自分の価値を高める仕事をしよう
漫画が好きなので漫画を描きます。最初はぜんぜんお金になりません。佐川急便で仕分けをやっていたほうがはるかに儲かります。でもそれを続けているうちにだんだん変化が起きてきます。一生懸命、1日8時間くらい漫画を描いて、ウェブで公開しているうちに徐々に評価されて、広告がクリックされるようになって、月にチャリンチャリンって少しずつお金が入るようになりました。
それが、いつの間にか月に数万円になりました。ライン工の仕事と同じくらい稼げるようになりました。
重要なのはここからで、ライン工と違って、収入だけでなく、自分の評価も上がってくるんです。漫画を描いて作品が増えれば増えるほど、絵もうまくなるし、ストーリーもうまくなるし、見る人も増えて、収入が上がってくる。自分の価値を高めていく仕事なんです。つまり、仕事をすればするほど、「資産(ブランド力)」が増していき、その資産がお金を生んでくれるわけです。
2種類の仕事をごっちゃにしている人が、日本人には多いと思います。同じ仕事でも、この2つはぜんぜん違います。
だから、自分の仕事がどっちの仕事なのか? 今やっている仕事は自分の価値を高めてくれるのか? スキルやノウハウがたまるのか? 続けていくことで社会で評価されるのか? 1年やったときにプラスアルファがあるのか?——ちょっと考えてみてください。
プラスアルファがない仕事を、めちゃくちゃ本気でやっている人もいるんです。でもそれって、その先に待っているのは、気がついたら年を取っていて、まあお金が少し残りましたっていう状態だけです。
できるだけ自分の価値が上がっていくような仕事を見つけたほうがいいんじゃないの? って話です。ちなみに、そういう仕事って、基本的にやっていて楽しいんですよ。嫌々やっている仕事だと、なかなか自分の価値は上がっていきません。
フリーランスの頭のいい始め方
今はフリーランスで働く人が増えていますが、たしかに、うまくいくと個人のほうが楽しいし、楽だと思います。会社員って、結局自分のペースで仕事ができないんですよ。
たとえば体調が悪かったら、自分で休めるし、眠くて捗(はかど)らないと思ったらパッと寝てしまえるんです。逆に、「これ面白い」って感じて熱中したかったら、何時間でもできたりするんです。
自分がやりたい仕事があるときに、12時間でもぶっ続けでできるし、休みたいときには3日も4日も休めるし、海外を旅行しながら、ネットに繋いでちょっとだけ仕事をするとか、そういうやり方もできるので、人生がかなり楽しくなると思います。
フリーランスになる人は、学校を出ていきなりフリーランスになる、というよりも、まずは会社に勤めて、そこを辞めてからフリーランスになる人がほとんどだと思います。
そういう場合、まずは働いていた会社から仕事をもらうといいと思います。
たとえばソーシャル・ゲームの会社で働いていました。で、「フリーランスになりたいので、同じ仕事するんですけど、個人事業主として仕事をくれませんか」って言えば、その人がそれなりに優秀だと、給料として払うのも、個人事業主として払うのも一緒なので、「いいよ」ってなるケースが多い。
それだと、最初からお互いの能力もわかっているし、どれくらいのパフォーマンスを出すかもわかっているので、失敗が少ない。
なので、IT系の会社に入ってから、「個人事業主になりたいです」って言うと、結構なれたりします。
日本が生きていくために必要なこと
あと、これは個人の話というか、日本という国全体の話でもあるんですが、これからの日本は、国内だけで経済を回すのではなくて、外国からいかにお金を取るか? ということを考えていかなければなりません。そうしないと、日本はこれから没落していきます。
日本のような資源のない国が生きていく上で、石油は必要です。車を動かして、電車を動かして、電気も火力発電でやっているわけですから、石油によって産業は成り立っているわけです。日本はその石油を買うお金が毎年必要になるんですね。そのお金がないと、国が成り立たない。レアメタルとか食料とか、外国から買うものは石油だけじゃないですが、資源がないというのはそういうことです。
外国から物を買うお金は必要なんです。
日本はこれからどうやって稼ぐべきか?
たとえば、パソコンを作るとすると、もはや中国には勝てませんよね。「自動車を作ります」って言っても、これから電気自動車になって、複雑な内燃機関を作り出す技術とかはいらなくなるので、トヨタや日産でも優位な立場をキープするのはきつい。物作りをやっている限り、海外の人たちと戦っても、弱くなる一方なんです。
なぜなら日本は人件費が高いから。
日本人に「月5万円で働いて」って言っても、働いてくれませんが、中国の人だと、地域にもよりますが、月5万円で働いてくれる人がまだいます。
そうすると中国の工場に発注したほうが安い。そこで出来上がったものが、たとえばハサミだとして、ダイソーに売ってあって、日本製のハサミなのか、中国製のハサミなのか気にせずに、皆さん100円で買っていくわけです。そうしたら中国で作ったほうがいいですよね?
そのような、どこでも作れるもの──コモディティ化したものを作ることで、世界と勝負しても無理です。
まだ技術が要求される分野はたくさんあるので、その部分ではぜんぜん日本は強いわけですが、それらは逆に、誰でもできる仕事ではない可能性が高い。
一般の人が何かを工場で作って……という仕事では、人件費の安い国と同じレベルにならない限り、成立しないと思っているんです。
利益率の高い仕事にシフト!
そういうわけで、物じゃなくてソフトを作る方向に、シフトしていったほうがいいんじゃないでしょうか。
仕事って時代によって変わってくるんですよ。
たとえば江戸時代は、8割が農民だったんです。10%くらいが商人で、5%くらいが武士、残りがお坊さんとか、そんな感じで、国民のほとんどは農業に従事していました。
でもそこから明治、大正、昭和になって、工業の時代になっていって、農業人口がどんどん減っていきました。メインの産業は、時代によって変わっていきます。
今は日本で農業をやっている人は、10%もいないと思いますが、これから工業に従事している人もどんどん減っていって、情報産業——つまりアプリを作ったり何かウェブサービスを作る人たちが、より増えていくと思います。そうやって利益率が高い仕事にシフトしていかない限り、日本全体を維持できなくなると思うんです。
※次回のお題は「オタクが日本を救う!」12月29日(日)掲載予定です