海上都市と呼ばれる場所がある。
その最深部に位置する部屋で"彼女"は眠る。
(………)
だが『眠る』という表現は正しくはない。正確には『目覚める』ことが出来ないのだ。
目覚めてしまえば最後、世界は滅んでしまう。
どれだけ敵が強くても、どれだけ敵が賢くても意味は無い。
まるで"この世界は幻や夢だった"。
そう彼女が目覚めた途端、全ては無に帰す。
"神"と呼ばれた者たちも
"英雄"と呼ばれた者たちも
そんな者たちが紡いできた歴史を全てゼロにする。
世界を無に帰す力。
まるで彼女自身が破滅を体現しているようだった。
巨大な透明なガラスの容器の中で"彼女"は眠る。
(………)
彼女が目を覚ますことは無い。
彼女の"待ち人"が現れるぬ限り。
彼女の願いはただ一つ。
(会いたい……"彼"に会いたい)
もし今の"彼女"が目を覚ますことがあれば、それは全ての終わりを意味する。
まるでこの"世界"は海水を漂う水泡の如く消えうせるだろう。
(もう一度だけ会いたい……"彼"に会いたい)
だが、どれだけの時間を過ごそうと"彼"に会えることはなかった。
唯一、"彼"に似た存在と出会えたことがあった。
しかし"彼"ではない。
だが"彼"と同じ種族だったため思わず助言をしてしまった。
それは"彼"に出会えるまでの時間稼ぎでしかなかった。
だがその者はやがて"英雄"と呼ばれた。
もうあれからどれだけの年月が経ったか思い出すことも出来やしない。
少なくとも六百年以上は経っていないはずだ。
「……やっと……」
彼女の目の前にいる男はそう口を開いた。ガラスの容器を手で撫でた。
(こんな壁、破壊してやりたい!だが……)
「……■■■様を救えますか?▼▼▼▼様」
そう問われて▼▼▼▼と呼ばれる男は答えた。
「救って見せるさ」
「……分かりました。■■■様をお願いします。▼▼▼▼様」
"彼女"の第一の従者であるNPCがそう言った後、男は空間から二つのアイテムを取り出す。
一つは"指輪"、もう一つは"杯"だ。
左手に"指輪"を乗せ、右手で"杯"を持った。
"杯"の中には血の様に赤い液体が入っている。男は"杯"を傾けて中の液体を"指輪"にかけた。
その途端、"指輪"が光を放つ。周囲がまばゆい光に包まれる。
(これで"指輪"に効果は戻った。後は願うだけだ)
「ずっとこの時を待っていた。ずっと……ずっと……!!!」
男は指輪をはめるとガラスの中で眠る"彼女"に向けて願う。
「もう一度、俺と冒険をしましょう!!一緒に"世界"を見ましょう!■■■さん!!」
「指輪よ!俺は願う!彼女を……■■■さんを!!」
「"ワールドエネミー"から解放しろ!!!!」
周囲一帯をまばゆい光が包む。
ガラスの容器が破壊され、液体が吹き出る。
彼女がフワリと地面に降り立つ。
彼女のNPCが涙を零す。
「600年以上も待たせてしまってすみません。■■■さん」
男はそう言って彼女を抱き締めた。
本当の意味で"再会"できたことへの嬉しさから思わずそうしたのだ。
「ありがとう。モモンガさん。やっと会えた」
(私の唯一尊敬する人、私が唯一愛する人……モモンガさん)
「おかえりなさい。■■■さん」
「ただいま。モモンガさん」
彼女の正体はアインズ・ウール・ゴウン所属の『タブラスマグナ』。設定上ユグドラシルを終了させた『運営』でありワールドエネミー。仮に名前を付けるとしたら『真なる九曜の世界喰い<外なる神>』
設定上、目覚めたら『世界が滅ぶ』ため彼女は目覚めることが出来ない。そのため彼女をワールドエネミー状態から解放するためのアイテムに『永劫なる蛇の指輪<ウロボロス>』が必要。
ただし現在は効果を持たない指輪と化している。そのため世界級アイテムの効果を回復できる『ホーリーグレイル』が必要。
彼女の願いは世界を滅ぼさず、この世界で目覚めることである
そして彼女は『転移の真実』について全て知っている。そして現実世界で何が起きたかも・・
彼女の待ち人はアインズ・ウール・ゴウンの『モモンガ』である
『キャラ紹介』
彼女
海上都市の最深部で眠る女性。
ある人物との再会を望んでいる。
とある理由により彼女は目を覚ませない。
彼女が問題なく目覚めるためにには二つのワールドアイテムが必要(正確には一つだが、使用する過程においてもう一つの世界級アイテムの使用が必須)。
もし彼女が『正常』に目覚めた場合は何の問題も無い。
かつて『十三英雄』たちには何故か協力した。その理由は・・・