2019年12月23日08:00
何にでも終わりはある、けれどまだ今じゃない!
全日本フィギュア選手権、男子シングルの戦いが終わりました。素晴らしい時間でした。自らの目で見守ったショートプログラム、そして残念ながら現地入りは叶わなかったものの、そのぶんパーティーの準備をして万全の体制で見守ったフリー。ワインとチキンとケーキ。美しい音楽と素晴らしい舞踏。熱い勝負。推しの登場。今年はクリスマスが平日ということで、一足先のパーティーとしたのですが、今日で正解だったなと思います。充実のクリスマスでした。
宴が終わったとき、少しだけ「終わり」というものを考えてしまいました。高橋大輔さんが今大会でシングルの演技が最後ということも影響していたかもしれません。高橋さんの、演技が進むにつれジャンプが跳べなくなっていく姿は、一般論で言えばいたたまれないものでした。けれど、それが自然なことだなとも思います。どんなものにも永遠はないし、どうにもならないことがあるのだから、自然の流れに寄り添うのは正しいことなのだと。
そんな試合で羽生氏もまたミスが相次ぐ厳しい演技となり、2位となりました。今季のスコアや持っているものからすればもっともっとできるはずだと思いつつ、滝のように流れる汗や、疲労感の強い表情や仕草、コーチ陣の弱気とも言える態度からは、これが現状だったのだろうとも思います。こうすれば、ああすれば、ではなくどうにもならない部分があったのだろうと。ショートは乗り切れたけれど、フリーでは力尽きるような部分が。
フリーでは珍しい転倒もあり、複数のステップアウトがあり(逆によくこらえたなと感心もする見事なステップアウトだったが…)、抜けたジャンプがあり、演技後半のジャンプには回転不足の指摘が3つつきました。回転不足については境目のものを取られたものがあったようにも見えましたが、まぁ転倒やらステップアウトやらもあるので、大きく変わりはしないでしょう。「お疲れ様でした!」、茶の間からは以上です。
↓本人的には辛い演技だったかもしれませんが、この演技に感謝を贈ります!
素晴らしい時間をありがとう!
日本でたくさん滑ってくれてありがとう!
世界を大移動しながら5週間で3連戦という日程。
本人は「弱かった」としか語らないようなので、あえてそれを理由にはしますまい。かつてはそれをやり切ったわけですし。2015年も同じようにNHK杯⇒GPファイナル⇒全日本を中1週弱で駆け抜け、二度の世界記録更新と3連勝を成し遂げました。NHK杯がGPシリーズの後半にあり全日本がクリスマスにあるという日程上、日本代表はこういう日程にならざるを得ません。あのときはできて、今はできないのであれば、それは「弱かった」と表現するしかないのでしょう。
年齢による体力的なことなのか、調整過程でのアクシデント的なものなのか、あるいはある程度意識的なことなのか。それは本人と陣営だけが把握していることですが、どんなものにも永遠はないということはファンとしても意識しておかねばならないでしょう。僕自身も「沖縄に行って仲間と徹夜で飲み明かした次の日にダイビングでジンベイザメを触る」なんてことは「もうできないな」と思います。やったことはあるけれど、もうできないなと。やったら死にそう。
ただ、だからこそ思うところもあります。
ベテランはがむしゃらじゃなくていいんだと。永遠なものはないけれど、一瞬を作り出すことは思ったよりも長い時間できる。体調を整え、心を整え、グラフが上に振り切れる瞬間を「この日、この時、この瞬間」に合わせることはできます。それが経験であり、巧さです。連戦連勝のうちに余裕をもって身を退くのも美学だけれど、1本しか残っていない矢をつがえて大勝負に挑むのもまた美しい。矢の数は時間とともに少しずつ減っていくけれど、1本でも残っているうちは戦える。その1本をここぞで撃てばいい。それもまたドラマティックじゃないですか。
↓優勝した宇野昌磨くんを讃える姿が微笑ましくもあり、もうギラつかない側の年代なんだと寂しくもあり!
パトリック・チャンが出る試合を選びつづけて、「勝つまでやる!」って感じで尖っていた姿をふと思い出しました!
負けてギラギラしている姿も見たいけれど、ここは笑顔が唯一解です!
