オーバーロード<落書き集>   作:焼きプリンにキャラメル水

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IFルート・六大神の始まり

二人の人間がソファにもたれるように座っていた。

一人は黒い鎧に身を纏う戦士、もう一人は白い軽装鎧に身を纏う女戦士だ。

 

 

 

 

「『スグル』」

 

「ん?どうした?『あららうふふ』」

 

「いやぁ…私たちもいよいよ"親"になるんだなと思って…」

 

そう言ってあららうふふ(以下あらら略)はそう言って自身の膨らんだ下腹部をさする。

 

 

 

「そうだな。俺も親か……。まさかネカマのお前との間に子供が出来るなんてな。まるで奇跡だな」

 

「うふふ。そうね。ところで名前どうしよっか?」

 

「気が早くないか?」

 

「いやぁ……楽しみよね」

 

「あぁ。そうだな。俺たちの子供だ」

 

 

 

こんなやり取りを四度繰り返した。

 

 

 

"火"に秀でた者。

 

"水"に秀でた者。

 

"風"に秀でた者。

 

"土"に秀でた者。

 

 

ある者は力で、またある者は知恵をもってそれぞれの分野に秀でていた。

 

ある者は戦争に貢献し、ある者は生活に貢献した。

 

 

 

 

闇の神と呼ばれる『スグル』、光の神と呼ばれる『あらあらうふふ』。

 

この二人は四人の子宝に恵まれた。

 

 

いつしか彼ら一家は"六大神"と呼ばれるようになる。

 

だが古今東西、どのような存在でさえ恐れ避けることが出来ないものがある。

 

それは"老い"である。

 

 

 

闇と光は"老い"により隠居。

 

時同じくして"六大神"を信仰する者たちの次の世代が生まれた。

 

そんな彼らは"六大神"ではなく"四大神"しか知らない。

 

この時に信仰は二つに分かれたのだ。

 

即ち"六大神"と"四大神"である。

 

だがそれらの"信仰"も"神"と共に老いていった。

 

やがて"六大神"と"四大神"の信仰を引き裂く"ある出来事"が起きてしまう。

 

 

 

 

 

「スグル。私たちの子供を……子孫をお願い」

 

「あぁ。分かった。安心して行け。あらら」

 

「ありがとう。これで安心して逝ける」

 

 

 

 

『あららうふふ』の死後、『スグル』は約束を守るべくあるアイテムを使った。

 

それは"死者の本"。アンデッドへと種族変更するアイテムだ。

 

だが彼は知らなかった。

 

もし知っていたらそれは使わなかっただろう。

 

まさか自分の精神が"アンデッド"に引っ張られることになるとは思わなかった。

まさか自分の心が"子供たち"との繋がりを失うだなんて思わなかった。

 

 

そして最悪なのはかつての姿を失ったスルシャーナを誰も"神"として認識できなかったことであろう。

それは自分の子供です例外ではなかった。

 

 

子から孫へ血が薄れる度に

 

スルシャーナは拒絶された。

 

 

 

何度も話し合いをしようとするスルシャーナ。しかし彼の話を理解するものは既にいなかった。

 

"神"がいなくなったスレイン法国で起きたのは国の主権を得ようとする"人間"同士の醜い争い。

 

権力を求めて暴力を、暴力を求めて権力を…

 

それらを見てスルシャーナは人間に失望する。

 

 

 

(これが俺たちの望んだ"人間"の平和か?いや違う!)

 

 

 

失望……

 

そしてそんな争いをなくそうとした結果、

 

気が付けばスルシャーナの足元には血だまりが出来、眼前には死体の山が広がっていた。

 

 

 

死を撒き散らしたのだ。

男を殺し、女を殺し、子供を殺し、命を絶った。

 

 

 

スルシャーナは再び"神"となった。

 

それに対して"人間"は"敵"に対して手を組み、協力することを誓った。

 

 

 

 

 

スルシャーナは学んだ。

 

"敵"さえいれば"人間同士"は争わない。

 

ならば……

 

自分は"敵"として恐れられよう。

 

そうすれば"人間"同士は争わなくて済む。

 

 

 

 

 

だが……

 

皮肉にも……

 

スルシャーナのそんな想いは……

 

"八欲王"と手を組んだ"人間"により裏切られることになる。

 

それはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

スルシャーナは目の前の光景を見る。

 

 

 

そこには全ての"生"あるものは死に絶えていた。

 

 

 

人も…亜人も…異形種も…

 

草木も…地面も…空気さえも…

 

 

 

死に絶えていた。

 

 

 

 

 

無限に広がる"砂漠"……

 

そこにはかつて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"エリュエンティウ"と呼ばれた場所が"あった"。

 

 

 

 

 

 

 

 


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