頑張れている……。
次のやったとき、驚いた振りをしてそのまま晴翔くんの腕にしがみついちゃおう!
そうと決めたら早速実行しよう!ホラーゲームが楽しみなんて初めてだよ。
「部長が急にホラーゲームをやりたいなんて……、どんな風の吹き回しですか?」
「今日はたまたまそういう気分だったの!私も練習して克服しないとなーって」
「そこまでの覚悟とは。急いで、準備します」
晴翔くんは驚き半分、不信感半分といった感じで私を見てくる。
まあ、私がやりたいなんてそういう反応にもなるよね。私でもそう思う。
「準備できましたよ」
「ありがとう」
私がパソコンの前に座り、その横に晴翔くんが座る。
実はこの席が少し気に入っている。というのもここはいつも晴翔くんが編集するときに座っている席なのだ。
えへへー、私は今、晴翔くんの特等席に座っているのだ!
「じゃあ、はじめるよ」
「頑張ってください」
あーっ、私は自分の発言を後悔した。怖いものは怖い!
「きゃーーー!」
「どうしたんですか部長。あんなにやる気満々だったのに」
「無理無理無理無理!」
無理無理無理無理!余裕なんて一切ない。
ホラーゲームやりたいって言ったのいったいどこのどいつだ!
こうなったら現状から逃げるためにも早く作戦を実行に移そう!
「もう……、無理っ!」
怖い画面から逃げるように晴翔くんの腕に飛びつく。ついでに肩に顔をうずめる。
暖かい、圧倒的安心感が私に訪れる。私の心臓がいつもより早く脈を打っているのはホラーゲームのせい。
「部長、大丈夫ですか?」
「無理……」
いつもより優しい声で私を気遣ってくれる。今は私だけ聞けるこの声が好き。
「部長なら出来ます。俺も応援してますから!」
「えっ……」
私の束の間の平穏はなくなってしまうのか。
「俺は部長が苦手を克服すると聞いて感動しました!流石ゲーム部、部長です!」
「えぇ、まだ続けるの……?」
「もちろんです!俺も付き合いますから」
もう作戦終了したからゲームも終わりでいいのに。
でもでも、晴翔くんが一緒にいてくれるって言うし……。
「うぅ……、頑張ります」
結局その日は三回ほど腕にしがみついた。
怖かったけれど一応作戦は成功……なのかな?
作戦3 強行突破
ええい、策を弄しすぎて失敗している気がするから正面から抱きついてやる。
題して、コジロウとサボネア作戦!
そうと決まれば兵は拙速を尊ぶ。速いことはてぇてぇ!
すぐさま行動あるのみ。
元の目的などとうの昔に消え去った、私が晴翔くんにくっつきたいからくっつくのだ!
ガチャ、扉を開けて晴翔くんを捕捉する。
エイム良し、いざ、すてみタックルー!
「うわっ、なんですか急に!」
私よりもリーチの長い晴翔くんの腕が私のとっしんを止める。
「止めるなー!」
「いや、流石に止めますよ。部長の距離感は近すぎるって常日頃から言ってるでしょう」
作戦失敗!
作戦4 ???
「まったく、それよりも部長。編集を手伝ってもらいたいのですが」
「え、私に出来ることがあるの?」
「部長だからこそ出来ることです」
編集を手伝うなんて今までそんなことはなかった。
私だから出来ることってなんだろう?
「この前撮影したやつです。部長にポケモンの知識を教えてもらいたくて」
「ああ、あれね。任せて!」
「まあ、部長は自称ポケモンマスターですけど」
「私はクイズじゃなくて実力で魅せるタイプだから!」
うう、恥ずかしい。
編集は晴翔くん主体で順調に進んでいた。
ん?あれ?これってもしかして……。
今私は晴翔くんにくっついているのではないだろうか。
肩を寄せ合い、一つの画面を二人で見ているから当たり前だね。
これこそが私の求めていたものではないだろうか。
いつもと違って真剣な晴翔くんの顔がこんなに近くにある。かっこいいな。
晴翔くんとくっつくとぽかぽかと暖かい気持ちになるし、落ち着く。でも、少しだけドキドキする。
だから私は晴翔くんとくっつくのが大好きだ。
「部長、急に笑い出してどうしたんですか?」
「えへへ~、ちょっといいことがあったのだよ」
「いつも変な部長ですけど今日は一段と増して変ですね」
「失礼な!私のどこが変だというのか?」
「先ほどまでの奇行もそうですし、今もにやにやしていますし」
「ひっどーい!晴翔くんは乙女心を理解してないよね」
「生憎俺は涼と違って乙女ではないので」
「あ、いいつけちゃうんだから」
「やめてください」
本当に晴翔くんは乙女心を理解していない。
いや、理解されないほうがいいのかもしれない。
もう少しだけこのばれませんように。
この彼との距離感が好きだから。