ある意味で、今季は「ファン感謝祭の一年」なのかなと思います。平昌五輪を終えて、何を目指して滑るのか迷い、自分の原点となるスケーターに捧げるプログラムや未踏の4回転アクセルを目指すことでようやくつないだ現役生活。身を退くこともよぎったからこそ、あと何回滑れるかを考え、日本で滑ることを大切にしてくれたのかなと思います。NHK杯にアサインすればこういう日程になることはわかっているのですから、それが苦しければずらせばいいだけのこと。でも、そうしなかった。「やっぱり日本で滑りたかったんで、ずっと」だから。
僕は今季だけで羽生氏の試合を2試合も生で見られましたし、2019年という意味では世界選手権と合わせて3試合も観戦できました。これはかつてない数でした。念願の生Originも見られましたし、充実の時間でした。チケット運や試合日程運もあったけれど、何よりも本人が出てこなければ始まらないこと。日本のみなさんに滑りを届けたいという本人の意欲がなければ、こうはならなかった。それは平昌五輪前に大量に届いたファンレターへの返信のようなものだったのかもしれません。もしかしたらもうすぐ終わりかもしれないので、その前に感謝を届けておこうとする備えというか。挨拶まわりというか。
もしもこのまま北京を目指していくのなら、今季のような「ファン感謝日程」は組みづらくなっていくでしょう。特に五輪シーズンは出場権を獲るための全日本から逆算しての日程組みになります。日本のファンとしてはNHK杯出場が希望ではあるけれども、日本での試合となれば注目も国民的ですし、日程面でも後ろが詰まってきます。日本にいたまま調整をすれば移動の面はラクかもしれませんが、普段の練習環境との違いや、日本にいれば何かと注目も浴びてしまうわけで、むしろNHK杯に出ないほうがやりやすいという局面も出てくるでしょう。それは寂しいことではありますが、大切な「1本」をどこで撃つかと言えば五輪しかありません。そのためならば、テレビを見ながらお祈りでもして過ごすのもいいでしょう。そんなことを胸で覚悟しながら、2019年を納めようかと思います。
まずはゆっくり休んで、次なる世界選手権へと調整を進めてください。
そして、見せつけてください。ここぞの「1本」を。
大ちゃんお疲れ様!昌磨くんおめでとう!鍵山くんスゴかった!みんなにメリークリスマス!
全日本フィギュア選手権、男子シングルの戦いが終わりました。素晴らしい時間でした。自らの目で見守ったショートプログラム、そして残念ながら現地入りは叶わなかったものの、そのぶんパーティーの準備をして万全の体制で見守ったフリー。ワインとチキンとケーキ。美しい音楽と素晴らしい舞踏。熱い勝負。推しの登場。今年はクリスマスが平日ということで、一足先のパーティーとしたのですが、今日で正解だったなと思います。充実のクリスマスでした。
宴が終わったとき、少しだけ「終わり」というものを考えてしまいました。高橋大輔さんが今大会でシングルの演技が最後ということも影響していたかもしれません。高橋さんの、演技が進むにつれジャンプが跳べなくなっていく姿は、一般論で言えばいたたまれないものでした。けれど、それが自然なことだなとも思います。どんなものにも永遠はないし、どうにもならないことがあるのだから、自然の流れに寄り添うのは正しいことなのだと。
そんな試合で羽生氏もまたミスが相次ぐ厳しい演技となり、2位となりました。今季のスコアや持っているものからすればもっともっとできるはずだと思いつつ、滝のように流れる汗や、疲労感の強い表情や仕草、コーチ陣の弱気とも言える態度からは、これが現状だったのだろうとも思います。こうすれば、ああすれば、ではなくどうにもならない部分があったのだろうと。ショートは乗り切れたけれど、フリーでは力尽きるような部分が。
フリーでは珍しい転倒もあり、複数のステップアウトがあり(逆によくこらえたなと感心もする見事なステップアウトだったが…)、抜けたジャンプがあり、演技後半のジャンプには回転不足の指摘が3つつきました。回転不足については境目のものを取られたものがあったようにも見えましたが、まぁ転倒やらステップアウトやらもあるので、大きく変わりはしないでしょう。「お疲れ様でした!」、茶の間からは以上です。
↓本人的には辛い演技だったかもしれませんが、この演技に感謝を贈ります!
素晴らしい時間をありがとう!
日本でたくさん滑ってくれてありがとう!
頑張ってくれた右足にも感謝!
