最近はるここ動画が多いため書きました。
はるここ、いいですよね。
ラブレターをもらった。ファンレターではなく本当にラブレター。
差出人は違うクラスの男子だった、正直あまり話したことはない。
嬉しかったけど丁重にお断りさせていただいた。
「でもさー、もったいない気もしない?」
「いやー、最近色々忙しいし……」
打って変わって昼休み、私がラブレターをもらったという話題で持ちっきりだった。
女子というのはなんでこうも恋バナが好きなのだろうか、……私も嫌いではないけど。
自分が当事者の場合は話は別だ。気恥ずかしくて仕方がない。どうにかして話を変えなければ。
「アー、キョウハテンキガイイナー」
「ここあ、あんたってそういうところ不器用よね」
「うぅ……」
作戦は見事失敗。
女の子同士の会話は移ろいやすいから多分平気だろうけど。
「まあ、あんたには道明寺先輩がいるから目が肥えてるのかもね」
「え?」
「去年までうちの中学でもすごいもててたもんね、風見先輩とツートップだったじゃない」
「お兄ちゃんが?ないない、風見先輩ならわかるけどお兄ちゃんはもててないでしょ」
「……あんたそれ本当に言ってるの?」
「だってナルシストで過保護でイキり散らしててシスコンだよ」
「そうなの?クールで寡黙な人じゃなかったの?」
「うん」
「印象変わった、でもいいじゃない。過保護でシスコンってことは優しいんでしょ?」
「まあ、私には少し甘いかな」
本当のことを言うならば少しどころではない。お兄ちゃんには甘々に甘やかされている自信がある。
だけどそう言ってしまうのもなんなので言葉を濁す。
「かっこよくて自信家で優しいお兄ちゃんとか理想じゃない!」
「うーん、あまりわからないな」
「じゃあ、今日のあんたじゃないけど道明寺先輩がラブレターもらったって言ったらどうする」
「素直におめでとうって言うよ」
「本当かしら?」
「本当だよ」
多分本当、だけどお兄ちゃんのことだからまず初対面の人とはお付き合いしないだろう。
ある程度仲良くないと、クラスメイトぐらいでは付き合わない。
お兄ちゃんはあんな性格だから仲のいい異性の友達は少ないだろう。
となると候補は……。
「……夢咲先輩とみりあ先輩か!」
「どうしたの急に大きな声出して」
「いや、お兄ちゃんの彼女になるなら誰かなって」
「彼女になるのにここあの審査が必要なの?あんたも大概ブラコンじゃん」
「違う!」
「あー、はいはい。ごちそうさまでした」
「違うから!」
大きな誤解を残したまま鐘の音は無常にも昼休みの終わりを告げた。
本当に違うもん、あんな厨二臭いお兄ちゃんなんて好きじゃ……ないこともないけど、ブラコンではない!
そもそも、お兄ちゃんが彼女を作るなんて考えたこともなかった。
もやもやした気持ちは放課後になっても晴れなかった。
答えは出ないまま帰宅、リビングではお兄ちゃんがくつろいでいた。
「ここあ、おかえり」
「ただいま……」
「どうした、悩み事か?」
私の声が浮かないことを察したのかすぐさま心配してくれる。
こういうとき甘えてしまうからブラコンだと言われてしまうのだろうか。
しかし、お兄ちゃん相手に隠し事が出来ないのも事実だ。話題を逸らそう。
「今日ね、ラブレターもらったんだ」
「ファンレターではなく?」
「ラブレター」
「よし、金属バットとスコップを用意しないとな」
「なに言ってるのお兄ちゃん?!」
「なにって必要だろ?いや、スコップ一本あれば叩ける刺せる埋められるな。やっぱりスコップは万能だな」
「ちょっと待ってよ!」
「ここあに暗い顔させたんだ。そのくらいしてもらわないとな」
まさか、ラブレターくれた人となにかあったと思ってる?
そうだよね、文脈通りならそう思うよね。これは私が悪い。
それにしたって先走りすぎじゃないだろうか?
「その件は関係ないよ。断ったし」
「そ、そうなのか?」
「うん」
振り上げた拳の下ろす先が見つからずあたふたしている、少し面白い。
「お兄ちゃんって告白とかされたことはある?」
「まあ、あるぞ」
「へー、結構多い?」
「そんなでもないかな」
意外、前にみりあ先輩からお兄ちゃんには”一応”学校内にファンがいると聞いていたためよく告白されているのかと思った。
ただ私がファンレターをもらうようなファンとは違い、みりあ先輩曰くお兄ちゃんのファンはなんだか怖そうな雰囲気を孕んでるらしいからな。
もしかしたらそこが歯止めになっているのかもしれない。
お兄ちゃんならわかるかな?いや、多分目に付かないところでやられているだろうしそれを抜いても鈍感だし。
「いつも断ってるの?」
「ああ、俺も部活にゲームに忙しいしな」
「例えば、彼女が欲しいとか考えたことはないの?」
「うーん、あまり考えたことはないな。それにここあもいるしな」
「うわっ……」
シスコン、此処に極まれり。
私もどうやら女の子だったようだ。自分が当事者じゃない恋バナはやっぱり楽しい。
「あまり知らない人と付き合うなんて俺の柄じゃないしな」
「知ってる、お兄ちゃんはそうだよね」
ならばもう一歩踏み込んでみよう。
「じゃあさ、よく知ってる人だったらどうする?」
「と言うと?」
「夢咲先輩とみりあ先輩だったら付き合う?」
「なにを……、あの二人はそういうことしないだろ」
「そんなことわからないよー」
「いや、そんなこと……」
そう呟いて深く考え込んでしまった。脳内ではどんなシュミレーションが行われているやら。
うーん、私はどっちがいいかなー。
夢咲先輩がお兄ちゃんと付き合ったら……。
妹みたいに甘やかしてくれそう。私もお姉ちゃんみたいに慕って、二人でショッピングとかしたいな。
みりあ先輩がお兄ちゃんと付き合ったら……。
仲のいい友達感覚になりそう。メイクとか色々教えてもらいたいな。
って、あれ?なんで私中心の話になっているのだろうか。
違う違う、お兄ちゃんと付き合ったらって話だもんね。
今でも休日とかにゲーム部で活動することがあるけど、さらに加えてデートとかするだろうし、今以上に遊べなくなっちゃうかも。
それどころかどんどんお兄ちゃんと離れていきそう、それは嫌だな。
「……お兄ちゃん」
「……ん?ああ、ここあ、すまない。少し考え事をしていた」
「答えは出たの?」
「……いいや、出なかった。やっぱり今が忙しいからな」
「……そっか」
ちょっとほっとしたした自分がいた。
焚きつけておいてなんだが寂しいものは寂しいのだ。
「それにここあもいるしな」
「……バカ」
キザったらしく決めポーズで言ってくる。
本当にシスコンで厨二病なんだから。
でも少しだけ嬉しいと思ってしまうのは内緒。
どうやら私もほんのちょっとだけブラコンなようだ。
「お兄ちゃんには彼女はまだ早いぞ」
「ここあにもまだ彼氏は早いからな」
「それはわからないよー」
「なっ、お兄ちゃんは許しませんからね!」
「ええー」
今はこうやってお兄ちゃんと笑いあっていたいです。