世界を大移動しながら5週間で3連戦という日程。
本人は「弱かった」としか語らないようなので、あえてそれを理由にはしますまい。かつてはそれをやり切ったわけですし。2015年も同じようにNHK杯⇒GPファイナル⇒全日本を中1週弱で駆け抜け、二度の世界記録更新と3連勝を成し遂げました。NHK杯がGPシリーズの後半にあり全日本がクリスマスにあるという日程上、日本代表はこういう日程にならざるを得ません。あのときはできて、今はできないのであれば、それは「弱かった」と表現するしかないのでしょう。
年齢による体力的なことなのか、調整過程でのアクシデント的なものなのか、あるいはある程度意識的なことなのか。それは本人と陣営だけが把握していることですが、どんなものにも永遠はないということはファンとしても意識しておかねばならないでしょう。僕自身も「沖縄に行って仲間と徹夜で飲み明かした次の日にダイビングでジンベイザメを触る」なんてことは「もうできないな」と思います。やったことはあるけれど、もうできないなと。やったら死にそう。
ただ、だからこそ思うところもあります。
ベテランはがむしゃらじゃなくていいんだと。永遠なものはないけれど、一瞬を作り出すことは思ったよりも長い時間できる。体調を整え、心を整え、グラフが上に振り切れる瞬間を「この日、この時、この瞬間」に合わせることはできます。それが経験であり、巧さです。連戦連勝のうちに余裕をもって身を退くのも美学だけれど、1本しか残っていない矢をつがえて大勝負に挑むのもまた美しい。矢の数は時間とともに少しずつ減っていくけれど、1本でも残っているうちは戦える。その1本をここぞで撃てばいい。それもまたドラマティックじゃないですか。
↓優勝した宇野昌磨くんを讃える姿が微笑ましくもあり、もうギラつかない側の年代なんだと寂しくもあり!
【フィギュアスケート全日本選手権】
男子FP
表彰式で声を掛け合う #羽生結弦 と #宇野昌磨
(撮影・矢口亨/photo by Toru Yaguch)#figureskate #フィギュアスケート
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パトリック・チャンが出る試合を選びつづけて、「勝つまでやる!」って感じで尖っていた姿をふと思い出しました!
負けてギラギラしている姿も見たいけれど、ここは笑顔が唯一解です!
でも、まだ「引き継ぎ」は早いからね!次は勝つ!
ある意味で、今季は「ファン感謝祭の一年」なのかなと思います。平昌五輪を終えて、何を目指して滑るのか迷い、自分の原点となるスケーターに捧げるプログラムや未踏の4回転アクセルを目指すことでようやくつないだ現役生活。身を退くこともよぎったからこそ、あと何回滑れるかを考え、日本で滑ることを大切にしてくれたのかなと思います。NHK杯にアサインすればこういう日程になることはわかっているのですから、それが苦しければずらせばいいだけのこと。でも、そうしなかった。「やっぱり日本で滑りたかったんで、ずっと」だから。
僕は今季だけで羽生氏の試合を2試合も生で見られましたし、2019年という意味では世界選手権と合わせて3試合も観戦できました。これはかつてない数でした。念願の生Originも見られましたし、充実の時間でした。チケット運や試合日程運もあったけれど、何よりも本人が出てこなければ始まらないこと。日本のみなさんに滑りを届けたいという本人の意欲がなければ、こうはならなかった。それは平昌五輪前に大量に届いたファンレターへの返信のようなものだったのかもしれません。もしかしたらもうすぐ終わりかもしれないので、その前に感謝を届けておこうとする備えというか。挨拶まわりというか。
もしもこのまま北京を目指していくのなら、今季のような「ファン感謝日程」は組みづらくなっていくでしょう。特に五輪シーズンは出場権を獲るための全日本から逆算しての日程組みになります。日本のファンとしてはNHK杯出場が希望ではあるけれども、日本での試合となれば注目も国民的ですし、日程面でも後ろが詰まってきます。日本にいたまま調整をすれば移動の面はラクかもしれませんが、普段の練習環境との違いや、日本にいれば何かと注目も浴びてしまうわけで、むしろNHK杯に出ないほうがやりやすいという局面も出てくるでしょう。それは寂しいことではありますが、大切な「1本」をどこで撃つかと言えば五輪しかありません。そのためならば、テレビを見ながらお祈りでもして過ごすのもいいでしょう。そんなことを胸で覚悟しながら、2019年を納めようかと思います。
まずはゆっくり休んで、次なる世界選手権へと調整を進めてください。
そして、見せつけてください。ここぞの「1本」を。
ネイサン・チェン、宇野昌磨くん、倒す相手がひとりでもふたりでも同じことです!
次は勝つ!
大ちゃんお疲れ様!昌磨くんおめでとう!鍵山くんスゴかった!みんなにメリークリスマス!
しかも追いかけるカメラの台数も受ける取材件数も尋常じゃない量
プレカンでも勝とうが負けようが質問が集中
それらにすべて真摯に対応
年齢もトップスケーターとしては最年長
心身共に限界まで出し尽くしたGPFからすぐの全日本は本当にキツかったと思います
ご本人は弱かったとしか仰らないので、せめてファンは口にしてもいいですよね
言い訳ではなく事実ですから
羽生選手、戦い抜く姿も後輩を称える姿もすべてがカッコ良かったです
どこまでもついて行きますよ!